いじめに関しての賠償請求
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/25 15:04 UTC 版)
「大津市中2いじめ自殺事件」の記事における「いじめに関しての賠償請求」の解説
2012年2月24日、加害者とされる同級生3人とその保護者および大津市を相手に、遺族は約7720万円の損害賠償請求を大津地方裁判所に提訴した(大津地方裁判所平成24年(ワ)第121号 損害賠償請求事件)。これに対して大津市は当初争う姿勢を示したが、事実関係が明らかになると態度を変えて、和解に向けて交渉する意向を越直美市長が示した。一方大津市教育委員会の教育長は、和解の意向は市長の独自判断であり、教育委員会としては従来通り「いじめと自殺との関連性は判断できない」とし、市の判断は受け入れ難いとした。その一方で外部の調査機関の判断があれば結果は真摯に受け止めるとも述べた。加害者側とされた保護者は、事実誤認があるとして同校の校門でビラ配りを行うとともに、自殺は被害者宅の家庭環境が原因であるとした。 2013年1月30日、遺族側は、学校がいじめを認識しながら、市教育委員会や学校の指導マニュアルに沿って対応しなかったとして、市の過失を訴える書面を大津地裁に提出した。 2015年3月17日、大津地裁は大津市が設置した第三者委員会の報告書に基づき、いじめの存在を認定した。また生徒が自殺企図の意向を事前に漏らしていたことも指摘し、「学校や教委は適切に措置していれば自殺を防げた」と判断した。これを元に、大津市側の安全配慮義務違反を認め、支払い済みの見舞金2800万に加えて和解金1300万円を支払い、学校や市教委が謝罪するとの内容の和解勧告が提示され、大津市と遺族側との合意が成立した。加害者とされる生徒との裁判は分離され、審議継続される。 2019年2月19日、大津地裁は同級生3人のうち2人に対して、約3758万円の支払いを命じる判決を言い渡した。他の1名に関しては、一体的となっていじめに加担したとは言えないという理由から、損害賠償及び管理責任を認めない判決となった。 2020年2月27日、大阪高裁の二審では元同級生2人に計約3750万円の支払いを命じた一審の判決を変更し、賠償額は2人に計約400万円にまで大幅に減額、支払うよう命じた。賠償額については、両親が別居していたことや男子生徒が無断外泊した際に父親が顔をたたくなどしていたことなどを踏まえ、両親側にも家庭環境が整えられずに男子生徒を精神的に支えられなかった過失があるとして、損害額から4割を減額。大津市からの和解金の額などを差し引いた計約400万円が相当とした。 2020年3月12日、両親側は大阪高等裁判所判決を不服として最高裁判所に上告した。 2021年1月21日、最高裁判所第1小法廷(小池裕裁判長)において、両親側の上告を棄却し約400万円の支払いを命じた大阪高等裁判所の判決が確定した。
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