グライスの協調の原理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/30 07:22 UTC 版)
ポール・グライスは言語表現が間接的に果たす機能を説明する協調の原理を提案し、今日の語用論の基礎を作り上げた。協調の原理は、次の4つの会話の公理からなる。 量の公理 - 求められているだけの情報を提供しなければいけない。 質の公理 - 信じていないことや根拠のないことを言ってはいけない。 関連性の公理 - 関係のないことを言ってはいけない。 様式の公理 - 不明確な表現や曖昧なことを言ってはいけない。 これらの公理は、会話の参加者が情報を効果的に伝達しようとしている場合に、守られていると仮定されるものである。例えば、「今いくら持っている?」と聞かれて、実際には1200円持っているにもかかわらず「200円持っている」と答えた場合、論理的には真であるが、質の公理に違反しているために不適切な発話となる。 また例えば、「カラオケ行かない?」と聞いて「明日試験なんだ」と言われた場合、相手が会話に協力的であると考えるならば、関連性の公理に基づいて、試験がカラオケに行けない理由であることが推論される。話し手の発話が会話の公理に沿って解釈できない場合は、会話に協力的でないか、あるいは冗談として見なされる。 ジェフリー・リーチはこれを発展させ、新たにポライトネスの原理を導入して敬語や皮肉表現などの分析を行った。
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