さむらい‐あり〔さむらひ‐〕【侍×蟻】
サムライアリ
和名:サムライアリ |
学名:Polyergus samurai Yano |
ハチ目 アリ科Formicidae |
分布:北海道,本州,四国,九州 |
写真(上):サムライアリの女王の頭部 |
写真(下):クロヤマアリの頭部 |
説明 奴隷狩りをする社会寄生種。体長7ミリほどで黒色。奴隷にされるクロヤマアリとは近縁種で両者の形態は良く似るが,クロヤマアリの大あご(写真(下))は三角で内側にギザギザがついているのに対し,サムライアリの大あご(写真(上))は細い鎌状でギザギザも目立たないので手にとって見れば簡単に識別できる。夏の午後,幅数十センチの大行列をつくってクロヤマアリの巣を襲い,主に蛹を狩る。本研究所の敷地内にも多数のコロニーがあり,シーズンになると狩りの行列をよく見かける。行ったり来たりする普通のアリの行列と違って,一斉に手ぶらでクロヤマアリの巣に押しかけていき,一斉に略奪した蛹をくわえて自巣に戻っていく。サムライアリの働きアリは奴隷狩り以外の労働はほとんどせず,エサ探しや育児は奴隷とされたクロヤマアリが担うことになる。蛹のうちに狩られたクロヤマアリはサムライアリの巣を自分の巣と認識してしまうため,無理矢理働かされているわけではなく自発的に働いてしまうのである。 |
侍蟻
武士蟻
サムライアリ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/28 10:05 UTC 版)
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サムライアリ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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保全状況評価 | ||||||||||||||||||||||||||||||
VULNERABLE (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) |
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分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Polyergus samurai Yano, 1911 |
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和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
サムライアリ | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Slave-making ant |
サムライアリ(侍蟻、Polyergus samurai)は、ハチ目(膜翅目)アリ科ヤマアリ亜科に分類されるアリの一種。クロヤマアリなどの巣を襲って働きアリやその蛹を攫い、「奴隷」として働かせる習性がある。
形態

働きアリの体長:4-6mm 女王アリの体長:7mm
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働きアリ
生態
サムライアリはクロヤマアリなどの巣を攻撃して働きアリやその蛹を攫い、奴隷として働かせることが知られる。奴隷とする為の蛹を連れる「奴隷狩り」は、主に夏の蒸し暑い日の午後に行われる。サムライアリの働きアリは奴隷狩りに特化しており、女王の世話、卵や幼虫の世話、餌の回収なども行わない。また、奴隷狩りと結婚飛行以外はほとんど地上にも出ない。こうした奴隷狩りの習性は、アカヤマアリのようなヤマアリ属の一部の種やヤドリムネボソアリなど、いくつものアリで知られている。しかしそれらの働きアリは同時に通常の労働にも従事することが多く、自分でほとんど働かないサムライアリやその同属近縁種とは異なる。
結婚飛行は7月上旬頃に行われる。アリの新女王は多くの種では、翅を落とした後に1匹あるいは数匹で働きアリの助けを借りることなく巣を立ち上げるが、サムライアリの新女王は単身でクロヤマアリの巣に侵入し、その巣の女王アリを噛み殺して巣を乗っ取る。クロヤマアリの働きアリは侵入者を攻撃するが、撃退に失敗して自分達の女王が噛み殺されるとサムライアリ新女王の世話を始める。この段階にて、女王を殺した後、サムライアリの女王も死ぬ場合や、侵入の際、働きアリに殺される場合もある。
新女王がクロヤマアリの女王を噛み殺す際、表面の成分を舐め取り、女王になりきると考えられている。よって新女王の卵はクロヤマアリの働きアリが世話をして成長する。このように他種の巣を乗っ取って新しい巣を立ち上げる習性はトゲアリ、アメイロケアリ、クロクサアリなどでも知られている。
分布
北海道、本州、四国、九州に分布するが、西日本では少ない。国外では朝鮮半島と中国に分布する[1]。
近縁種
サムライアリ属(Polyergus 属)は全北区から5種類が知られる。全てが奴隷狩りや巣の乗っ取りを行う。参照:en:Polyergus(英語)
- P. breviceps Emery,1893 - 北アメリカ
- P. lucidus Mayr,1870 - 北アメリカ
- P. nigerrimus Marikovsky,1963 - シベリア西部
- P. rufescens Latreille,1798 - 北アメリカ・ヨーロッパ
- P. samurai Yano,1911 - 東アジア(サムライアリ)
参考文献
- 伊藤修四郎ほか監修『学生版 日本昆虫図鑑』北隆館 ISBN 4-8326-0040-0
- 白石拓『トンデモない生き物たち』宝島社 ISBN 4-7966-5318-X
外部リンク
- サムライアリ - 日本産アリ類画像データベース
- Polyergus samurai AntWiki
- ^ “JAnt: サムライアリ (Polyergus samurai)の解説”. ant.miyakyo-u.ac.jp. 2025年6月28日閲覧。
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