「高貴なる女主人の墓」?SN-03-T-02号墓
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/09 17:45 UTC 版)
「セネガンビアの環状列石」の記事における「「高貴なる女主人の墓」?SN-03-T-02号墓」の解説
SN-03-T-02号墓は、遺跡の中央部に位置し、二重の環状列石の西側100m以内の場所に位置する。黄色みがかかった灰色の砂質の粘土でやや盛り上がっているので目立つ遺構である。直径11m近い規模である。底辺11m、高さ5mの三角形の調査区が設定され、発掘調査が行われ、さらに墓の中央部に2m×2mの調査区が設定されて調査が行われた。発掘調査は、墓の西半分を深さ180cmまで掘り下げて行われた。墓の中央部の発掘調査を行ったところ、深さ80~90cmの位置で、やや北側に偏った位置に非常に保存状態の悪い被葬者の骨格が確認された。骨盤や手首から手のひら、足首から足の骨、胸部の骨はあるが、腕や足の長い部分の骨は喪われていた。頭蓋骨は、粉末状の塊になっており、その痕跡の形からその位置に頭蓋骨があったことがわかるといった状況であった。この被葬者は、東西方向で左を向いた横向きの状態で、両腕をやや折りたたむように曲げて両足も曲げた状態で埋葬されていた。しかしながら、副葬品はおもいのほか豪華で目をみはらせるものであった。 左腕にある八つの銅製または、銅の合金による腕輪 右腕には細長くしたそろばんの玉のような銅製または銅の合金製のブレスレッドがあった。 左のくるぶしには銅製ないし銅の合金製の足環がつけられていた。 さらに酸化銅によって良好に保存されて、魚の背骨で造られた足環も残っていた。 この人物の墓の場合、鉄製の副葬品がないのが非常に特徴的である。 SN-03-T-02号墓は、前提となる埋葬の方式や変遷過程がSN-03-T-01号墓によく似ているが、墓坑の深さ自体は浅い。南北の軸に火による熱を受けた痕跡はないが、まだ発掘調査が行われていない部分については保存状態がよいと思われる。実際のところSN-03-T-01号墓とSN-03-T-02号墓は、墓の中心に対してほぼ対照的な位置にあり、一方が他方と相補的な関係か、反射し合うような関係にあるように思われる。副葬品の特徴や墓の配置から、SN-03-T-02号墓の被葬者が女性であると考えることも可能である。しかし、反論する材料が何もない一方で、被葬者が女性であるという確固たるデータの裏付けもない。また、副葬品という物質的に限られたものと墓の配置という限られた特徴からの推定であるので、実際に副葬品に両義性や多義性といったものがあるのかどうか検証されなければならない。ただ、SN-03-T-01号墓は、最高位の権威ある高貴な戦士であって、SN-03-T-02号墓は、高い身分の女主人であると考えるのは魅力的な説であるのは間違いない。
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