愛西市
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/13 05:19 UTC 版)
概要
2005年4月1日に、海部郡佐屋町、立田村、八開村、佐織町の2町2村が合併し発足した県下32番目の市。木曽川を挟んで岐阜県および三重県と接する。愛知県の西部はほぼ木曽川が県境となっているが、愛西市は木曽川の西岸にも集落が存在し、このあたりでは、長良川が岐阜県、三重県との県境となり、愛知県の西端地点となっている。隣接の津島市を囲む、片仮名の「ヒ」の字の様な市域となっている[1]。
戦国時代には稲沢市平和町と跨り、一説では織田信長が生誕したとされる勝幡城・信長の弟信興が城主であり長島一向一揆にて自刃した小木江城が築城された。江戸時代には佐屋にて三里の渡しの湊があり、三代将軍徳川家光により佐屋街道・のちに佐屋代官所が設けられた。
東名阪自動車道のインターチェンジに隣接し、陸上輸送の拠点としての役割も果たしている[2]。沖積層から形成された肥沃な土壌を活かし、レンコン・イチゴ、トマト等が特産品である[3]。
地名の由来
いわゆる平成の大合併による市町村合併に際しては、市名は公募などにより、「愛」知県の「西」部に位置することから「愛西市」(あいさいし)となった。
市名については10の候補が合併協議会に諮られ採決がなされたが、有効票の過半数を得たものが無かったとして比較上位にあった「愛西市」と「海西市」(かいせいし)による決選投票がなされ決定した[4]。
日本の市を五十音順に並べると、当市は兵庫県相生市の次になる。
地理
市域のほぼ全域が海抜ゼロメートル地帯である[5]。
地形
河川
- その他の河川
- かつて存在した河川
市内の町名
愛西市への合併とともに各町村の大字は「大字○○」から「○○町」の形で町名に置き換わっている。
- 旧佐屋町
- 柚木町(旧佐依木村柚木)
- 内佐屋町(旧佐依木村内佐屋)
- 佐屋町(旧佐依木村佐屋)
- 北一色町(旧佐依木村北一色)
- 須依町(旧佐依木村須依)
- 日置町(旧八幡村日置)
- 稲葉町(旧八幡村稲葉)
- 落合町(旧八幡村落合)
- 甘村井町(旧八幡村甘村井)
- 西保町(旧市江村西保)
- 東保町(旧市江村東保)
- 西條町(旧市江村西條)
- 東條町(旧市江村東條)
- 本部田町(旧市江村本部田)
- 大野町(旧永和村大野)
- 鰯江新田町[注 1](旧永和村鰯江新田)
- 善太新田町(旧永和村善太新田)
- 大井町(旧永和村大井)
- 金棒町(佐屋町時代の1970年、大字金棒として稲葉の一部より成立)
- 鰯江町(佐屋町時代の1981年、大字鰯江として鰯江新田の一部より成立)
- 旧立田村
- 旧八開村
現行の町名
村制時に廃止
- 旧佐織町
人口
愛西市と全国の年齢別人口分布(2005年) | 愛西市の年齢・男女別人口分布(2005年) | ||
■紫色 ― 愛西市
■緑色 ― 日本全国 |
■青色 ― 男性
■赤色 ― 女性 | ||
愛西市(に相当する地域)の人口の推移 | |||
総務省統計局 国勢調査より |
高齢化などにより、2024年(令和6年)には6万人を割り込む事が予想されている。
隣接する自治体
気候
愛西(1991-2020)の気候 | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 17.5 (63.5) |
21.1 (70) |
24.8 (76.6) |
29.1 (84.4) |
33.6 (92.5) |
37.8 (100) |
39.3 (102.7) |
40.3 (104.5) |
37.9 (100.2) |
31.8 (89.2) |
25.9 (78.6) |
22.0 (71.6) |
40.3 (104.5) |
平均最高気温 °C (°F) | 8.8 (47.8) |
9.9 (49.8) |
13.8 (56.8) |
19.5 (67.1) |
24.2 (75.6) |
27.4 (81.3) |
31.2 (88.2) |
33.0 (91.4) |
28.9 (84) |
23.1 (73.6) |
17.1 (62.8) |
11.3 (52.3) |
20.7 (69.3) |
日平均気温 °C (°F) | 4.2 (39.6) |
4.9 (40.8) |
8.4 (47.1) |
13.8 (56.8) |
18.8 (65.8) |
22.6 (72.7) |
26.5 (79.7) |
27.7 (81.9) |
23.8 (74.8) |
17.9 (64.2) |
11.8 (53.2) |
6.5 (43.7) |
15.6 (60.1) |
平均最低気温 °C (°F) | 0.2 (32.4) |
0.6 (33.1) |
3.6 (38.5) |
