にわか雨と局地的大雨・集中豪雨の違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 07:52 UTC 版)
「集中豪雨」の記事における「にわか雨と局地的大雨・集中豪雨の違い」の解説
先の説明の通り積雲や積乱雲は激しい雨をもたらすものの、そうした雨の多くは、散発的で急に降りだしてすぐ止んでしまう一過性の雨(にわか雨)である。例えば、日本の場合は夏に散発的な積乱雲が発生しいわゆる夕立をもたらすが、その多くがにわか雨で、夕立の積乱雲のすべてが集中豪雨を降らせるわけではない。 これは、にわか雨の時には、複数の積乱雲の塊(降水セル)が雑然と集まっていてそれぞれが独立的に活動しているからである。このようなタイプの降水セルをシングルセル(single cell, 単一セル)といい、雷雨の分類上は「気団性雷雨」という。上空が単一の気団に覆われていて、一般風 の鉛直方向でのシアーが弱いときに発生しやすい。 降水セルの大きさはふつう、水平方向に5-15 km、寿命はおおむね30-60分ほどで、雨はその中でも30分程度しか続かない。そのため、降水セルが雑然と集まっただけでは雨が長続きしない。 しかし、大気が不安定であるなどの要因で積乱雲が発達すると、雨量が増して数十分で数十mm程度に達する。このような雨を気象庁の呼び方では「局地的大雨」という。 そしてさらに条件が整うと、1時間で数十mmの局地的大雨が数時間あるいはそれ以上継続し、総雨量が数百mmに達して気象庁が呼ぶような「集中豪雨」となる。その条件は、寿命が限られた積乱雲が世代交代をして次々と発生・発達し、かつその積乱雲群が連続して同じ地域を通過することである。 局地的大雨も集中豪雨も、1つ1つの積乱雲(降水セル)の寿命は30-60分ほどであるが、集中豪雨では積乱雲が世代交代ながら連続して通過することで大雨が数時間以上に亘る。なお、特に前線や台風などで、豪雨をもたらす大気場がほとんど変化しない状況下、稀に十数時間から数日に亘って強い雨が続く場合もある。ただその場合も、雨量は例えば2-3時間の周期で増減するなど変化を示すことが知られている。 このような世代交代は、降水セルが線状あるいは団塊状にまとまるマルチセル型雷雨にみられるほか、単一の巨大な降水セル(スーパーセル)によるスーパーセル型雷雨にも見られる。マルチセル型雷雨はメソ対流系と呼ばれる複数セル間の相互作用により生じ、一般風の鉛直方向でのシアーが強いとき に発生しやすい。 また、集中豪雨の範囲は、おおむね水平方向に2-200 km(メソβ(ベータ)スケールからメソγ(ガンマ)スケール)程度である。日本における梅雨前線帯での豪雨でも、個々の事象は概ね100km程度である。しかし年によっては、梅雨前線による豪雨が日本列島各地を右往左往しながら数週間もの長期に亘り断続的に豪雨をもたらすことがある(例えば、昭和47年7月豪雨などがある)。
※この「にわか雨と局地的大雨・集中豪雨の違い」の解説は、「集中豪雨」の解説の一部です。
「にわか雨と局地的大雨・集中豪雨の違い」を含む「集中豪雨」の記事については、「集中豪雨」の概要を参照ください。
- にわか雨と局地的大雨集中豪雨の違いのページへのリンク