ガノイン鱗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 06:46 UTC 版)
ガノイン鱗はチョウザメ目、ヘラチョウザメ、ガー目、アミア・カルヴァ、ポリプテルスで見られる。それはコズミン鱗から派生したもので、鋸歯状の先端であることも多い。この鱗はコズミンの代わりに硬いエナメルみたいな象牙質の層と、ビトロデンチンの代わりにガノインと呼ばれる無機骨塩の層とで覆われている。 ガノインはガノイン鱗の特徴的な成分である。それはガラス状で、鱗を覆う多層化されたミネラル化組織であることも多く、一部の条鰭類(ガー、ポリプテルス、シーラカンスなど)では頭蓋骨や鰭条をも覆っていたりする。それは棒状のアパタイト結晶で構成されている。ガノインは、例えば条鰭類のステムグループであるケイロレピスなどの鱗に見られる古代の条鰭類の特徴である。条鰭類の共有派生形質上の特徴だと見なされることも多いが、ガノインないしガノイン状組織は絶滅した棘魚類でも発見されている。ガノインは、脊椎動物における歯のエナメル質と相同性があると示唆されており、エナメル質の一種とさえ考えられている。 Amblypterus striatus 絶滅した石炭紀の魚類Amblypterus striatusのガノイン鱗。(a)は鱗4枚の外面を示したもので(b)は鱗2枚の内面を示したもの。アンブリプテルス科の菱形をしたガノイン鱗はそれぞれ内側の一端に隆起があって、次の鱗の窪みにちょうど収まる釘の役目を果たすように作られており、言うなれば家の屋根に瓦を釘打ち固定する方法に似ている。 大半のガノイン鱗は菱形で、隆起と凹みの組み合わせで繋がっている。一般的にこの鱗は厚くて、他の鱗のように積み重なるというよりもジグソーパズルみたいに組み合わさっていく。この方法でもガノイン鱗は殆ど貫通を許さず、捕食に対する優秀な保護である。 アリゲーターガーには、菱形をしたガノイン鱗の頑強な装甲がある チョウザメには、稜鱗状の甲板に大型化したガノイン鱗の列がある アミア・カルヴァのガノイン鱗はサイズが小さくなって円鱗に似ている チョウザメ科では側面と背中に沿って鱗が非常に大型化した硬鱗があり、アミア・カルヴァでは鱗が円鱗に似た厚さへと大幅に小型化している。 アリゲーターガーのガノイン鱗から作られたイアリング ガノイン鱗がある原始的な条鰭類の化石 化石になったレピドテスのガノイン鱗。約1.3億年前 アメリカ先住民とカリブ海域の人々は、アリゲーターガーの頑強なガノイン鱗を矢の先端部や胸当てに使っていた。現在ではアクセサリーがこれらの鱗から作られている。
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