「スキャン代行業」の法的問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/08 00:20 UTC 版)
「自炊 (電子書籍)」の記事における「「スキャン代行業」の法的問題」の解説
自ら所有する書籍を自分で利用するためにデジタル化する行為(いわゆる「自炊」)は、現時点では著作権法上の問題はないとされている。裁断されたオリジナルの本は「自炊」後に破棄されることが多いとされるが、ネットオークションで「裁断済」の本を出品する者もいる。ネットオークションで「裁断済」の本を販売・購入する行為自体は違法行為ではないとされている。 しかし、自炊増加に伴い登場した新業態の「スキャン代行ビジネス」については、著作権との関連で法律的な議論が発生している。スキャン代行サービスが、サービス提供者が明らかに使用主体ではなく、そのうえ、著作権法第30条1項1号「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いて複製する場合」に該当する故、同条が使用者に認める私的使用の範囲を逸脱し、業者の可罰的違法性ならびに依頼主体の違法性が存在するとしている。 代行したかどうかとは無関係だが、スキャンされたデータはコピーが容易で劣化せず、またインターネットに違法アップロードされる危険があるとして、出版業界には電子書籍化行為のビジネスへの影響を懸念する意見がある。出版業者や作家の一部は、業務として書籍を電子化し、依頼者へデータを譲渡するスキャン代行行為は「複製権」を侵害する行為であり、違法である可能性があると主張している。 スキャン代行を拒否することを表明している出版社・著作者の書籍や、権利関係が複雑で表紙と中身が異なることの多い雑誌のスキャンを断る業者もある。
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