アラビア語などからの外来語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/22 01:34 UTC 版)
イスラム教徒である以上、回族の話す漢語において若干のアラビア語などからの外来語が存在する。一例を挙げれば、阿米乃、安拉、古蘭、穆罕黙徳、色俩目、爾咱布などである。それらの中には漢語としての同化度の高い語彙もあれば、依然、外来語だという意識の方が強い語彙もある。同化度の高い語彙はそれを表記する漢字もおおよそ固定され、使用されている漢字通りに発音される傾向が強い。その一方で、あまり同化が進んでいない語彙に関しては、それを表記する漢字もまちまちで、発音も固定されていない。声調も不明瞭で、漢語には存在しない(元となったアラビア語などの原音に近い)音節で発音されることもある。 回族の話す漢語がアラビア語からの外来語を取り入れる際には一定の法則のもとに取り入れられている。アラビア語には母音に長短の区別が存在する。i,uにおいては、長短の区別を考慮せずに取り入れられているが、aに関しては、長短区別されて取り入れられている例が多い。アラビア語の長母音a:は母音aを含む漢字で取り入れられ、(اخرةaakhirah>阿黑热提aheireti,كافرkaafir>卡非日kafeiri)短母音aに関しては、ai,eの母音を含む漢字で取り入れられている例が多い。(احمدahmad>艾哈默德aihamode,كلمةkalimah>克立麦kelimai) アラビア語は日本語の促音のように同じ子音を二回繰り返す発音が存在するが、漢語にはそのような発音が存在しないため、これを取り入れる場合は、直前の母音を鼻音尾を含む漢字を使用して取り入れる例が多い。(اللّهAllah>安拉Anla,حجhajj>罕志hanzhi) アラビア語にはlとrの区別が存在する。古中国語や、南方の多くの方言にはこの区別が存在しないため、古い時代に取り入れられた語はアラビア語のlとrを区別せず、lで発音する漢字で取り入れられている。(قرآنqur`aan>古兰gulan,رمضانramadaan>莱麦丹laimaidan)現代漢語の北方方言は、lとrを区別するため、アラビア語のrを、rを含む漢字で取り入れる例が多くなっている。(رزقةrizqah>瑞孜给ruizigei,رجیمrajiim>热支目rezhimu) そのほか、アラビア語にはt,s,zなどに強調子音が存在する。これらの発音を含む語を取り入れる場合、介母音uを含む漢字で取り入れる例が多い。(شیطانshaitaan>筛团尼shaituanni,صلاةsalaah>索俩提suoliati,ضلالdalaal>醉俩里zuiliali)ペルシア語、ウルドゥー語、トルコ語などがこの強調子音を区別せずに取り入れているのに対し、回族の言語にはこの区別が存在している点は特徴的である。同様にペルシア語などで区別されずに取り入れられている有声咽頭摩擦音も、回族の言語ではerの漢字で取り入れられており、声門音と区別されて取り入れられている点も特徴の一つである。(عزابazaab>尔咱布erzabu,عیسی'Iisaa>尔萨ersa) アラビア語のghの発音を含む語はeの漢字で取り入れている例が多い。(مغفرةmaghfirah>麦呃非热提maiefeireti,مغربmaghrib>麦俄力布maielibu) qの発音を含む語はgの漢字で取り入れられている。現代の北方の中国語にはgi,ki,hi,fiといった音節の組み合わせは存在しない。そのため、そのような発音を含む語を取り入れる場合、gei,kei,hei,feiなどの漢字で取り入れるか、もしくは、ji,qi,xiなどの漢字で取り入れられるか場合によって異なる。また子音を単独で取り入れる場合、i,u,eなどの口の開きの小さい母音を含む漢字で取り入れることが多いが、nやmに関しては直前の漢字を鼻音尾を含む漢字にして取り入れる例も多い。その他、アラビア語のlaの長音が、漢語ではliaの漢字で取り入れられている点も特徴的である。(سلامsalaam>色俩目seliamu, صلاةsalaah>索俩提suoliati) 漢語は大変音節上の制約が多い言語であるため、多数の例外が存在する。
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