オニャンコポンの位置づけ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 07:37 UTC 版)
「オニャンコポン」の記事における「オニャンコポンの位置づけ」の解説
ニャメ、オニャンコポン、オドマンコマといったようにアカン語には類似する概念を表す語が見られるが、これらの関係はアカン語話者の間でも統一されていない。 先に述べたように、オニャンコポンはニャメの別名であるとされたり、同一視されたり、時には化身であるとされる。特にニャメ、オニャンコポン、オドマンコマの3柱に関しては完全に同一神の別名ととる方法と、同一神の持つ3種類の様相であるとする三位一体(トリニティ)に近い考え方、完全に別々の三人組であるという捉え方がある。 たとえばフォルデ(Forde)はオニャンコポン、トウィドゥアンポン、ボレボレ、オトゥムフー等の神々の名前のそれぞれを最高神オニャンコポンの称号に過ぎないとしている。ボレ(Bolle)はオニャンコポンの名前の構造からアシャンティの宗教に単一神性を見出している。すなわちオニャンコポンを「神(ニャメ) + 単一性 + 偉大さ(Nyame + ko + pon)」と捉える。 またアシャンティのことわざからオニャンコポンとオドマンコマの同一性をさぐっている。すなわち「創造神はすべてを作った(odomankoma nyankopon boo ade nyinaa)」の主語をオドマンコマ・ニャンコポンと読む。 一方でダンクア(Dr. Danquah)などはニャメを宇宙の創造主、オニャンコポンを生命の創造主、オドマンコマをこれらを調整し世界を成り立たせるものとして位置づけ、アカン語話者の宗教の神の三人組(triad)をなすとしている。 これらの神としての役割分担は、3柱の神々を同一神の3つの様相(triune)であるとするトリニティ的な読み取り方であってもニャメ(宇宙)、オニャンコポン(生命)、オドマンコマ(調和)といった具合に同じような役割を持たせている。 メイェロウィッツ(Mrs. Meyerowitz)はオドマンコマを創造神とし、ニャメとオニャンコポンで三人組をなすとする。その上でニャメを母、オニャンコポンをその息子、オドマンコマは祖先であるという切り口からアプローチしている。 ニャメとオニャンコポンを区別する場合はニャメを月の象徴であり女性であるとし、オニャンコポンを太陽の象徴であり男性であるとする。オニャンコポンは概ね男性神として語られ、妻は大地の神アサセ・ヤ(asase ya)である。一方でニャメがオニャンコポンと区別される場合は、例外もあるが、ニャメは女性神として扱われ、配偶神はアサセ・ヤー(Asase yaa)となり男性名になる。ニャメとオニャンコポンが同一視される場合はニャメ/オニャンコポンは男性神となり、配偶神は女性神アサセ・ヤとなる。アナンシの叙事詩ではアナンシの父がニャメで母がアサセ・ヤとして語られている。 アカン語の聖書(Twerɛ Kronkron など)における「神」はオニャンコポンの語を用いて訳されている。
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