標準的な定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/18 10:17 UTC 版)
モジュラー群とは次の群のことをいう。 S L ( 2 , Z ) = { ( a b c d ) | a , b , c , d ∈ Z , a d − b c = 1 } {\displaystyle SL(2,\mathbf {Z} )=\left\{\left.\left({\begin{array}{cc}a&b\\c&d\end{array}}\right)\right|a,b,c,d\in \mathbf {Z} ,\ ad-bc=1\right\}} 正の整数 k にたいし、重さ k のモジュラー形式とは、次の 3つの条件を満たす上半平面 H = {z ∈ C, Im(z) > 0} 上の複素数値函数 f である。 (1) f は H 上の正則函数である。 (2) H のすべての z と上記の SL(2,Z) のすべての行列に対し、 f ( a z + b c z + d ) = ( c z + d ) k f ( z ) {\displaystyle f\left({\frac {az+b}{cz+d}}\right)=(cz+d)^{k}f(z)} が成立する。 (3) f は、z → i∞ として正則である。 注意: 奇数の k に対し、零関数しか第二の条件を満たさないことに注意する。 第三の条件は f が「カスプにおいて正則である」ということもできる。用語は以下で説明する。 第二の条件は、行列 S = ( 0 − 1 1 0 ) {\displaystyle S=\left({\begin{array}{cc}0&-1\\1&0\end{array}}\right)} と T = ( 1 1 0 1 ) {\displaystyle T=\left({\begin{array}{cc}1&1\\0&1\end{array}}\right)} で考えると、 f ( − 1 / z ) = z k f ( z ) {\displaystyle f(-1/z)=z^{k}f(z)\,} と f ( z + 1 ) = f ( z ) {\displaystyle f(z+1)=f(z)\,} であることが分かる。S と T はモジュラー群 SL(2,Z) を生成するので、上の第二の条件はこれら 2つの条件と同値である。 f ( z + 1 ) = f ( z ) {\displaystyle f(z+1)=f(z)} であるので、モジュラー形式は周期 1 をもつ周期函数であり、従ってフーリエ級数展開を持つ。
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