うま味の歴史・発見・認知
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 07:27 UTC 版)
19世紀以前は、うま味の存在が科学的に立証されていなかった。現在は、舌にはうま味を感じる能力があり、うま味を示す物質があることが分かっている。 うま味物質は、東京帝国大学(現在の東京大学)教授だった池田菊苗によって、1908年にだし昆布の中から発見された。最初に発見されたうま味物質はグルタミン酸である。うま味となるだし昆布や鰹節を使用した出汁は、日本料理の基本となる伝統的調理手順のひとつである。そのため、日本の学者は「ダシがきいていない」という味覚は塩味や酸味が足りないのとは違う感覚であることを経験的に知っており、うま味の存在に早くから気づいていた。 1913年に、小玉新太郎が鰹節から抽出したイノシン酸もうま味成分であることを確認した。1957年には、国中明がシイタケ中から抽出したグアニル酸が新たなうま味成分であることを発見した。 一方で、西洋文化圏では、フランス料理におけるフォン・ブイヨン・コンソメのように、だしによってうま味を増す料理法が存在するものの後述の通り欧州の水は硬くて出汁を取りにくく、多くの料理ではトマト(グルタミン酸を豊富に含む)、チーズのような酸味などが強い食材によってうま味を補給したり、何より肉料理では肉の煮汁自体がうま味の供給源となったため、うま味を増すことに多くの意識は向けられなかった。そのため、日本の学者の主張するうま味の存在は、多くの欧米の学者には懐疑的に受け止められ、うま味なるものは塩味・甘味などがほどよく調和した味覚に過ぎないと考えられていた。 しかし、2000年に舌の味蕾にある感覚細胞にグルタミン酸受容体(英:mGluR4)が発見されたことによって、うま味の実在が世界的に広く認知されるに至った。
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