インド神話・仏教説話のシュンバ・ニシュンバ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 01:37 UTC 版)
「降三世明王」の記事における「インド神話・仏教説話のシュンバ・ニシュンバ」の解説
『マールカンデーヤ・プラーナ』において、アスラ神族の兄弟シュンバ(シュムバとも)とニシュンバ(ニシュムバとも)という名は、それぞれ同じく「殺戮者」という意味である。シュンバとニシュンバは地上にあるあらゆる富を所有していた。二人は、かつて世界(天界・地上界・地下界の三界)の王だったマヒシャの無念を晴らすべく三界をアスラ神族の元へと奪還し、兄弟でアスラ王となった。 しかもシュンバ・ニシュンバ兄弟は、 かつてスンバとニスンバという二人のアスラは、傲慢と力を頼りに、シャチーの夫から三界と祭祀の分け前を奪った。同様に、両者は太陽神と月神の権限、またクベーラとヤマとヴァルナの権限を行使した。また風の能力と日の祀りも。そして神々は掃討され、王権を失い、制覇された。大アスラ二人に権限を奪われ追放された神々はみなあのアパラジーター女神の事を思い出した。 — 宮坂 宥峻、 「降三世品の思想背景について」67(0)、『智山学報』2018年、pp.6-7 と様々な権限を有したうえでの三界の兄弟王となったのである。 ある日、部下のチャンダとムンダがガンジス河でアムビカーという女性を見て恋に落ち、彼女と結婚してはどうかと上司のシュンバに提案した。シュンバはさっそくアムビカーのところへ行って求婚した。これに対しアムビカーの答えは「戦いにおいて自分に打ち勝った者だけが私の夫になる資格がある」と告げるやいなや、正体を現した。彼女は女神ドゥルガー、すなわち、かつてアスラ王マヒシャを倒したその人であった。 こうして三界は再び戦争に陥った。シュンバ・ニシュンバの軍勢はデーヴァ神族を圧倒したが、ドゥルガーが戦場で活躍するチャンダとムンダと戦った際、彼女の怒りから黒き殺戮の女神カーリー(迦利)が生まれて二人を倒した。強力なアスラ・ラクタヴィージャはカーリーに傷つけられると流れた血から数多の魔神を作ったが、カーリーはその魔神達を片端から飲み込み、ラクタヴィージャの血も飲み尽くしてこれを倒した。ドゥルガーはさらに8つの姿に変化しながら兄弟王に挑み、まずニシュンバを倒した。しかし強力なシュンバには手こずり、ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァ、インドラの助力を得て、ようやくシュンバを倒すことができたという。 しかし、仏教の説話では、仏の教えに従わない神々の王大自在天(シヴァ)と、その神妃、烏摩妃(パールヴァティー)を降伏させるため金剛手菩薩(金剛薩埵)は、アスラの兄弟シュンバ・ニシュンバの真言を用いてアスラとしての姿を取ったうえでシヴァとパールヴァティーを踏み殺した上でもう一回命を吹き込み、調伏した[要出典]。
※この「インド神話・仏教説話のシュンバ・ニシュンバ」の解説は、「降三世明王」の解説の一部です。
「インド神話・仏教説話のシュンバ・ニシュンバ」を含む「降三世明王」の記事については、「降三世明王」の概要を参照ください。
- インド神話・仏教説話のシュンバ・ニシュンバのページへのリンク