能楽小鼓(胴・革)製作修理
主名称: | 能楽小鼓(胴・革)製作修理 |
ふりがな: | のうがくこつづみどうかわせいさくしゅうり |
認定区分: | 個人 |
種別: | 芸能 |
選定年月日: | 1995.05.31(平成7.05.31) |
解除年月日: | |
解説文: | 能楽小鼓は、能を上演するために不可欠な楽器の一つであり、また長唄【ながうた】など邦楽でも用いられ、さらに各地に伝承される万歳【まんざい】などの民俗芸能でも使用するところがある。このように能楽小鼓は、能楽をはじめわが国の伝統芸能を保存、継承するために欠くことのできない楽器であるが、社会状況の変遷にともない、良好な原材料の入手難や後継者難などにより、その本格的な製作修理技術の伝承が危ぶまれる状況になっている。 能楽小鼓の胴は、桜材を刻み内部に穴を通した単純な構造であるが、それだけに微妙な形態の違いや漆塗りの加減などが音色を決定的に左右する。また革は馬皮を鉄の輪に張り、折り返して止めたものに、出来上がりが適度な弾力を保つように、砥【と】の粉【こ】に膠【にかわ】あるいは漆【うるし】などを部分的に塗りわけ、中に和紙を貼り込んで固定している。小鼓の胴および革の製作の数多くの工程は、原木や革の状況、さらに作業時の湿度などの季節の変化にも慎重に応じる技術が必要である。さらに小鼓の裏革【うらがわ】は表革【おもてがわ】に比べて、こころもち薄いものが最適であるため、完成した胴に、それぞれふさわしい表革と裏革を組み合わせる作業も微妙で重要な工程となる。 能楽小鼓の胴は長年の使用に耐え、また革も普通は数年打ち込まれてから本来の音となり、その後は数十年以上の使用に耐えるとされるが、近年は冷暖房が完備した演奏会場などでの急激な湿度変化のためか修理を必要とする革も多くなったとされる。革の修理は、それぞれの損傷箇所と程度に応じて、新作と同様あるいはそれ以上の手数と慎重な作業を必要とする。 以上のような能楽小鼓製作修理技術を、小鼓を専門とする演奏家の厳しい要望に的確に応じられるほどに高度に修得するためには長年の修練を必要とし、今日これを満たしうる技術者はきわめて希少であり、その保存・継承を図る必要がある。 |
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