クロスオーバー・ネットワーク(パッシブ・ネットワーク)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 23:55 UTC 版)
「スピーカー」の記事における「クロスオーバー・ネットワーク(パッシブ・ネットワーク)」の解説
受動素子のみで構成した音域分割用電気回路を「クロスオーバー・ネットワーク」あるいは「パッシブ・ネットワーク」(ないし単にネットワーク)と呼ぶ。 ネットワークはキャパシタとインダクタによるローパス・ハイパス等のフィルタによるチャネルディバイダと、各帯域のスピーカーの能率の違いによるアンバランスを調整する抵抗によるアッテネータから成る。 ネットワークにより広い範囲の周波数特性を改善することができる。一方、音源の位置が分散され、クロスオーバー周波数付近の位相特性や過渡特性が悪化する。このため、測定や試聴をくり返して最適な回路を組み上げていくのが普通である。 そのため、音域を多数のスピーカーに分割したほうが良いのか、シンプルな構成のほうが良いのかについては、メーカー、ユーザーともに意見が分かれている。 基本的には人間や楽器の再生音域である300Hzから3000Hzの間をネットワークで分割するのは好ましくないとされている。このため、最新のトレンドとしては、中音域のスピーカーに聴覚用で重要な周波数帯を担当させ、それにスーパーウーハーおよびスーパーツイーターを付加したものが増えている。 中心になるのは2wayもしくは3wayである。2wayではクロスオーバー周波数を低くするとツイーターが中音から高音まで広い再生帯域が要求される。一方、クロスオーバーを高くするとウーハーが中音域まで担当するためにコーン紙を軽くする必要があり、低音が不足する傾向がある。このため、低音用ウーハーのサイズが限られ、大音量や低音の再生に限界が出やすい。 3wayの場合は再生の大半は中音域のスピーカーが担当することで低音用のウーハーや高音用のツイーターの負担が減ることと、多数のユニットを使うことで最大音量が出しやすくなる。一方、各音源の位置が分散すること、クロスオーバーで位相や過渡特性の乱れが出やすいこと、各ユニットの音質を揃えることが難しいなどの問題がある。 ネットワークの設計において最も重要なのは、クロスオーバー周波数を適切に設定することである。ユニットを増やせば増やすほど再生できる音域は広がるが、反面クロスオーバー周波数が増えることでネットワークの設計が難しくなる。
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