国民栄誉賞 辞退した人物

国民栄誉賞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/09/05 10:47 UTC 版)

辞退した人物

賞の歴史上、以下の人物が受賞を辞退したことが明らかになっている。

  • 福本豊 - 1983年(昭和58年)6月に当時の世界記録となる通算939盗塁を達成。中曽根康弘首相から授与を打診されたが、「そんなんもろたら立ちションもでけへんようになる」(本人談)として辞退した[17]。日本全国向けには「呑み屋に行けなくなる」と報道された[18]。実際は「王さんのような野球人になれる自信がなかった。記録だけでなく広く国民に愛される人物でないといけないと解釈した」という心中を語っている[19]。なお大阪府知事の賞詞は受賞している[18]
  • 古関裕而 - 1989年(平成元年)の没後に授与が遺族に打診されるも、遺族が辞退。
  • イチロー - 2001年(平成13年)、メジャーリーグで日本人選手史上初となるMVPを獲得する活躍を見せた事により、第1次小泉内閣から授与を打診されたが、「国民栄誉賞をいただくことは光栄だが、まだ現役で発展途上の選手なので、もし賞をいただけるのなら現役を引退した時にいただきたい」と固辞した。2004年(平成16年)にも、メジャーリーグのシーズン最多安打記録を更新した事から授与を検討されたが、再度固辞した[17][20]

授賞に係わる問題点

美空ひばりに対する授賞など、没後追贈者が過半数を占めることについて「なぜ存命のうちに授与しないのか」との声[21][22]、また「政権浮揚が目的」[23][注釈 7]、「贈られる側の賞ではなく、贈る側(政治家のため)の賞だ」[2]、「政治利用はいかがなものか」[注釈 8][2]などの批判があり、顕彰の事務手続きを行う内閣府官僚も、「結局、時の政権が『国民栄誉賞を出したい』と言えば出さざるを得ない」としている[2]。授与する側である首相の胸先三寸的なところがあり、国民の多くが受賞間違いなしと評価し、マスコミからも受賞を確実視されながら受賞に至らなかった例もあり、評価基準が曖昧であるとの批判がある。

2003年(平成15年)に開かれた文化庁の「映画振興に関する懇談会」では委員から、社会的認知という点において、三船敏郎の死亡時に国民栄誉賞を与えるという話があったこと、決定権を持つ総理大臣の個人の主観で受賞者が決定されることが挙げられ、文化芸術分野は文化庁等で話し合って受賞者を決めて欲しいという意見が出された[24]。翌2004年(平成16年)には、当時の内閣官房長官・細田博之が、選考について「確たる基準がなく、その時々の判断」とし、「王貞治には授与されたが長嶋茂雄には贈られていない」など線引きの難しさを指摘している[25]。2013年に長嶋が受賞する方針になった際には、王が「授与されていないこと自体、不思議に思っていた」とコメントした[26][27]

2011年(平成23年)7月、サッカー日本女子代表が団体では初の受賞となったことについて、表彰規定は表彰対象を「適当と認める」としており、行政用語としてこれに該当するのは個人法人であり団体(集団、グループ)は含まれない[2]ため、日本経済新聞は「国民栄誉賞を団体に授与するなら表彰規定の見直しを行い、説明責任を果たす必要がある」と指摘している[2]




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注釈

  1. ^ 1977年時点での内閣総理大臣顕彰受賞者は、国家事業・社会事業関係者がほとんどで、スポーツ分野でもオリンピック競技で連覇した代表選手に限られていた。
  2. ^ 叙勲被推薦者たるには70歳を超えている事が必要。
  3. ^ 失踪宣告植村直己は没後扱いとする。
  4. ^ 没後受賞を含めると、史上最年長受賞は森繁久彌の満96歳没後。
  5. ^ 鳩山由紀夫首相の授与式における説明(“故森繁さんに国民栄誉賞贈呈 首相「国民に愛された」”. 47NEWS. 共同通信 (全国新聞ネット). (2009年12月22日). オリジナル2009年12月22日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130508192149/http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009122201000655.html 2009年12月22日閲覧。 
  6. ^ 受賞名義は『FIFA女子ワールドカップドイツ2011日本代表チーム』(平成23年11月4日付け『官報』号外第238号、24頁。)
  7. ^ 2000年森喜朗首相による高橋尚子への授与に際して。1つの内閣で2回、3回と授賞した例もある[23]
  8. ^ 2011年、サッカー日本女子代表への授賞決定を受けての渡辺喜美発言[2]

