キチェ・マム語群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/28 17:21 UTC 版)
キチェ・マム語群の諸言語はグアテマラ高地で使われている。 グアテマラ高地で最も話者の多いマヤ語であるキチェ語の話者数は92万人(2001年)。マヤ神話として有名な『ポポル・ヴフ』も古風なキチェ語(古典キチェ語)で書かれている。キチェ語はチチカステナンゴ、ケツァルテナンゴの2つの町とクチュマタン山地を中心に使われている。キチェ文化はスペイン征服時に最盛期にあった。 ケクチ語はグアテマラではキチェ語についで多い約80万人の人口を持つ。本来アルタ・ベラパス県の一部に住んでいたが、19世紀以降に居住地域を拡大し、アルタ・ベラパス県全体、バハ・ベラパス県の一部、キチェ県や低地のペテン県、イサバル県、およびベリーズにまで広がった。グアテマラのマヤ諸言語のうちで話される面積は最大である。 カクチケル語はキチェ語地域の南で話される。話者人口は48万人(2001年)。かつてスペインと協力してグアテマラを統治したカクチケル族の言語であり、グアテマラの歴代の首都であるイシムチェ、シウダー・ビエハ(英語版)、アンティグア・グアテマラ、グアテマラシティなどで話されている。『カクチケル年代記』は古典カクチケル語で書かれている。 マム語はキチェ語地域の西、サン・マルコス県、ケツァルテナンゴ県、ウェウェテナンゴ県に分布し、隣接するメキシコのチアパス州でも話される。グアテマラではキチェ語とケクチ語についで話者人口が多く、約52万人(2001年)。 ツトゥヒル語は約4万7千人(2001年)がアティトラン湖付近で話されている。 ウスパンテコ語はエル・キチェ県のウスパンタン地方固有の言語であるが、特にノーベル平和賞を受賞したリゴベルタ・メンチュウの母語として知られる[要出典]。 アチ語はメキシコ・バハ・ベラパス県の一部で使われている。かつてキチェ語の方言とみなされていたが、SILの『エスノローグ』(2005年、Raymond G. Gordon, Jr.編)で別の言語とされ、グアテマラも公式に別の言語として認めている。しかし現在も言語学者の多くはキチェ語の方言と見なしている。 キチェ語とアチ語に近い他の2つの言語に、シパカペンセ語(サン・マルコス県シパカパ(英語版))、サカプルテコ語(キチェ県サカプラス(英語版)の一部)があるが、いずれも使われる範囲がごく狭い。 ポコム語群のポコムチ語はアルタ・ベラパス県南部と、隣接するバハ・ベラパス県のプルラ(英語版)で使われている。近い関係にあるポコマム語の話される地域はグアテマラ東部に散在し、かつてはエルサルバドルでも話されていた。
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