サーチュイン遺伝子
英語:Sirtuin gene、silent information regulator gene
酵素の一種で、老化を抑制する機能を持つとされるタンパク質。「ヒストン脱アセチル化酵素」(HDAC)の下位分類の一つ(クラスIII)。
最初に発見されたサーチュイン遺伝子はイースト菌から発見された「Sir2」である。同じ分類の物質を、酵母では「Sir2」、マウス(実験動物)では「Sirt1」、ヒトにおいては「SIRT1」と表記して区別する。
サーチュイン遺伝子が活性化すると、細胞の若返りや代謝の増進をはじめとする、老化を抑制するさまざま効果がはたらくとされる。このため、サーチュイン遺伝子を活性化させることで寿命を延ばすことが可能になる、と期待されている。
サーチュイン遺伝子を活性化させる要素として、小食・適度なカロリー制限やバランスの取れた食事などが挙げられる。また、ワインなどに含まれるポリフェノールの一種、「レスベラトロール」と呼ばれる物質には、サーチュイン遺伝子の働きを活発化される効果があると言われている。
サーチュイン遺伝子
(サーチュイン から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/03 10:25 UTC 版)
サーチュイン遺伝子は、長寿遺伝子または長生き遺伝子、抗老化遺伝子とも呼ばれ、その活性化により生物の寿命が延びるとされる。サーチュイン遺伝子の活性化により合成されるタンパク質、サーチュイン(英語 Sirtuin)はヒストン脱アセチル化酵素であるため、ヒストンとDNAの結合に作用し、遺伝的な調節を行うことで寿命を延ばすと考えられている。この様なサーチュインの作用メカニズムはマサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテのグループが1999年に見出した[1]。酵母のSir2遺伝子がヒストン脱アセチル化酵素であることを見出し、この酵素の作用が代謝や遺伝子サイレンシング、加齢に関与していることを示唆した[2]。
- ^ ガランテ教授寄稿文「21世紀の健康長寿」日本エイジマネージメント医療研究機構(2007)
- ^ Imai et al., Nature,403(6771):795-800(2000)
- ^ Kaeberlein M et al., Genes Dev, 13(19):2570-80(1999)
- ^ Tissenbaum HA et al., Nature,410(6825):227-30(2001)
- ^ Rogina B et al., Proc Natl Acad Sci U S A., 101(45):15998-6003(2004)
- ^ Burnett C et al., Nature,477(7365):482-5(2011)
- ^ Howitz et al., Nature,425(6954):191-6(2003)
- ^ Baur et al., Nature,444(7117):337-42(2006)
- ^ 『長寿遺伝子が寿命を延ばす』NHK「サイエンスZERO」 取材班+今井眞一郎(2011.10) pp72-74
- ^ Gao et al., Nature,466(7310):1105-9(2010)
- ^ Kim et al., EMBO J,26(13):3169-79(2007)
- ^ "Therapeutic indications for SIRT1 activation"
- ^ Miline JC et al. Nature, 450(7170):712-6(2007)
- ^ Pacholec M et al. J Biol Chem. 12;285(11):8340-51(2010)
- ^ NY times, Jan,10,2011 "Doubt on Anti-Aging Molecule as Drug Trial Stops"
- ^ 日経サイエンス 2006年5月号 特集:長寿の科学 「長生き遺伝子」の秘密を探る
- ^ 実験医学 2010年12月号 サーチュイン研究の最前線
- 1 サーチュイン遺伝子とは
- 2 サーチュイン遺伝子の概要
- 3 レスベラトロールとの関係
- 4 関連書籍
- サーチュインのページへのリンク