綿矢りさ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/25 23:05 UTC 版)
人物
筆名の「綿矢」は、姓名判断を参考に中学時代の同級生の姓から拝借した[5]。
幼いころから本や活字に興味を示し「本読んで。本読んで」とねだる子だった[1]。両親はよく読み聞かせをしたという[6]。小学生のころは江戸川乱歩や那須正幹の『ズッコケ三人組』シリーズ、『不思議の国のアリス』[7]、カニグズバーグ、『クマのプーさん』、ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』などを愛読。中学生の頃からマーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』や田辺聖子『言い寄る』を繰り返し読む[8]。中学では演劇部に所属。
高校生の時の自身を「引っ込み思案でマイナス思考」だと語り、太宰治の作品に引き込まれ、本格的に小説を書き始める[9][3]。部屋にこもって小説を書いているのを、両親は受験勉強をしていると思っていたとのこと。2人とも作家になることに反対はしなかった[3]。
また、普通科でも英語に重点を置いているクラスがある高校を選んだため、高校2年生のときにサンフランシスコのインド人の家にホームステイしている[6]。
愛読書として上述したものの他に村上春樹の初期作品(『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』)、よしもとばななの『キッチン』、町田康『人間の屑』などを挙げている[8]。スティーブン・キングもよく読む作家の一人。好きな映画は『普通の人々』やマリリン・モンローの作品、オードリー・ヘプバーンの作品。かつて、文芸誌のアンケートでは、好きな映画は、洋画なら『愛と追憶の日々』、邦画なら『月光の囁き』と答えた。またエンターテインメントでは、AKB48の、特に前田敦子のファンでもあり、「(『蹴りたい背中』に登場するアイドルオタクの高校生になぞらえて)確実に私は背中を蹴られる側だと思います」と述べている[10]。『ときめきメモリアル』のファンとも語っている[11]。
後年、大学時代を振り返って「楽し……くなかった」と語った[12]。本人によれば、創作活動でスランプに陥り、恋愛にも失敗する一方で、アルバイトに没頭していたという。大学の卒業旅行では青森県に行き、太宰治の生家、斜陽館に立ち寄った。
芥川賞受賞で「文壇のアイドル」と注目され、ストーカー被害に悩まされたことがある。2004年(平成16年)に『インストール』が映画化された際もプロモーションに参加せず表舞台へ出ることを避けた[13]。専業作家となってからはメディアの取材にも応じるようになり、2007年(平成19年)には初のサイン会も開いた。
2014年(平成26年)12月、2歳年下の霞が関勤務のキャリア国家公務員の男性と結婚[14]。結婚の4年半前に小説の設定のため取材先を探していた際に出版社から紹介され、理系大学院生(菌を繁殖させる研究をしていた[4])だった彼と知り合ったとのこと[15]。地黒で笑顔の明るく、雰囲気的には沖縄のシーサーに似ているとインタビューで明かしている[4]。2015年(平成27年)冬に第1子男児を出産[3]。
妊娠中には谷崎潤一郎『卍』を読んでいたという。その背景として「もともと同性愛の映画や小説はよく観たり読んでいて、耽美な世界観の作品が好きで、自分も描いてみたいなと思っていた」と明かし、出産後の『生のみ生のままで』発表につながっている[16]。
父は日頃綿矢の自慢はしないが、横浜DeNAベイスターズファンであり、「隣の子がお前のファンらしいから代わるわ」と球場から電話をかけてきたことがある[3]。
2022年12月から家族の都合で約半年間中国北京市で暮らしていた[17][18]。
注釈
出典
- ^ a b c d “芥川賞作家・綿矢りささんの父母 山田雅人さん、宏子さん/上 「小説なら買ってあげる」” (jp). Mainichi Daily News. (2018年7月4日) 2020年12月28日閲覧。
- ^ 綿矢りさ サワコの朝
- ^ a b c d e f 日本経済新聞社・日経BP社. “作家・綿矢りささん 母は作品でも育児でも先生|エンタメ!|NIKKEI STYLE”. NIKKEI STYLE. 2020年12月28日閲覧。
- ^ a b c d “綿矢りさ、夫は「シーサーに似てるかな」 結婚生活を語る 〈週刊朝日〉”. AERA dot. (アエラドット) (20171224T113000+0900). 2020年12月28日閲覧。
- ^ a b “芥川賞作家・綿矢りささんの父母 山田雅人さん、宏子さん/下 力を信じ、意見を尊重” (jp). Mainichi Daily News. (2018年7月5日) 2020年12月28日閲覧。
- ^ a b “綿矢りささん 京都市立紫野高校 高校生で作家デビュー、きっかけはネット世界の衝撃|ハイスクールラプソディー|朝日新聞EduA”. www.asahi.com. 2020年12月28日閲覧。
- ^ 以上読売新聞 2008年10月27日 13面
- ^ a b 「作家の読書道」第8回 綿矢りささん
- ^ 「太宰治を片端から読みながら」(『文藝春秋』2004年3月号)、NHK-BS2「週刊ブックレビュー」2010年10月2日放送
- ^ 美人芥川賞作家・綿矢りさが“こじらせ系作家”に変身中? 週プレ 2013年4月19日、1ページ目
- ^ 資生堂「花椿」2013年11月号 穂村弘との対談にて。
- ^ 美人芥川賞作家・綿矢りさが“こじらせ系作家”に変身中? 週プレ 2013年4月19日、2ページ目
- ^ 上戸彩会いたい作者…綿矢りささん、宣伝に姿見せず
- ^ 綿矢りささん結婚発表 04年に歴代最年少19歳で芥川賞受賞、スポニチアネックス、2014年12月30日閲覧。
- ^ “キャリア官僚と結婚した綿矢りさ、数年前には大失恋で作家生命の危機も (2015年1月20日)”. エキサイトニュース. 2020年12月28日閲覧。
- ^ “【綿矢りささん】出産して余裕がないからこそ、書きたい世界がはっきりした/私の「出産」リアルストーリー”. LEE. 2020年12月28日閲覧。
- ^ 「人間ドラマの気配感じる」 北京在住の作家・綿矢りささんが語る中国
- ^ “今の北京の流行と魅力を、思いっきり書きたかった”北京滞在経験を元にコロナ禍の北京を描く痛快小説『パッキパキ北京』綿矢りさインタビュー 集英社オンライン 2023年12月9日閲覧。
- ^ 第15回三島由紀夫賞選評
- ^ exciteブックス 綿矢りさ『蹴りたい背中』徹底解剖!
- ^ exciteニュース 2004年3月8日
固有名詞の分類
- 綿矢りさのページへのリンク