国民栄誉賞 辞退した人物

国民栄誉賞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/09 00:55 UTC 版)

辞退した人物

賞の歴史上、以下の人物が受賞を辞退したことが明らかになっている[5]

  • 福本豊 - 1983年(昭和58年)6月に当時の世界記録となる通算939盗塁を達成。中曽根康弘首相から授与を打診されたが、「そんなんもろたら立ちションもでけへんようになる」(本人談)として辞退した[27][28]。日本全国向けには「呑み屋に行けなくなる」と報道された[29]。実際は「王さんのような野球人になれる自信がなかった。記録だけでなく広く国民に愛される人物でないといけないと解釈した」という心中を語っている[30]。なお大阪府知事の賞詞は受賞している[29]
  • 古関裕而 - 1989年(平成元年)の没後に海部俊樹首相から授与が遺族に打診されるも、古関の遺族が辞退している[31]。古関の長男の古関正裕は「元気に活動している時ならともかく亡くなったあとに授与することに意味があるのか」と没後追贈に疑問を持ったことを辞退の理由とした[32]
  • イチロー - 2001年(平成13年)、メジャーリーグで日本人選手史上初となるMVPを獲得する活躍を見せたことにより、第1次小泉内閣から授与を打診されたが、「まだ若いので、できれば辞退したい。いただけるものなら、野球人生が終わったときにいただけるよう頑張りたい」と固辞した[33]。イチローは2004年(平成16年)にもメジャーリーグのシーズン最多安打記録を更新したことから授与を検討されたが、野球を続けている間は受け取らない意志を示し、再度固辞した[33][27][34]。その後、2019年(平成31年)3月にイチローが現役引退したことを受け、政府が再々度打診するも、やはり固辞した。イチロー本人は代理人を通して「人生の幕を下ろしたときにいただけるよう励みます」とコメントを残した[35]。同年11月、安倍晋三第4次安倍第2次改造内閣)との会食[36]の際に4度目の打診が行われ、これも固辞したとの報道があった[37][38][39]。以後、更なる打診が為された様子はない。
  • 大谷翔平 - 2021年(令和3年)、メジャーリーグでイチロー以来2人目となるMVPを獲得したことにより授与が打診されたが、本人が「まだ早いので今回は辞退したい」として固辞したことを11月22日、官房長官松野博一が明らかにした[40][41]

注釈

  1. ^ 1977年時点での内閣総理大臣顕彰受賞者は、国家事業・社会事業関係者がほとんどで、スポーツ分野でもオリンピック競技で連覇した代表選手に限られていた。
  2. ^ 当時は叙勲被推薦者たるには70歳を超えている事が必要であった。
  3. ^ この日の贈呈式において当時の内閣総理大臣・安倍晋三は巨人のユニフォームを着用し、審判役で参加している[10][11][12]
  4. ^ a b 下山中に行方不明となった植村直己は没後扱いとする。
  5. ^ 没後受賞を含めると、最年長受賞は森繁久彌の満96歳没後。
  6. ^ 鳩山由紀夫首相の授与式における説明(“故森繁さんに国民栄誉賞贈呈 首相「国民に愛された」”. 日刊スポーツ. 共同通信 (全国新聞ネット). (2009年12月22日). https://www.nikkansports.com/entertainment/news/f-et-tp0-20091208-573783.html 2021年11月22日閲覧。 
  7. ^ 受賞名義は『FIFA女子ワールドカップドイツ2011日本代表チーム』(平成23年11月4日付け『官報』号外第238号、24頁。)
  8. ^ 国民栄誉賞制定以前にも叙位によって故人の功績を称え追悼する法制度が存在する。大鵬幸喜は逝去後に国民栄誉賞と共に正四位に叙位されたことが公表されている。
  9. ^ 森光子の受賞は名目は放浪記の2000回公演、羽生善治や井山裕太についても永世七冠や二度目の七冠など記録達成が受賞のきっかけとしている。
  10. ^ 2013年に長嶋が受賞する方針になった際には、王が「授与されていないこと自体、不思議に思っていた」とコメントした
  11. ^ 2000年森喜朗首相による高橋尚子への授与に際して。1つの内閣で2回、3回と授賞した例もある[49]
  12. ^ 2011年、サッカー日本女子代表への授賞決定を受けての渡辺喜美発言
  13. ^ 2018年、安倍晋三による羽生結弦への授与に関して。

