アトラス_(衛星)とは? わかりやすく解説

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アトラス (衛星)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/21 00:21 UTC 版)

アトラス
Atlas
仮符号・別名 仮符号 S/1980 S 28
別名 Saturn XV
分類 土星の衛星
発見
発見年 1980年10月
発見者 R・J・テリー
ボイジャー1号
軌道要素と性質
元期:2003年12月31日
平均公転半径 137,670 ± 10 km[1]
離心率 (e) 0.0012[1]
公転周期 (P) 0.6016947883 日[1]
軌道傾斜角 (i) 0.003° ± 0.004°[1]
近日点引数 (ω) 210.851°[2]
昇交点黄経 (Ω) 236.422°[2]
平均近点角 (M) 283.282°[2]
土星の衛星
物理的性質
三軸径 40.8 × 35.4 × 18.8 km[3]
平均半径 15.1 ± 0.9 km[3]
表面積 ~2,865.26 km2
体積 ~14,422 km3[4]
質量 (6.60 ± 0.34) ×1015 kg[3]
平均密度 0.46 ± 0.11 g/cm3[3]
表面重力 ~0.0002-0.0020 m/s2[3]
脱出速度 ~0.0062 km/s[4]
自転周期 同期回転
アルベド(反射能) 0.4[5]
赤道傾斜角 0
表面温度 ~81 K
Template (ノート 解説) ■Project

アトラス[6][7] (Saturn XV Atlas) は、土星の第15衛星である。

アトラスは、ボイジャー1号が撮影した写真の中から Richard Terrile によって1980年に発見され、S/1980 S 28 という仮符号が与えられた[8]。その後1983年9月30日にギリシア神話に登場するアトラスにちなんで命名され、Saturn XV という確定番号が与えられた[9]

アトラスは土星の環A環の明瞭な外縁に非常に近い軌道を公転しており、長い間A環の羊飼い衛星としての役割を果たしていると考えられてきた。しかし現在では、A環の外縁はアトラスによってではなく、遠方を公転しているがアトラスよりも重い衛星であるヤヌスおよびエピメテウスとの 7:6 の軌道共鳴によって維持されていることが知られている[10]2004年には、土星探査機カッシーニの観測によってアトラスの軌道に沿った薄く細い環が発見されており、環の仮符号としてR/2004 S 1が与えられている[11]

2005年6月にカッシーニによって撮影された高分解能の画像によって、アトラスの詳細な形状が明らかになった。これによると、アトラスの形状はほぼ球形の中心部のまわりに、滑らかな赤道面のエッジを持つ構造をしている。この形状が形成された原因としてもっともらしい理由は、環の物質がアトラスの表面に降り積もったというものであり、環の分布が非常に薄いためにアトラスの赤道上に選択的に降り積もったために円盤のような特殊な形状になったと考えられている。実際にアトラスのリッジ構造の大きさはこの衛星のロッシュ・ローブの大きさと近い[10]

アトラスはプロメテウスから大きな影響を受けており、またパンドラからも弱く影響を受けている。このため、およそ3年の周期で歳差運動をするケプラー軌道から最大で 600 km (~0.25°)の経度の偏差を起こす。プロメテウスとパンドラの軌道はカオス的であるため、アトラスの軌道も同様にカオス的だろうと考えられている[1]

2006年6月8日に撮影したカッシーニが撮影したアトラス

出典

  1. ^ a b c d e Spitale, J. N.; Jacobson, R. A.; Porco, C. C.; Owen, W. M., Jr. (2006). “The orbits of Saturn's small satellites derived from combined historic and Cassini imaging observations”. The Astronomical Journal 132 (2): 692–710. Bibcode2006AJ....132..692S. doi:10.1086/505206. http://iopscience.iop.org/1538-3881/132/2/692/pdf/1538-3881_132_2_692.pdf. 
  2. ^ a b c Jet Propulsion Laboratory (2013年8月23日). “Planetary Satellite Mean Orbital Parameters”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics. ジェット推進研究所. 2018年11月24日閲覧。
  3. ^ a b c d e Thomas, P. C. (July 2010). “Sizes, shapes, and derived properties of the saturnian satellites after the Cassini nominal mission”. Icarus 208 (1): 395–401. Bibcode2010Icar..208..395T. doi:10.1016/j.icarus.2010.01.025. http://www.ciclops.org/media/sp/2011/6794_16344_0.pdf. 
  4. ^ a b NASA (2017年12月5日). “By the Numbers | Atlas – Solar System Exploration: NASA Science”. アメリカ航空宇宙局. 2018年11月24日閲覧。
  5. ^ Jet Propulsion Laboratory (2015年2月19日). “Planetary Satellite Physical Parameters”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics. ジェット推進研究所. 2018年11月24日閲覧。
  6. ^ 『オックスフォード天文学辞典』(初版第1刷)朝倉書店、6頁。ISBN 4-254-15017-2 
  7. ^ 太陽系内の衛星表”. 国立科学博物館. 2019年3月9日閲覧。
  8. ^ Brian G. Marsden (1980年11月13日). “IAUC 3539: 1980q; 1980 S 28”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際天文学連合. 2018年11月24日閲覧。
  9. ^ Brian G. Marsden (1983年9月30日). “IAUC 3872: GX 1+4; Sats OF JUPITER AND SATURN”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際天文学連合. 2018年11月24日閲覧。
  10. ^ a b Lakdawalla, Emily (2007年6月13日). “Funny little Atlas”. The Planetary Society weblog. 2011年12月30日閲覧。
  11. ^ Daniel W. E. Green (2004年9月9日). “IAUC 8401: S/2004 S 3, S/2004 S 4,, R/2004 S 1; 2004eg, 2004eh,, 2004ei”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際天文学連合. 2018年11月24日閲覧。

外部リンク


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