カタセンガナ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 09:28 UTC 版)
カタセンガナ(肩線ガナ)とは、カタカナの各文字の上の横線の高さがそろった活字書体である。上の横線の高さをそろえるのは、横書きのカタカナの文章をわかち書きして組んだときに、単語がひとまとまりに見えるようにする工夫である。 山下芳太郎は、平尾善治(ひらお よしはる)および内閣印刷局(現在の国立印刷局)技手の猿橋福太郎(さるはし ふくたろう)に書体の設計を依頼している。また、松坂忠則は「ツル」という書体を、稲村俊二は「スミレ」という書体を設計している。松坂の「ツル」は1928年にローヤル(Royal)のタイプライターに取りつけられた。 1925年には、カナモジカイはカナモジ書体の懸賞募集をおこない、大和幸作がつくった書体が選ばれた。この書体は、賞金を出した星野行則にちなみ、「ホシ」と名づけられた。この書体の各種の活字が設計され、また、1928年にはレミントン(Remington)のカナタイプに採用された。 ミキ イサムは、彫刻家であるとともにプロの書体設計者であった。彼はカタセンガナの書体を多く設計した。彼が1949年以降に順次設計した「アラタ」ファミリーは、現在、カナモジの版を組むときに最も好まれる書体となっている(現在、「アラタ」「MKアラタ」がモトヤより販売)。 ミキは和歌山県 和歌山市に生まれ、1922年に和歌山中学校を卒業した。1925年のカナモジ書体の懸賞募集によってカナモジカイを知り、カナモジカイに入った。彼はその後東京美術学校彫刻科を卒業し、同研究科を修了した。1946年から1959年まで凸版印刷に勤務する間に活字の設計を学んだ。 ミキが1967年に日立製作所のために設計したタイプライター用の書体は、カタカナ、数字、ラテン文字の大文字、および記号のほかに、数十文字の漢字を含んでいる。この書体は一時期、日本国有鉄道のマルスにおいて、きっぷを印刷するデータ・タイプライターに使われた。ミキはまた、IBMのモデル72電動カタカナタイプライターのためのカタカナ書体も設計した。 なお、カナモジカイのカタカナ書体については、佐藤敬之輔『カタカナ』口絵1から4、36から43ページに詳しい。
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