ウェーバー条項
【英】: waiver clause
(1) 権利放棄(waiver)とは、契約に基づく債権、不法行為に基づく損害賠償請求権を放棄することを意味する。権利放棄の形態には、明示的放棄(express waiver)と黙示的放棄(implied waiver)の 2 種類がある。契約上、一方の当事者が、他の当事者による契約条項の違反を追及することをなんらかの事情により放棄したとしても、このような特定の放棄が、それ以外の将来の違反に対する求償権までをも放棄するものではないことを契約上明記しておくことが多い。これは、上記の黙示の権利放棄の推定を回避するためである(契約書におけるこの条項をウェーバー条項という)。 (2) 上記 (1) とは別の概念で、国家の主権免除(sovereign immunity)の特権を契約上放棄(waive)させておく場合がある。sovereign immunity とは、国家が外国の裁判権、統治権に服することから免除される国際法上の原則である。例えば、国家が外国法人に対し、鉱物資源の探鉱・開発に関するコンセッションなどを与える行政契約では、当該契約における裁判管轄権の規定にかかわらず、現地政府が公益その他、国内法上適法なかぎり、主権の行使としてその一方的破棄の権利を持つ。この概念には絶対免除主義と、国家の公法的行為のみ主権免除が認められるという制限免除主義の 2 種類の考え方があるが、最近では、制限免除主義が次第に有力になってきている。また、sovereign immunity の具体的内容については、各国がそれぞれ法律で定めている(例:米国では Commercial Transaction Act 、英国では State Immunity Act )。石油契約においても、例えば融資買油契約において、借入れ側が国家あるいは国家機関(国営石油会社など)である場合には、借入れ側に sovereign immunity をあらかじめ放棄(waive)させ、国際法あるいは当事者自治の原則に従う旨、契約上明記しておく必要がある。 |

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