「ネオ・本格」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 23:52 UTC 版)
他方、安易な清張ブーム追随も多く、1960年代半ばには、トリックも意外性もない社会批判小説・風俗小説が本格推理と銘打たれ乱発される状況となった。推理小説の形骸化に対し、清張は責任監修を務めた叢書「新本格推理小説全集」(読売新聞社・1966 - 67年)の中で、「ネオ・本格」という標語を掲げ、次のように発言している。 この時期に推理小説はその本来のあるべき性格を失いつつあった。その理由の一つは題材主義に倚りかかりすぎたためであり、一つはジャーナリズムが多作品を要求したため不適格な作品が推理小説の名において横行したことであり、もう一つは、その結果、推理作家自体の衰弱を来したことである。これは反省すべきことであった」「今や推理小説は本来の性格に還らなければならない。社会派、風俗派はその得た場所に独立すべきである。本格は本格に還れ、である。 — 叢書『新本格推理小説全集』序文 1967年、『昭和史発掘』『花氷』『逃亡』で第1回吉川英治文学賞、『砂漠の塩』で第5回婦人公論読者賞。同年より江戸川乱歩賞選考委員を務める( - 1975年)。 1968年に邪馬台国を探究した『古代史疑』を刊行して以降、古墳時代を論じる『遊古疑考』、日本神話をめぐる『古代探求』など、古代史に関する評論・随筆も多数執筆されていく。他方、造詣は小説作品にも生かされ、『Dの複合』『巨人の磯』『火の路』などの作品に結晶している。
※この「「ネオ・本格」」の解説は、「松本清張」の解説の一部です。
「「ネオ・本格」」を含む「松本清張」の記事については、「松本清張」の概要を参照ください。
- 「ネオ・本格」のページへのリンク