サイズの決定と分布
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/23 15:31 UTC 版)
「太陽系外縁天体」の記事における「サイズの決定と分布」の解説
特徴として、大きな (明るい) 天体は典型的には傾いた軌道にある一方、不変面は主に小さく暗い天体を再分類する。 太陽系外縁天体の直径を推定するのは難しい。例えば冥王星のように、非常に大きく軌道要素も非常によく分かっている天体の場合は、天体が恒星を掩蔽する様子から直径を精密に測定することができる。その他の大きな外縁天体の場合、直径は熱放射の測定から推定できる。天体が照らされている光の強さは太陽からの距離を元に計算でき、また天体表面のほとんどは熱平衡状態にあると仮定する (大気のない天体に対しては一般に悪い仮定ではない)。アルベドが分かっている場合、表面温度と、それに対応する熱放射の強度を推定することが可能となる。さらに、天体の大きさが分かっている場合、地球に届く可視光と熱放射の量の両方を予測することが可能になる。太陽はエネルギーの大部分を可視光線とその周囲の波長で放射しているのに対し、低温である太陽系外縁天体では熱放射は遠赤外線と完全に異なる波長域で発生することも、推定を単純化している要因である。 したがってアルベドと大きさの2つが未知の量となり、これらは反射光の強度と赤外線での熱放射の強度という2つの独立した測定から決定することができる。残念なことに、太陽系外縁天体は太陽から非常に遠く極めて低温であるため、黒体放射のピークは波長にして 60 µm 周辺となる。この波長は地上からは観測できず、スピッツァー宇宙望遠鏡などを用いた宇宙空間からしか観測できない。地上観測では、遠赤外線の波長域にある黒体放射の裾野の部分が観測される。この遠赤外線放射は非常に暗いため、熱放射を用いたサイズ測定は最大級の外縁天体にしか用いることができない。大部分の小さい天体の場合、直径はアルベドの値を仮定することで推定されている。しかしアルベドの取りうる値は 0.50 から小さい場合は 0.05 程度と幅があるため、絶対等級 (H) が 1.0 の天体の場合、直径の取りうる範囲は 1200–3700 km となる。
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