スピリチュアルケア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/24 10:02 UTC 版)
スピリチュアルケア(spiritual care)とは、「生きがいを持ちやすい人生観」への転換を推奨し、人生のあらゆる事象に価値を見出すよう導くことにより、人間のスピリチュアルな要素(心あるいは魂)の健全性を守ること[1]である。
注釈
- ^ PASTORALは、ラテン語のPASTOR(羊飼い)という言葉由来の形容詞。この言葉はキリスト教では、牧師・神父・司教など、信者の共同体の責任者の役名として用いられていて、これは新約聖書においてイエス・キリストが「私は良い羊飼いである。良い羊飼いは羊のために命を捨てる」と、喩えを用いつつ述べた記述があることや(ヨハネによる福音書、10-11)、ペトロがキリスト信者に「あなたがたは羊のようにさ迷っていましたが、今は、魂の牧者であり監督者である方のところへ戻って来たのです。」と言った記述があること(ペトロの手紙 I 、2-25)等々に由来するという。(ウァルデマール・キッペス『スピリチュアルケア』p.156-157)
- ^ ドイツ語のSEELSORGERは、SEELE(魂)とSORGE(配慮)から成り立っている。ドイツではPASTORという役名と同義で、SEELSORGER(魂を配慮する人)という言葉が使われているという。また、SEELSORGERと同義でGEISTLICHERとも言う。GEISTも日本語に訳せは魂であり(英語ではSPIRIT)、GEISTLICHERは「霊 SPIRIT」に満たされ、スピリチュアルなものを有している人、スピリチュアルな指導者のこと。(ウァルデマール・キッペス『スピリチュアルケア』p.157)
- ^ またスピリチュアル・ケアにおける「スピリチュアル」の理解には、「スピリチュアルでないこと」を理解することが役立つであろう。
ウァルデマール・キッペスの文献でも「スピリチュアルではないことがら」について説明があり、たとえば"方角が○○"、"友引は○○"、"大安は○○"、"4がつくのは縁起が悪い"、"13日の金曜日はよくない"、"鉢植え植物は縁起が悪い"などの発想や迷信はスピリチュアルな次元ではない、と述べられている(ウァルデマール・キッペス『スピリチュアルケア』p.185-186「スピリチュアルではない質」)。WHOの定義と、この説明の両方を参照すると、「スピリチュアル」の意味の輪郭が浮かび上がる。 - ^ 哲学用語を用いる場合は、自己存在の究極的で根源的な問題に関係しているので、「実存的苦痛」とも呼ばれる場合がある
- ^ 司祭・牧師・シスターもいるが、そうではない一般の人もいる。(ウァルデマール・キッペス『スピリチュアルケア』p.170)
- ^ 「信教の自由」と聞いて、"何も提供しなければ、それで自由を与えている"といった誤解をする人などもいるので
出典
- ^ 飯田史彦『生きがいの創造 III、世界標準の科学的スピリチュアル・ケアを目指して』p.41
- ^ a b c d e f g h ウァルデマール・キッペス『スピリチュアルケア』p.170
- ^ a b ウァルデマール・キッペス『スピリチュアルケア』p.173
- ^ a b ウァルデマール・キッペス『スピリチュアルケア』p.175
- ^ a b c 飯田史彦『生きがいの創造 III』p.43
- ^ a b c d e f ウァルデマール・キッペス『スピリチュアルケア』p.165
- ^ WHO「ガンの緩和ケアに関する専門委員会報告」1983年
- ^ a b 大石和男『タイプAの行動とスピリチュアリティ』専修大学出版局、2005、p.111-112
- ^ 『生きがいの創造III』p.46
- ^ 『生きがいの創造III』p.47
- ^ a b c 淀川キリスト教病院ホスピス編『ターミナルケアマニュアル 第3版』1997、p.225
- ^ a b c ウァルデマール・キッペス『スピリチュアルケア』p.83-84
- ^ a b 『生きがいの創造 III』p.44
- ^ a b 『生きがいの創造 III』p.53
- ^ a b 『生きがいの創造 III』p.54
- ^ a b c d 『生きがいの創造 III』p.55
- ^ a b c ウァルデマール・キッペス『スピリチュアルケア』p.158
- ^ a b c ウァルデマール・キッペス『スピリチュアルケア』p.159、170
- ^ a b ウァルデマール・キッペス『スピリチュアルケア』p.160
- ^ スピリチュアルケア研究会
- ^ 日本スピリチュアルケア学会
- ^ 日本スピリチュアルケア学会 『 2009年度学術大会』
- ^ ウァルデマール・キッペス『スピリチュアルケア』p.171
- ^ ウァルデマール・キッペス『スピリチュアルケア』p.170-175
- ^ 日本国憲法
- ^ a b c ウァルデマール・キッペス『スピリチュアルケア』p.294
- ^ a b ウァルデマール・キッペス『スピリチュアルケア』p.299
- ^ “悲しみと寄り添う〜スピリチュアルケアの仏教者〜”. NHK (2022年9月25日). 2022年10月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月2日閲覧。
スピリチュアルケア
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詳細は「スピリチュアルケア」を参照 世界保健機関(WHO)は「がんの痛みからの解放とパリアティブ・ケア-がん患者の生命へのよき支援のために-」という提案書において次のように述べた。 『パリアティブ・ケアは、すべての人間の福利にかかわるため、パリアティブ・ケアの実施にあたっては人間として生きることが持つ spiritual な側面を認識し、重視すべきである。』 これによって、身体的苦痛、精神的苦痛、社会的苦痛の緩和に加えて、患者が抱えるスピリチュアルペイン(霊的側面、実]的側面、人生の意味にかかわる苦痛)にも配慮すべきであること、スピリチュアルケアが必要であることを示唆しているのである。 同様に、国連もまた「宗教及び信仰におけるすべての差別と不寛容の撤廃宣言」において、パリアティブ・ケアにかかわるすべてのプログラムは、スピリチュアルな、あるいは宗教的な多様性を人の根源的な価値観として尊重すべきである、という見解を示している。
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