8.7 (47.7) |
14.1 (57.4) |
18.8 (65.8) |
22.9 (73.2) |
23.9 (75) |
20.0 (68) |
13.7 (56.7) |
7.3 (45.1) |
2.2 (36) |
11.3 (52.3) |
最低気温記録 °C (°F) | −7.8 (18) |
−8.5 (16.7) |
−7.5 (18.5) |
−0.8 (30.6) |
4.7 (40.5) |
12.0 (53.6) |
16.2 (61.2) |
15.8 (60.4) |
10.6 (51.1) |
2.0 (35.6) |
−1.7 (28.9) |
−6.0 (21.2) |
−8.5 (16.7) |
降水量 mm (inch) | 57.2 (2.252) |
67.9 (2.673) |
122.8 (4.835) |
149.3 (5.878) |
175.1 (6.894) |
213.2 (8.394) |
223.5 (8.799) |
164.3 (6.469) |
244.0 (9.606) |
166.6 (6.559) |
82.1 (3.232) |
64.0 (2.52) |
1,729.9 (68.106) |
平均月間日照時間 | 157.5 | 161.3 | 192.0 | 196.8 | 200.5 | 153.9 | 171.1 | 210.2 | 160.1 | 163.2 | 152.2 | 148.7 | 2,067.5 |
出典:気象庁[6] |
歴史
沿革
- 先史時代 - 渕高町の東西野遺跡で弥生時代後期から古墳時代前期の遺物(円窓付土器、パレス・スタイル土器)が発掘されているほか、早尾町で3世紀中頃と推定される土器、石田町や宮地町では5世紀や7世紀後半と推定される遺跡が見つかっており、古くから人々が生活していたと考えられる。また、古墳時代の崇神天皇の后・尾張大海媛(別名・葛木高名姫命)は、出身地である「葛木」の地名から名づけられたとされている[9][10]。
- 1493年 - 尾張藩重臣横井氏の赤目城が置かれる。
- 1504年~1520年頃 - 織田信定が勝幡城を現在の勝幡町~稲沢市平和町六輪にかけて築城。
- 1567年頃 - 織田信興が小木江城を現在の森川町に築城。
- 1570年 - 長島一向一揆にて立田門徒が古木江城を攻撃。織田信興自刃。
- 1584年 - 山口重政が大野城(現在の大野町にあったとされる)の戦いに勝利。
- 1605-1650年頃 - 津島村の農民らによって、草平新田村・大野山新田村などの「津島五ケ所新田」が相次いで開墾される[11][12][13][14][15][16][17]。
- 1624年 - 尾張藩主・徳川義直が地元農民の訴えに応じて立田輪中の懸廻堤を完成させる。
- 1634年 - 佐屋川の河床上昇で津島湊からの川舟の航行が困難となったことに伴い、渡船場が佐屋湊へと移されるとともに佐屋宿が設置され、津島街道から分岐する形で佐屋街道が開かれる。
- 1770年 - 白山社(現在の二子町)で元服の祭「オビシャ」が始まる。
- 1754年 - 江戸幕府の命令により宝暦治水工事が行われる。
- 1781年 - 佐屋代官所が設置される。
- 1782年 - 鵜多須代官所が設置される。
- 1830-1840年頃 - 住職・平野龍天が陽南寺(現在の戸倉町)にて近江から伝来したレンコン栽培を開始する。
- 1880年5月10日 - 三重県桑名郡福原新田を、愛知県海西郡(現在の愛西市)に編入する。
- 1873年 - オランダ人技師、ヨハニス・デ・レーケにより木曽川調査開始(1887年に木曽三川分流工事着工)。
- 1889年 - 海東郡諸古村、藤浪村、草場村、勝幡村、川渕村、永和村、佐依木村、八幡村、海西郡東市江村、市腋村、立和村、五会村、川治村、早尾村、八輪村、開治村、六ツ和村が発足。
- 1891年 - 濃尾大地震。
- 1897年 - 佐屋川が鵜多須で決壊。
- 1897-1907年頃 - 佐織地区を中心にアメリカ移民が増加。
- 1898年 - 尾西鉄道(現在の名鉄尾西線)弥富~津島間開通。
- 1900年 - 木曽川分流成功式。佐屋川を埋立て、背割堤を設け、立田輪中が地続きとなる。
- 1902年 - 船頭平閘門完成。
- 1906年 - 海東郡佐織村(海東郡諸古村、藤浪村、草場村、勝幡村、川渕村が合併)、海東郡佐屋村(佐依木村、八幡村)、海西郡市江村(東市江村、市腋村が合併。荷之上と五之三は弥富町に転出)、六ツ和村が分割し、立田村と八開村が発足。
- 1913年 - 海東郡と海西郡が合併して海部郡となる。
- 1914年 - 名古屋電気鉄道(現在の名鉄津島線)津島線枇杷島橋駅(現在の枇杷島分岐点) - 須ヶ口駅 - 新津島駅(現在の津島)間開通。
