シンプルカテナリー式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 09:13 UTC 版)
「架空電車線方式」の記事における「シンプルカテナリー式」の解説
最も多く用いられる代表的な架線である。パンタグラフが接触する部分であるトロリ線と、トロリ線をハンガーと呼ばれる金属線(5 m 間隔で設置)を吊架線で吊して支持する構造となっており、列車速度は100 km/h 程度までに制限される。なお、この方式にて地方の幹線などでメンテナンス頻度の低減を狙ってトロリ線・吊架線を特に太くし、張力を高めたものを「ヘビーシンプルカテナリー式」と呼び、列車速度は130 km/h 程度までに引き上げられる。なお材質は吊架線は亜鉛メッキ鋼線を、トロリ線は溝付硬銅線を使用している。 改良が進められ、最近では新幹線でも、銅に鋼心を入れた複合構造とすることで機械的強度を高め波動伝播速度を向上させたCSトロリ線を使用したCSシンプルカテナリー式(300km/h走行まで対応可能)や無酸素銅にクロムとジルコニウムなどを添加することでCSトロリ線と同等の強度と高リサイクル性を持ち、さらに高導電率、高硬度を達成したことでトロリ線の張替周期延長という経済性を併せ持つ析出強化型銅合金トロリ線(Precipitation-Hardened Copper Alloy Trolley Wire. 略称PHC)を使用したPHCシンプルカテナリー式 (350km/h域まで走行対応)が採用されている。PHCシンプルカテナリー式では、吊架線とトロリ線の間に、高速性の確保とトロリ線の局部摩耗の低減のため、ダンパハンガー線とコネクティングハンガー線を取付けている。 CSシンプルカテナリー式は、1997年以降に開業した北陸新幹線の高崎駅 - 長野駅間、九州新幹線の新八代駅 - 鹿児島中央駅間、東北新幹線の盛岡駅 - 八戸駅間で使用されており、PHCシンプルカテナリー式は2010年以降に開業した東北新幹線の八戸駅 - 新青森駅間、九州新幹線の新八代駅 - 博多駅間、北陸新幹線の長野駅 - 金沢駅間、北海道新幹線で使用されている。
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