アゾカップリング
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アゾカップリング(英語:azo coupling)は、ジアゾニウム化合物と他の芳香族化合物とをカップリングし、アゾ化合物を合成する有機反応である。ジアゾカップリングとも呼ばれる。この芳香族求電子置換反応では、アリールジアゾニウムカチオンは求電子剤、活性アレーンは求核剤である[1]。
ジアゾ化
亜硝酸とアニリンを混合すると、ジアゾ化と呼ばれる反応を経て赤紫色のジアゾニウム塩になる。これはアゾ染料を作ったり芳香族化合物の官能基を置換するカップリングの前段階の反応として重要である。
反応の用途
生成物は共役がもとの物質よりも増加するため、より長波長の光(特に可視光)を吸収するようになる。その結果として、芳香族アゾ化合物は延長された共役系により明るい色調となる傾向にあり、染料として多く使われている[2]。
反応例
多くの反応系が説明されている[3][4]。フェノールを塩化ベンゼンジアゾニウムと反応させると橙黄色のジアゾ化合物が得られる。この反応では塩基が触媒となる[2]。

関連する染料のアニリンイエローはアニリンとジアゾニウム塩から合成される[2]。

ナフトールは一般的な受容体である。例として、染料のオルガノールブラウンはアニリンと1-ナフトール(英語版)から合成する。

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同様に、2-ナフトール(英語版)と塩化ベンゼンジアゾニウムとをカップリングすると赤橙色の染料ができる。
出典
- ^ Smith, Michael B.; March, Jerry (2007), Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure (6th ed.), ニューヨーク: Wiley-Interscience, ISBN 0-471-72091-7
- ^ a b c Klaus Hunger; Peter Mischke; Wolfgang Rieper; Roderich Raue; Klaus Kunde; Aloys Engel (2005年). "Azo Dyes". ウルマン産業化学事典. ヴァインハイム: ウィリーVCH. doi:10.1002/14356007.a03_245。
- ^ J. L. Hartwell and Louis F. Fieser. "Coupling of o-tolidine and Chicago acid". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 2, p. 145
- ^ H. T. Clarke and W. R. Kirner. "Methyl red". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 1, p. 374
関連項目
ジアゾカップリング
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「ジアゾニウム化合物」の記事における「ジアゾカップリング」の解説
芳香族ジアゾニウム塩は、電子供与性基を持つアミノアリール化合物あるいはフェノール化合物のパラ位に求電子的な攻撃を行い、シグマ錯体を経由する芳香族求電子置換反応により、'N末端とアリールがカップリングしたアゾ化合物(アゾベンゼンの誘導体)を与える。この反応はアゾカップリングとも呼ばれる。 Ar − N + ≡ N + Ar ′ H ⟶ Ar − N = N − Ar ′ {\displaystyle {\ce {Ar-N^{+}\ \equiv N\ +Ar'H->Ar-N=N-Ar'}}} ジアゾ化合物は発色団となる為に、この方法で種々のベンゼンあるいはナフタレン化合物を基質として種々の新規色素(アゾ色素)が合成された。電子供与性基を持つアリール化合物は酸性条件化ではプロトン化することで電子供与性が減弱する場合がある。したがって(ジ)アゾカップリングはアミノアリールとの場合は中性~アルカリ性、フェノール化合物との場合はアルカリ性で反応させる必要がある。 ジアゾニウム塩は脂肪族のカルバニオンとも結合を作る。活性メチン化合物と結合して脱炭酸または脱カルボン酸後にヒドラゾンを与える反応が知られており、ヤップ・クリンゲマン反応と呼ばれる。
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