セミカムギアトレーン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 01:05 UTC 版)
「カムギアトレーン」の記事における「セミカムギアトレーン」の解説
ギアのみの構造ではなくチェーンやベルト方式を併用したもの。主な目的はカム駆動全体のコンパクト化であり、バルブタイミングの精度向上を目的としたフル・カムギアトレーンとは起点や思想が根本的に異なる。 カムギアトレーンはギアを収めるスペースとギア数の関係で配置に一定の制限があるが、セミカムギアトレーンでは中間にチェーン駆動などを介することでレイアウトの自由度が増し、カム駆動部分をコンパクトに仕上げることができる。このためカムや補器類のレイアウトに制限が多いV型エンジンや、各駆動軸を接近させた近年の自動二輪エンジンでの採用が多い。 カム駆動の具体的な話として、4ストロークエンジンは2対1の減速比でクランクからヘッドにあるカムまで駆動を伝達する必要があるが、フルカムギアトレーンの場合は駆動力に対するギアの大きさの限界があり、さらにギア飛び防止、駆動損失低減のためにも各ギアを少し大きく設計せざるを得ない。ホンダ・CR110のミッキーマウスと呼ばれたヘッドが好例である。通常のチェーン駆動の場合は駆動方式(伝達順序)の違いから各スプロケットを小さくすることが出来るが、DOHC方式の場合は二本のカムにチェーンを掛ける都合で駆動系全体がどうしても扇型に広がってしまううえ、テンショナーも大型なものが必要になる。それに対してセミカムギアトレーンの場合は各減速比を自由にできるためレイアウトにも無理がなく、チェーン部分のテンショナーも小さくすることが可能になる。部品点数と総幅は増えるが全体的には軽量コンパクトに仕上げることが出来、騒音対策の点でもギア部分のみ防音対策を行うことで制御しやすい。 総じてチェーン駆動よりコストは上がるが、精度を保ちつつエンジニアも設計しやすい方式である。
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