キンバリー・ウィリアムズ・クレンショー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 19:39 UTC 版)
「インターセクショナリティ」の記事における「キンバリー・ウィリアムズ・クレンショー」の解説
交差性を意味する「インターセクショナリティ」という用語は、法学者であるキンバリー・ウィリアムズ・クレンショーが1989年に発表した論文『人種と性の交差点を脱周縁化する:反差別の教義、フェミニスト理論、反人種差別主義政治に対するブラック・フェミニスト批評』で初めて使われた。 クレンショーは黒人女性たちによるフェミニズム運動、ブラック・フェミニズム(英語版)に言及し、黒人女性が経験する人種差別と性差別という二つの抑圧はそれぞれ独立しているものではなく、人種差別と性差別が交差することで生まれる新たな側面、特にそれぞれの抑圧と差別が互いをより強固にする側面を認識する必要があると論じた。また、米国における人種的なマジョリティである白人女性が経験する抑圧と、有色人種の女性が経験する抑圧には、人種や階級の差から生じる違いが存在し、それが認識されていないフェミニズムには有色人種の女性の経験が反映されていないと指摘した。クレンショーの論文では、DVやレイプなどの男性による女性への暴力の分析が行われ、有色人種の女性は人種による暴力とジェンダーによる暴力の両方を複合的に経験していると論じた。 抑圧だけでなく、抑圧に対する抵抗運動においても有色人種の女性は周縁化されているとし、公民権運動などの反人種差別の議論と反性差別の議論がそれぞれ独立したものとして行われることで、どちらの運動においても有色人種の女性の経験は排除されていると指摘した。この論文発表以後、「インターセクショナリティ」という用語は人種問題、アイデンティティ政治、公権力による規制など、社会問題やその法整備についての議論の重要なキーワードとして認識されるようになった。
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