超新星 超新星の「発見」

超新星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/22 14:52 UTC 版)

超新星の「発見」

超新星そのものは、古くは2世紀中国で記録されており、ティコ・ブラーエヨハネス・ケプラーも観測記録を残しているが(本稿末尾参照)、実態が知られるようになったのは19世紀後半になってからである[2]

「超新星」という名称は新星ラテン語nova の訳語)に由来する。新星とは、夜空に明るい星が突如輝き出し、まるで星が新しく生まれたように見えるもので(詳細は「新星」の項を参照)、ルネサンス期には既に認識されていたが、1885年、アンドロメダ銀河中にそれまで知られていた新星よりはるかに明るく輝く星が現われ、新星を超える天体の存在が確認されたため、supernova (「超」新星)の語が生まれた。発する光は光度-13等級から-19等級増加し、この明るさは新星を格段に凌駕する。爆発によって星の本体は四散するが、爆発後の中心部に中性子星ブラックホールが残る場合もある。

現在超新星爆発は我々が住んでいる銀河系の中で、100年から200年に一度の割合で発生していると言われている[3]。また、平均すると1つの銀河で40年に1回程度の割合で発生すると考えられている[4]

概略

初期の宇宙では、元素はほとんどが水素ヘリウムの同位体で、わずかにリチウムとベリリウムの同位体が存在する程度だった。それよりも重いホウ素炭素窒素酸素珪素などの元素は恒星内部での核融合反応で生成し(s過程)、超新星爆発により恒星間空間にばらまかれた。そして、鉄よりも重い元素は超新星爆発時に生成したと考えられている(r過程)。これに加え、超新星爆発による衝撃波は星間物質の密度にゆらぎを生み出し、新たな星の誕生をうながしている。また、炭素の同位体比から超新星爆発時に合成されたと考えられるダイヤモンドなどの粒子が、隕石の中から発見されている。

系外銀河の観測により、一つの渦状銀河内での超新星の発生頻度は数十年に1回と考えられる。我々の銀河系も同様のはずであるが、1604年以降発見されていない。銀河中心核をはさんだ反対側に出現したり、地球近傍でも濃い星間雲に隠されたりして見えなかったためと考えられている。系外銀河に出現したものは遠すぎて通常は肉眼では見えないが、1987年銀河系の伴銀河である大マゼラン雲で超新星SN 1987Aが出現し、肉眼でも見える明るさになって、精密な観測がなされた。その際、発生したニュートリノが日本のニュートリノ観測施設カミオカンデによって検出され[5]ニュートリノ天文学が進展することとなった。このカミオカンデにおける成果が認められ、小柴昌俊2002年度、ノーベル物理学賞を受賞している。

命名

超新星に彗星のような固有名称が与えられることは少ない。普通「SN 西暦年 番号」の形式で呼ばれる。西暦年は4桁で表し、番号はその年の1番目から順に A, B, C, ..., Y, Z, aa, ab, ..., az, ba, bb, ... のように振る。

たとえば SN 1994D(もしくは 超新星 1994D)といった場合、「1994年に発見された内で4番目の超新星」ということになる。


注釈

  1. ^ 1604年10月9日に観測された超新星SN 1604へびつかい座θ星のそばにある。
  2. ^ 単位面積あたりのガンマ線の強さは距離の2乗に反比例するため、例えば距離が3倍になれば強さは1/9になる

出典

  1. ^ a b 超新星”. 天文学辞典. 日本天文学会 (2022年1月31日). 2022年12月28日閲覧。
  2. ^ 歴史上最も明るい超新星爆発の記録を新たに発見”. natgeo.nikkeibp.co.jp. 2021年12月3日閲覧。
  3. ^ 日本経済新聞2011年9月6日号より
  4. ^ Tammann, G. A. et al. (1994). “The Galactic supernova rate”. The Astrophysical Journal Supplement Series 92: 487. Bibcode1994ApJS...92..487T. doi:10.1086/192002. ISSN 0067-0049. 
  5. ^ 鈴木英之「超新星とニュートリノ」『日本物理學會誌』第43巻第2号、日本物理学会、1988年、106-115頁、doi:10.11316/butsuri1946.43.106ISSN 0029-0181NAID 110002076174 
  6. ^ 土居守「研究ニュース : 超新星による宇宙膨張測定」『東京大学理学系研究科・理学部ニュース』第35巻第2号、東京大学大学院理学系研究科・理学部、2003年、10-11頁、NAID 120001507152 
  7. ^ 「ケプラーの超新星残骸」が示唆するIa型超新星の多様性”. AstroArts (2013年4月10日). 2015年8月12日閲覧。
  8. ^ Poznanski, D. et al. (2009). “An Unusually Fast-Evolving Supernova”. Science 327 (5961): 58-60. arXiv:0911.2699. Bibcode2010Sci...327...58P. doi:10.1126/science.1181709. ISSN 0036-8075. 
  9. ^ a b 野本他 2009, p. 332.
  10. ^ 野本他 2009, p. 312.
  11. ^ SYNFOREST発売のCD-ROM「銀河宇宙」より。
  12. ^ a b ニール・F.カミンズ 著、増田まもる 訳『もしも月がなかったら : ありえたかもしれない地球への10の旅』竹内均監修、東京書籍、1999年。ISBN 4-487-76113-1 
  13. ^ マンモスを絶滅に追いやったのは超新星爆発だった!?”. アストロアーツ (2005年10月18日). 2015年11月26日閲覧。
  14. ^ a b c 超新星残骸”. 天文学辞典. 日本天文学会 (2020年10月9日). 2022年12月28日閲覧。
  15. ^ 泳ぐくらげ星雲、IC 443”. ナショナルジオグラフィック ニュース (2013年11月11日). 2015年8月12日閲覧。


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