出典

  1. ^ a b 国民栄誉賞受賞 一覧” (PDF). 内閣府. 2016年10月22日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 幻の「沢・単独受賞」 官邸主導のなでしこ国民栄誉賞”. 日本経済新聞. (2011年8月4日). 夕刊 政界面
  3. ^ a b c d 国民栄誉賞 国民栄誉賞表彰規程(昭和52年8月30日 内閣総理大臣決定)”. 内閣府.
  4. ^ なでしこ、国民栄誉賞の表彰式 記念品は化粧筆7本”. 朝日新聞 (2011年8月18日)
  5. ^ a b 吉田選手に国民栄誉賞を授与 記念品は真珠のペンダント”. 産経新聞. (2012年11月7日)
  6. ^ a b 伊調馨選手に国民栄誉賞授与 安倍首相「5連覇を期待」”. 朝日新聞 (2016年10月20日). 2016年10月22日閲覧。
  7. ^ a b 松本晃 (2016年10月20日).“国民栄誉賞 伊調馨選手に授与 記念品は金色の西陣織帯”. 毎日新聞. 2016年10月22日閲覧。
  8. ^ 坂口裕彦 (2008年12月27日). “遠藤実さん:国民栄誉賞が正式決定 1月に遺族招き授与”. 毎日新聞. オリジナル2008年12月27日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/20081227084804/mainichi.jp/enta/geinou/news/20081227k0000m010008000c.html 2008年12月27日閲覧。 
  9. ^ 時事通信 (2009年5月29日).“森さんの国民栄誉賞を発表=「放浪記」2000回、国民に夢”. Yahoo!ニュース. 2016年10月22日閲覧。
  10. ^ 官房長官記者発表 平成23年8月2日(火)”. 首相官邸.
  11. ^ 平成25年2月25日 国民栄誉賞表彰式”. 総理の一日. 首相官邸.
  12. ^ “大鵬さんの国民栄誉賞表彰 夫人「天国で喜んでいる」”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2013年2月25日). オリジナル2013年2月25日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130225231417/http://www.asahi.com/sports/update/0225/TKY201302250347.html 
  13. ^ a b 内閣官房長官記者会見 平成25年4月1日(月)午後. 首相官邸.
  14. ^ a b 内閣官房長官記者会見 平成25年4月16日(火)午前”. 首相官邸.
  15. ^ レスリング 伊調馨選手に国民栄誉賞授与へ 五輪4連覇”. 毎日新聞. (2016年9月13日)
  16. ^ 伊調馨選手に国民栄誉賞 政府が正式決定”. 日本経済新聞. (2016年9月13日)
  17. ^ a b イチロー2度打診も辞退 福本氏も「そんなんもろたら…」”. スポーツニッポン. (2013年4月2日) 2016年10月22日閲覧。
  18. ^ a b 「立ちションできへんくなる」国民栄誉賞を辞退した、世界の福本伝説 - 日刊SPA! 2013年4月3日
  19. ^ 福本豊氏が国民栄誉賞辞退の理由「立ちションベン」ではない”. 週刊ポスト 2013年4月19日号。
  20. ^ “イチローが国民栄誉賞辞退 「モチベーションが低下」”. 47NEWS. 共同通信 (全国新聞ネット). (2004年10月8日). オリジナル2012年4月6日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20120406024948/http://www.47news.jp/CN/200410/CN2004100801001194.html 
  21. ^ 大薗友和『勲章の内幕』 社会思想社〈現代教養文庫〉、1999年8月、ISBN 4390116290
  22. ^ さだまさし『日本が聞こえる』毎日新聞社、1998年、124-125頁。ISBN 4-620-31213-4
  23. ^ a b 時事ドットコム2011年7月25日[リンク切れ]
  24. ^ 映画振興に関する懇談会(第10回)議事要旨”. 文化庁
  25. ^ 国民栄誉賞見送りへ 金メダル選手に紫綬褒章”. 共同通信. (2004年8月26日) 2011年8月14日閲覧。
  26. ^ 長嶋、松井氏国民栄誉賞関係・談話”. 時事ドットコム. (2013年4月1日)
  27. ^ プロ野球ニュース 【ソフトB】王会長、長嶋氏栄誉賞喜ぶ”. nikkansports.com. (2013年4月1日)


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