- 1925年 - 佐織村古川が津島町に転出。加藤高明、内閣総理大臣に就任。同年、普通選挙法を成立させる。
- 1939年 - 佐織村が佐織町として町制施行。
- 1955年 - 佐屋村、市江村が合併し佐屋町として町制施行。
- 1956年 - 永和村大井、鰯江、大野、善太新田を佐屋町に合併。
- 1959年 - 伊勢湾台風で大きな被害を受ける。
- 1960年 - 佐屋町の一部を津島市、弥富町へ分離統合。
- 1966年 - 杉野図書館(現・中央図書館)開館。
- 1969年 - 東海大橋が完成。
- 1970年 - 海部幹線水路完成。
- 1976年 - 奥津社古墳(千引町)から三角縁神獣鏡発掘。目比川堤防決壊。
- 1984年 - 立田大橋完成。
- 2001年11月22日 - 海部西部ブロック市町村合併広域研究会が発足する。
- 2003年3月26日 - 「合併重点支援地域」(現在の名称)の指定を受ける。
- 2004年4月21日 - 新市の名称を「愛西市」に決定する。
- 2005年4月1日 - 旧海部郡佐織町、佐屋町、立田村、八開村の合併により市制施行する。
- 2016年12月1日 - 尾張津島天王祭の車楽舟行事などの「山・鉾・屋台行事」がユネスコ無形文化遺産に登録。
注釈
出典
- ^ 愛西市ホームページ 愛西市を知ろう[リンク切れ]
- ^ 一宮地場産業ファッションデザインセンターアピール事業 愛西市
- ^ ホームメイト・愛西市のご当地あれこれ検索
- ^ 新市名称決定!! - 愛西市(2013年1月12日閲覧)
- ^ “hyoukou-ichiran”. 2023年2月11日閲覧。
- ^ “愛西 1991-2020年”. 気象庁. 2024年3月9日閲覧。
- ^ “愛西市いま、むかし、みらい 歴史を知ろう”. 愛西市. 2014年8月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年4月9日閲覧。
- ^ 愛西市観光協会歴史・文化[リンク切れ]
- ^ 国土交通省 中部地方整備局. “KISSO Vol.24” (PDF). 2022年7月20日閲覧。
- ^ 国土交通省 中部地方整備局. “KISSO Vol.52” (PDF). 2022年7月20日閲覧。
- ^ 津島市史編さん委員会 (1973年3月25日). “津島市史 資料篇(四)”. 2023年11月8日閲覧。
- ^ “草平新田村(近世)”. 角川日本地名大辞典 オンライン版. 2023年11月8日閲覧。
- ^ “大野山新田村(近世)”. 角川日本地名大辞典 オンライン版. 2023年11月8日閲覧。
- ^ “西川端新田村(近世)”. 角川日本地名大辞典 オンライン版. 2023年11月8日閲覧。
- ^ “渕高新田村(近世)”. 角川日本地名大辞典 オンライン版. 2023年11月8日閲覧。
- ^ “町方新田村(近世)”. 角川日本地名大辞典 オンライン版. 2023年11月8日閲覧。
- ^ “鷹場新田村(近世)”. 角川日本地名大辞典 オンライン版. 2023年11月8日閲覧。
- ^ 市町村長及び議会議員の任期満了日等一覧表 (平成27年5月1日現在)
- ^ “第49回衆議院議員総選挙(小選挙区) 投票状況速報” (PDF). 愛知県選挙管理委員会 (2021年10月31日). 2021年11月1日閲覧。
- ^ a b c 『平成26年度実績報告 図書館年報』愛西市中央図書館, 2015年
- ^ 「あいちフレンドシップ交流アルバム」(あいちフレンドシップ交流アルバム)
- ^ 名鉄沿線おでかけマガジンWind(名古屋鉄道事業推進部発行)2015年1月号P.3
- ^ あいちの都市・農村ガイド
- ^ 愛西市観光協会物産・グルメ
- ^ “国内外事業場(事業概要)”. kracie. 2013年1月12日閲覧。
- ^ “"停電情報 津島営業所"”. 中部電力パワーグリッド. 2020年4月7日閲覧。
- ^ 主要なガス導管網概要および都市ガス供給エリア
- ^ 愛西市巡回バス - 愛西市
- ^ 松尾芭蕉は1694年(元禄7年)、江戸から伊賀国へ向かう途中に、門人の三輪素覧宅に泊まっている。
- ^ 「神社・寺院一覧」(愛西市の神社・寺院)
- ^ 愛西市 (2010年11月1日). “11月市長のあいさつ”. 2013年12月13日閲覧。[リンク切れ]
- ^ 愛西市 (2011年1月1日). “1月市長のあいさつ”. 2013年12月13日閲覧。[リンク切れ]
- ^ 愛西市 (2011年7月27日). “「あいさいさん」コンセプト”. 2013年12月13日閲覧。
- ^ あいちフレンドシップ交流アルバム愛西市
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