インコの売買
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 07:55 UTC 版)
ペットとしてのインコの人気は、鳥の売買取引(しかも多くは非合法のもの)を隆盛に導いた。この結果、現在では絶滅の危機に瀕している種もある。野生のインコの捕獲に加え、生息地の破壊により生存が難しくなったり、種類によっては不可能にすらなってきている。 野生インコの売買はいくつかの国では衰えることなく続いている。2007年1月にはメキシコにおける野生インコ取引を赤裸々に描いたレポートが発表されている。このレポートでは「メキシコで捕獲されたインコの大多数は国内での売買のため国内にとどまる。捕獲されたうちわずかなパーセンテージ(4%-14%)が合衆国に密輸される」と述べている。 この問題のスケールは1996年のトニー・シルヴァ事件をみることで理解することができる。これはテネリフェ島のLoro Parque(ヨーロッパ最大のインコ園)のディレクターにして世界的に高名なインコ専門家であったトニー・シルヴァが、スミレコンゴウインコ(極めて高額で取引される)の密輸の廉で合衆国において82ヶ月間投獄され、100,000ドルの罰金を科されたものである 。この事件は鳥類の保護および取引に対する規制の強化を求める声を呼び起こした。各国はそれぞれ独自に国内・国際取引を規制している。例えばオーストラリアでは1960年以降 固有種の輸出を禁止している。合衆国では唯一の固有種を「絶滅危惧種に関する法律」"Endangered Species Act"により保護し、そして他の国の鳥を「野鳥保護法」Wild Bird Conservation Act によって保護している。何百ものNGOによるキャンペーンや鳥インフルエンザの発生がきっかけとなって、2007年7月に欧州連合は野生の鳥の輸入を永久禁止とした 。2005年10月末に始まった一時的な輸入禁止措置の前には、EU域内には毎年 国際市場の取引量のおよそ90%にあたる約200万羽の生きた鳥が輸入され 、そのうちインコは数十万羽を占めていた。合衆国においては移入種のインコを保護する国内法がない。メキシコには自国の野鳥を捕獲、売買するための免許制度があるが、法律が十分に執行されているとは言えない状態である。
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