エネルギースペクトル密度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/07 20:14 UTC 版)
「スペクトル密度」の記事における「エネルギースペクトル密度」の解説
エネルギースペクトル密度 (ESD) は、信号や時系列のエネルギーが周波数についてどのように分布するかを示す。f(t) が有限エネルギー信号であるとき、その信号のスペクトル密度 ESD(ω) は、信号をフーリエ変換したときの大きさの2乗である(ここで、エネルギーは信号の2乗を積分したものであり、その信号を電圧として 1Ω の負荷に加えたときの物理エネルギーに等しい)。 E S D ( ω ) = | 1 2 π ∫ − ∞ ∞ f ( t ) e − i ω t d t | 2 = F ( ω ) F ∗ ( ω ) 2 π {\displaystyle ESD(\omega )=\left|{\frac {1}{\sqrt {2\pi }}}\int _{-\infty }^{\infty }f(t)e^{-i\omega t}\,dt\right|^{2}={\frac {F(\omega )F^{*}(\omega )}{2\pi }}} ここで ω は角周波数(周波数に 2 π {\displaystyle 2\pi } を掛けたもの)であり、F(ω) は f(t) の連続フーリエ変換、F*(ω) はその複素共役である。 1 / 2 π {\displaystyle 1/2\pi } という係数は絶対的なものではなく、フーリエ変換での正規化定数の定義に依存する。 例として、f(t) が伝送路を通って伝播する電気信号の電位を(ボルトで)表す場合、スペクトル密度 ESD(ω) の測定単位は volt2×seconds2 として現れるが、物理学のスペクトルのエネルギー密度としてはまだ次元的に正確ではない。しかしながら、(オームで表される)伝送路の特性インピーダンス Z によって除算すると、ESD(ω) の次元は1オーム当たり volt2×seconds2 になる。これは、1 ヘルツ当たりのジュール(物理学で定義されるスペクトルのエネルギー密度の国際単位)と等価となる。 信号が離散的で、値が fn = f(n,dt) で表されるとした場合、無限に続くとするならエネルギースペクトル密度は次のように得られる。 E S D ( ω ) = | d t 2 π ∑ n = − ∞ ∞ f n e − i ω n | 2 = d t 2 2 π F d ( ω ) F d ∗ ( ω ) {\displaystyle ESD(\omega )=\left|{\frac {dt}{\sqrt {2\pi }}}\sum _{n=-\infty }^{\infty }f_{n}e^{-i\omega n}\right|^{2}={\frac {dt^{2}}{2\pi }}F_{d}(\omega )F_{d}^{*}(\omega )} ここで、F(ω) は fn の離散時間フーリエ変換である。数学ではサンプリング間隔 dt を 1 として扱うことが多い。しかしながら、正確な物理単位を維持するためと、dt → 0 とした場合に連続時間の関数へ逆変換できることを保証するためには dt が必要となる。
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