インターセックス・イニシアティヴ (IPDX)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:46 UTC 版)
「性分化疾患」の記事における「インターセックス・イニシアティヴ (IPDX)」の解説
インターセックス・イニシアティヴ (Intersex Initiative, IPDX) はアメリカ合衆国のもう1つの当事者団体である。日本にも支部がある。 「子どもの身体ではなく社会を変える」べきであるとして、インフォームド・コンセントを求めており、特に外科的な処置に対しては否定的である が、 インターセックスの症状を持つ当事者の大多数は自分のことを標準とは違った身体的特徴を持つ「男性」もしくは「女性」であると認識しており、自分の身体がその中間にあるとはあまり考えない。事実、インターセックスとは男性もしくは女性の標準的な定義の「外側」を指す言葉であって、必ずしも両性の中間的なものだけを指す言葉ですらない。多くの当事者は、自己認識に反する「中間の性=インターセックス」というラベルを自分に当てはめることはないし、かれらの家族はなおさら自分たちの子どもが「中間の性」であると受け入れようとはしない。かれらが受け入れるのは、あくまで「先天性副腎皮質過形成」「アンドロゲン不応症候群」といった診断名であって、「インターセックス」という大きなカテゴリではない と、大多数が通常の男性もしくは女性の性同一性を持っているという現実とかけ離れた「男でも女でもない性」という印象を与える「インターセックス」との用語が与える弊害の大きさから、「disorders of sex development」という言葉に対しては慎重に中立を保ちながらも、 「障害」という括りに疑問を感じる人もいるけれど、DSDというのは少なくとも多くの当事者及びその家族が自称できる言葉であり、その点「インターセックス」よりはるかに優れている。「障害」という言葉が持つネガティヴな印象については、逆に「障害」であるからこそ障害者運動や障害理論に繋がることができるのだ、とポジティヴに捉えてみたい。それに、「医療化」に伴うさまざな問題を解決するには、インターセックスを「脱医療化」することでなく、医療そのものを変革する方が良いとわたしは思っている と、プラグマティックな意味で受け入れるという立場をとっている。インターセックス運動には「実際にはインターセックスでない人達が多く紛れ込んでいた」と、ある団体を 示唆する一方で、DSDコンソーシアムの決定には「実際の患者の声はほとんど反映されず」「当事者団体のリーダーはその構成員を売り渡したと疑われ支持者の多くに失望されてしまった」 としている。 推進派・反対派のどちらも「子どものノーマライゼーション=手術や投薬による矯正」を望んではおらず、ラベリングから逃れたいと望んでいることでは共通していると整理した上で、「disorders of sex development」という語は前進ではあるが問題も残るとして、個人的には「anomalies of sex development」という用語を好むとし、「disorders of sex development」は「医学的な側面を指す用語としては容認できる」が、IPDXとしては団体名なども含めて「『インターセックス』という言葉も使う」としている。
※この「インターセックス・イニシアティヴ (IPDX)」の解説は、「性分化疾患」の解説の一部です。
「インターセックス・イニシアティヴ (IPDX)」を含む「性分化疾患」の記事については、「性分化疾患」の概要を参照ください。
- インターセックス・イニシアティヴのページへのリンク