ケーリー=ディクソン代数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/14 21:32 UTC 版)
詳細は「ケーリー=ディクソンの構成法」を参照 実数体、複素数体、四元数体を除くすべてのクリフォード代数 Cℓp,q(R) は、平方が +1 となる非実元を持ち、従って多元体とならない。複素数を拡張する別のアプローチとしてケーリー=ディクソン構成をとることが挙げられる。これにより作り出される数体系は、n = 2, 3, 4, … に対して 2n次元で、その基底 {1, i1, …, i2n−1} の非実基底元 im はすべて互いに反交換し、かつ im2 = −1 を満足する(虚数単位)。こうして得られる多元環は、八次元以上 (n ≥ 3) で非結合的となり、十六次元以上 (n ≥ 4) で零因子を含む。 この系列の初めの方は、四次元の四元数、八次元の八元数、十六次元の十六元数で、次元が上がるごとに代数的対称性がそれぞれ失われていく。実際、四元数の乗法は可換でなくなり、八元数の乗法は結合的でなくなり、十六元数のノルムは乗法的でなくなる。 ケーリー=ディクソン構成の適当な段階において余分な符号を挿入することにより、構成を変形することができる。そうして(多元体を考える代わりに)合成代数の系列に属する「分解型多元環」("split algebra") を作り出すことができる。 分解型複素数:基底 {1, j} (j2 = +1) 分解型四元数(英語版):基底 {1, i, j, k} (i2 = −1, j2 = k2 = +1) 分解型八元数:基底 {1, i1, i2, i3, i4, i5, i6, i7} (i12 = i22 = i32 = −1, i42 = i52 = i62 = i72 = +1) 複素数と異なり、分解型複素数の全体は代数的閉体でなく、さらに零因子や非自明な冪等元を含む。四元数同様に、分解型四元数の全体は非可換だが、さらに冪零元を含む点では異なる(分解型四元数環は M2(R) に同型である)。分解型八元数の全体は非結合的で冪零元を含む。
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