グライダーでの飛行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 23:27 UTC 版)
グライダーでは滑空を行う。つまり基本的には固定翼機と似た機体での飛行であるが、動力無しで飛ぶ。グライダーというのはglide グライド(滑空)するもの、といった呼称である。 基本的には、空気中をほぼ水平だがわずかに斜め下方向に、滑るように進むように設計されている。 中世にヨーロッパで制作されたことがあるとされる滑空装置などはあまり滑空性能は良くなかっただろうと推察されている。ただし17世紀のオスマン帝国の学者ヘザルフェン・アフメト・チェレビは、数千メートルほども滑空するのに成功したとの話が伝わっている。 1m下がる間に何mほど前に進めるか、という値を「滑空比」と言うが、近年のグライダーは空力性能が向上しており、一般的な機体では、数十対1程度の滑空比でとぶことができ、 競技用のグライダー(つまり比較的高性能の機体)では例えば40対1程度の滑空比で飛行できるように設計されている。実際に降下する率は、機体の設計やその時々の気象条件や操縦方法によって異なっている。 ただし、グライダーは上昇してゆくこともできる。上昇気流のある空間を飛行すると、グライダーが空気に対して下降していても、空気が上方向に移動した分、翼が下方から力を受け機体も上へ持ち上げられる。よって十分に大きな上昇気流が起きている空間を飛べば、下降する分よりも上昇する分が上回るので、動力が無いにもかかわらず、上昇してゆくことができる。 一般に、グライダーの飛行では、地表が太陽の熱で温められて生じる、眼には見えない柱状の上昇気流を見つけては、その柱状の空間内で旋回し、グルグルとらせん状に上昇して高度をかせぎ、やがて上空でその柱が消えたあたりでその空間から離脱し、直線的な飛行に移り、高度が下がってゆき、また高度があまり低くなる前に再度上昇気流の柱状の空間を見つける、ということを繰り返す。 トンビなどの鳥が翼を動かさずに、大空で上昇気流を見つけ、くるくると回転しながら上昇してゆくことがあるが、グライダーのパイロットはそれを模倣し、それと同じ原理で高度をかせぐ飛行を行うのである。トンビの飛行と同じで、エンジン音もせず、とても静かに飛行する。静かなこともグライダーの飛行の魅力のひとつだとグライダー愛好家は言う。 グライダーの連続航行距離の世界記録は、アンデス山脈で作られたもので3,000kmを越えている。 「グライダー」も参照
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