アセチレンけい‐たんかすいそ〔‐タンクワスイソ〕【アセチレン系炭化水素】
アルキン
(アセチレン系炭化水素 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/01 14:05 UTC 版)
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アルキン(ドイツ語: Alkin、英語: alkyne)は、分子内に炭素間三重結合を1個だけ持ち、一般式が CnH2n−2 で表される鎖式炭化水素の総称である。アセチレン系炭化水素とも呼ばれる。広義には分子内に非環式および環式の C−C 三重結合を持つ化合物全般を指し、この場合「アセチレン」の語を一般名称として用いる。
構造

アルキンの2つの炭素原子の電子軌道は共にsp混成しており、それぞれ2つのp軌道と2つのsp混成軌道を持つ。各炭素原子はsp軌道を1つずつ提供し、それらが重なることによりσ結合を形成する。また、p軌道同士が重なり合うことによって作られる2つのπ結合も持っている。合計3つの C−C 結合からなるため、これは三重結合と呼ばれる。残りのsp軌道は他の原子とσ軌道を作る。例えば親化合物であるアセチレンでは水素原子と結合している。アルキン上の2つのsp軌道は互いに反対向きに位置しており、アセチレンでは H−C−C 結合角は180度である。合計6個の電子が関与しているため、この三重結合は非常に強く、結合エネルギーは 837 kJ/mol である。個別の結合エネルギーはσ結合 369 kJ/mol、1つめのπ結合 268 kJ/mol、2つめのπ結合 202 kJ/mol である。C−C 結合距離は 121 pm であり、これはアルケンの 134 pm、アルカンの 153 pm と比べ短い。
命名法
IUPAC命名法では、語幹に -yne を付加することによって命名する。つまり、対応するアルカン alkane の語尾 -ane を -yne に変えればよい。三重結合の位置は位置番号で表し、これが最も小さくなるように番号を与える。アルキンを2つ以上含む場合は数辞を付け -diyne (ジアルキン), -triyne (トリアルキン), ... とする。例えば、
天然物

アルキンは天然物としてはそれほどありふれたものではなく、よく知られている化合物は1000種類程度である。そのうち生理活性を示すものは多くないが、殺菌剤、自己防衛のための毒、あるいは誘引物質などとして知られるものもある。
例えばヤドクガエルは哺乳類や爬虫類などの捕食者から身を守るためにヒストリオニコトキシンと呼ばれる毒素を皮膚から分泌するが、これは分子内に2つのアルキンを持つ化合物である。また、アルキンを含む天然物群の一角はエンジイン構造を持つ抗生物質によって占められている。活性部位にエンジイン構造を持つカリケアミシン・ネオカルチノスタチンなどの天然物は細胞毒性または抗腫瘍活性を示すものが多く、それらは化学療法剤として利用できる可能性を持つ。
その他には、ドクゼリの毒成分シクトキシン、中国雲南省に自生するホウライタケ科の猛毒菌Trogia venenataの毒成分2R-アミノ-4S-ヒドロキシ-5-ヘキシン酸と2R-アミノ-5-ヘキシン酸[3]などが知られる。
主なアルキン
- アセチレン C2H2
- プロピン(メチルアセチレン) C3H4
- ブチン(1-ブチン、2-ブチン) C4H6
- ペンチン(1-ペンチン) C5H8
- アセチレンジカルボン酸ジメチル (DMAD)
- ジフェニルアセチレン(トラン)
- プロパルギルアルコール
関連項目
- アルカン
- アルケン
- ベンザイン - 構造式で C≡C 三重結合が描かれる芳香族中間体。
- ニトリル - C≡N 三重結合を持つ化合物群。
- ポリアセチレン - アセチレンが重合した高分子。
- ポリイン
- カルビン
参考文献
- ^ Ohira, S. Synth. Commun. 1989, 19, 561.
- ^ Müller, S.; Liepold, B.; Roth, G.; Bestmann, H. J. Synlett, 1996, 521. DOI: 10.1055/s-1996-5474
- ^ Deadly chinese mushrooms: Amino acids revealed as cause of deaths in Yunnan province., Internetchemistry.com, 2012年2月12日
アセチレン系炭化水素と同じ種類の言葉
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