出典

  1. ^ a b 国民栄誉賞受賞 一覧” (PDF). 内閣府. 2016年10月22日閲覧。
  2. ^ 第2版, 日本大百科全書(ニッポニカ),知恵蔵,デジタル大辞泉,ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,勲章・褒章がわかる事典,百科事典マイペディア,知恵蔵mini,精選版 日本国語大辞典,世界大百科事典. “国民栄誉賞とは”. コトバンク. 2021年8月20日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j 幻の「沢・単独受賞」 官邸主導のなでしこ国民栄誉賞”. 日本経済新聞. (2011年8月4日). 夕刊 政界面
  4. ^ a b c d 国民栄誉賞 国民栄誉賞表彰規程(昭和52年8月30日 内閣総理大臣決定)”. 内閣府.
  5. ^ a b c d e f g h 日本放送協会. “国民栄誉賞と内閣支持率 関係を調べてみた”. NHK政治マガジン. 2021年8月20日閲覧。
  6. ^ なでしこ、国民栄誉賞の表彰式 記念品は化粧筆7本”. 朝日新聞 (2011年8月18日)
  7. ^ a b 吉田選手に国民栄誉賞を授与 記念品は真珠のペンダント Archived 2012年11月7日, at the Wayback Machine.”. 産経新聞. (2012年11月7日)
  8. ^ a b 伊調馨選手に国民栄誉賞授与 安倍首相「5連覇を期待」”. 朝日新聞 (2016年10月20日). 2016年10月22日閲覧。
  9. ^ a b 松本晃 (2016年10月20日).“国民栄誉賞 伊調馨選手に授与 記念品は金色の西陣織帯”. 毎日新聞. 2016年10月22日閲覧。
  10. ^ 安倍首相「背番号96で改憲アピールか」と主要紙 過去の始球式でも「政治姿勢」皮肉っていた ジェイ・キャスト2013年5月6日
  11. ^ ジェイ・キャスト紹介の記事。日本の長嶋茂雄と韓国の崔東源 中央日報「グローバルアイ」2013年5月18日付け
  12. ^ 「憲法デマゴーグ」の96条改正論 水島朝穂ウェブサイト2013年5月13日
  13. ^ 坂口裕彦 (2008年12月27日). “遠藤実さん:国民栄誉賞が正式決定 1月に遺族招き授与”. 毎日新聞. オリジナルの2008年12月27日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20081227084804/http://mainichi.jp/enta/geinou/news/20081227k0000m010008000c.html 2008年12月27日閲覧。 
  14. ^ 時事通信 (2009年5月29日).“森さんの国民栄誉賞を発表=「放浪記」2000回、国民に夢”. Yahoo!ニュース. 2016年10月22日閲覧。
  15. ^ 官房長官記者発表 平成23年8月2日(火)”. 首相官邸.
  16. ^ 平成25年2月25日 国民栄誉賞表彰式”. 総理の一日. 首相官邸.
  17. ^ “大鵬さんの国民栄誉賞表彰 夫人「天国で喜んでいる」”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2013年2月25日). オリジナルの2013年2月25日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130225231417/http://www.asahi.com/sports/update/0225/TKY201302250347.html 
  18. ^ a b 内閣官房長官記者会見 平成25年4月1日(月)午後. 首相官邸.
  19. ^ a b 内閣官房長官記者会見 平成25年4月16日(火)午前”. 首相官邸.
  20. ^ レスリング 伊調馨選手に国民栄誉賞授与へ 五輪4連覇”. 毎日新聞. (2016年9月13日)
  21. ^ 伊調馨選手に国民栄誉賞 政府が正式決定”. 日本経済新聞. (2016年9月13日)
  22. ^ a b 羽生善治棋聖と井山裕太十段に国民栄誉賞授与、正式決定,産経新聞,2018年1月5日
  23. ^ a b 平成30年1月5日(金)午前 官房長官記者会見,首相官邸ホームページ,2018年1月5日
  24. ^ a b 羽生選手への国民栄誉賞決定,日本経済新聞,2018年6月1日
  25. ^ 国枝慎吾氏に対する国民栄誉賞の授与について”. 内閣官房長官記者会見. 内閣官房内閣広報室 (2023年3月3日). 2023年3月3日閲覧。
