カスタムチップセット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 17:02 UTC 版)
AMIGAは発売当初より複数の強力なカスタムチップを搭載していた。4096色パレット中16色表示、ないしは32色表示、特殊モードであるHAMでは4096色全部を表示、スプライト機能を有するグラフィックのAgnusとDenise、PCM音源同時発音数4音と、サウンド関連の処理を得意としたPaulaの3つである。この3つのカスタムチップの組み合わせを後にOCS(Original Chip Set)と呼ぶ。そして、これらのカスタムチップはCPUの命令を介さず、独自にメモリにアクセスできる権限を持っていた。これをダイレクトメモリアクセスと呼ぶ。 後にアクセスできるメモリー数を増やしたECS(Enhanced Chip Set)がAmiga 500Plus、そしてAmiga3000での標準カスタムチップセットとなった。 なお、実際はAmiga 3000の設計時には後にAmiga 4000、Amiga 1200、そしてAmiga CD32に搭載されたカスタムチップセットであるAGA(Advanced Graphics Architecture、またはイギリスではAdvanced Graphics Arrayと呼ぶ)チップセットは完成していたらしいが、コモドールはAmiga 3000に搭載することをわざわざ見送ったらしい。AGAチップセットの内訳は画像関係はAlice、Lisaというカスタムチップが処理し、音声関係は再びPaulaが扱った。これでAmigaは24bitカラー中256色を同時発色、特殊モードであるHAM-8では262,144色を同時発色できるようになっていた。 また、ライバル機であるアップル Macintoshは初期は白黒2色表示であり、Amigaより高価だったにもかかわらず画像表示の点で市場に与えるインパクトは初代Amigaには到底及ばなかった。しかし、Macintoshは1987年のMacintosh IIで256色同時表示を実現し、のちに24ビットカラーに移行していく。Macの描画エンジンであるQuickDrawはカラー化を考慮して設計されており、Amigaのような互換性問題はほとんど生じなかった。カスタムチップに頼らずソフトウェアの工夫で様々な機能を実現するというMacintoshの設計思想はAmigaとは対照的であり、Amigaの強力なカスタムチップは、互換性を保ちながら高性能化を図っていくにあたって足枷となった点も否定できない。
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