インボイス
英語:invoice
インボイスとは、「送り状」を意味する英語であり、一般的には貿易における取引内容が記された文書のことである。あるいは、消費税の仕入税額控除の方式として2023年に導入される「適格請求書等保存方式」の通称である。
貿易に用いられる書類としてのインボイスは、売買される品目やその数量、価格、売り手と買い手、等々、取引にかかる一通りの情報が記されている、通関手続き上の最重要書類である。送り状の役割に加えて請求書としての役割もあり、「送り状兼請求書および取引の明細を記した証明書」を指す用語が「インボイス」である、とも言い得る。インボイスのフォーマット(書式)は日本の商習慣における「送り状」や「請求書」よりも細かい。
インボイスは従来、半ば貿易用語として用いられてきたが、日本国内でも複数の消費税率に対応する制度として「適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)」が導入されることになり、「インボイス」の語は貿易の文脈に限った用語ではなくなりつつある。いわゆるインボイス制度は「売り手が、買い手に対して正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段」と位置づけられており、簡易に「税額票」と呼ばれることもある。2018年からビジネス系メディアを中心に「2023年にインボイス(税額票)制度が始まる」という言い方がインボイスに言及される例が増えている。
インボイス【invoice】
インボイス
(インヴォイス から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/12 06:22 UTC 版)
インボイス(英: invoice)とは、「商業送り状」を指す英語[1]。転じて、納品書、請求明細書の意味も兼ねる[2]。単に「送り状」と訳されることもあるが、通常は国内郵便物と区別される[1]。
国際商業会議所が制定している国際貿易上の統一ルールのひとつである[3]。
複数の意味を以下に示す。
商業インボイス
国際貿易において、発送貨物の詳細などを記入して送付する送り状[4]。輸入上必要とされる事項はできるだけ記載される[1]。個別品目ごとに税率・税額を明記する「税額票」の意味も持つ[5]。
また、通関、関税に必要な書類で[1]、特に貨物手続きには必要不可欠であり、外国へ発送される貨物には全て商業インボイスを添付することが義務付けられている[6][7]。日本法においては商法570条1項にインボイスに関する規定がある(Wikibooks:商法第570条)[3]。
貿易上のインボイスは商用インボイスと公用インボイスの2つに大別でき[8]、公用インボイスには、輸出国駐在の輸入国領事が証明する領事インボイス (consular invoice) や、輸入国税関用の税関インボイス (customs invoice) がある[1]。
なお、送り状自体にはなんら請求権を表示しないが、荷為替取組みの場合は必須船積書類のひとつとなる[7]。
インボイス制度
日本では2023年10月1日に導入された、消費税に関する請求書の発行制度である[9]。
国税庁では「事業者が消費税を適切に納めることを目的として、(中略)請求書・領収書(インボイス)を元に計算する仕組み」と説明している[10]。
これまで売上高1千万円以下なら仕入れ価格を免税されていた免税事業者が課税対象者となる政策である[9]。
関連項目
- インボイス (企業) - 企業向け通信料金一括請求サービスを主たる事業とする日本の企業[11]。
- 埼玉西武ライオンズ (ファーム) - 上記企業による命名権取得によって、2005年から2006年までチーム名を「インボイス」としていた。
- INVOICE(invoice) - 高木隆次と松井智孝による音楽ユニット。
脚注
- ^ a b c d e 日本大百科全書 ニッポニカ.
- ^ 英辞郎 on the web. “invoiceとは”. アルク. 2024年12月22日閲覧。
- ^ a b 世界大百科事典(旧版).
- ^ 精選版 日本国語大辞典.
- ^ 知恵蔵mini.
- ^ ASCII.jpデジタル用語辞典.
- ^ a b ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典.
- ^ 百科事典マイペディア.
- ^ a b 共同通信ニュース用語解説.
- ^ “インボイス制度について”. 国税庁. 2024年12月22日閲覧。
- ^ 日本の企業がわかる事典2014-2015.
参考文献
- 「インボイス」『精選版 日本国語大辞典』小学館。コトバンクより2022年5月13日閲覧。
- 鳥谷剛三「インボイス」『日本大百科全書 ニッポニカ』小学館。コトバンクより2022年5月13日閲覧。
- 「インボイス」『知恵蔵mini』朝日新聞社。コトバンクより2022年5月13日閲覧。
- 「インボイス」『ASCII.jpデジタル用語辞典』角川アスキー総合研究所。コトバンクより2022年5月13日閲覧。
- 「インボイス」『百科事典マイペディア』平凡社。コトバンクより2022年5月13日閲覧。
- 「インボイス」『日本の企業がわかる事典2014-2015』講談社。コトバンクより2022年5月13日閲覧。
- 「インボイス」『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』ブリタニカ・ジャパン。コトバンクより2022年5月13日閲覧。
- 「インボイス」『世界大百科事典(旧版)』平凡社。コトバンクより2022年5月13日閲覧。
- 「インボイス制度」『共同通信ニュース用語解説』共同通信。コトバンクより2024年12月22日閲覧。
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