  26. ^ a b c "国枝氏に国民栄誉賞 政府が決定 パラスポーツ選手で初". 産経ニュース. 産経デジタル. 3 March 2023. 2023年3月3日閲覧
  27. ^ a b イチロー2度打診も辞退 福本氏も「そんなんもろたら…」”. スポーツニッポン. (2013年4月2日) 2016年10月22日閲覧。
  28. ^ 銅像も辞退の盗塁王・福本豊が語る真相 「死んだ後に語り草にでもなれば本望」”. デイリー新潮 (2022年3月11日). 2022年8月2日閲覧。
  29. ^ a b 「立ちションできへんくなる」国民栄誉賞を辞退した、世界の福本伝説 - 日刊SPA! 2013年4月3日
  30. ^ 福本豊氏が国民栄誉賞辞退の理由「立ちションベン」ではない”. 週刊ポスト 2013年4月19日号。
  31. ^ “国民栄誉賞、過去の辞退者は3人”. スポーツ報知. (2017年12月14日). https://web.archive.org/web/20171214122207/http://www.hochi.co.jp/topics/20171214-OHT1T50035.html 2017年12月14日閲覧。 
  32. ^ 国民栄誉賞 "ヒーロー"の選ばれ方 NHK 生活情報ブログ
  33. ^ a b イチローに“3度目の正直”国民栄誉賞授与を政府が検討”. スポーツ報知. (2019年3月23日) 2019年4月5日閲覧。
  34. ^ “イチローが国民栄誉賞辞退 「モチベーションが低下」”. 47NEWS. 共同通信 (全国新聞ネット). (2004年10月8日). オリジナルの2012年4月6日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20120406024948/http://www.47news.jp/CN/200410/CN2004100801001194.html 
  35. ^ イチローさん栄誉賞辞退「人生の幕下ろす時に」 : 政治”. 読売新聞オンライン (2019年4月5日). 2019年4月5日閲覧。
  36. ^ 首相動静 11月26日時事通信
  37. ^ イチロー氏 4度目の「国民栄誉賞辞退」か 東京スポーツ2019年12月3日
  38. ^ イチロー「国民栄誉賞」4度目の辞退に安倍首相青ざめる FLASH2019年12月4日
  39. ^ 「W国民栄誉賞を打診?」 安倍首相がイチローに、菅官房長官はカズに面会で囁かれるウワサ 1/2 2/2 週刊文春2019年12月12日号
  40. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2021年11月22日). “政府、大谷選手に国民栄誉賞打診 大谷氏は辞退”. 産経ニュース. 2021年11月22日閲覧。
  41. ^ MVPの大谷、国民栄誉賞の打診に「まだ早いので今回は辞退したい」 : 大リーグ : スポーツ : ニュース”. 読売新聞オンライン (2021年11月22日). 2021年11月22日閲覧。
  42. ^ 大薗友和『勲章の内幕』 社会思想社〈現代教養文庫〉、1999年8月、ISBN 4390116290
  43. ^ さだまさし『日本が聞こえる』毎日新聞社、1998年、124-125頁。ISBN 4-620-31213-4
  44. ^ 映画振興に関する懇談会(第10回)議事要旨 Archived 2013年1月20日, at the Wayback Machine.”. 文化庁
  45. ^ 国民栄誉賞見送りへ 金メダル選手に紫綬褒章”. 共同通信. (2004年8月26日) 2011年8月14日閲覧。[リンク切れ]
  46. ^ 「羽生結弦」国民栄誉賞に咬みついた「村田諒太」 政治ショーを批判”. デイリー新潮. 2021年8月20日閲覧。
  47. ^ 木村太郎氏、国民栄誉賞を「どんどん出した方がいい。大した勲章じゃないんだから」 スポーツ報知2018年3月2日
  48. ^ 国民栄誉賞 基準あいまい 首相の政治判断大きく 毎日新聞2018年3月3日
  49. ^ 時事ドットコム2011年7月25日[リンク切れ]
  50. ^ 羽生結弦選手の国民栄誉賞にマツコ・デラックスが「安倍さんのスポーツの政治利用は度を過ぎてる」と批判
  51. ^ 「受賞者を苦しめる奇妙な賞」国民栄誉賞がイチローからも大谷翔平からも辞退されるワケプレジデント、全4ページ


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