規模の収穫とは?

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規模の収穫

読み方きぼのしゅうかく
【英】:returns to scale

概要

規模の収穫とは, 事業体の活動に関して規模変化による効率性変動タイプを表すもので, 増加型, 一定, 減少型の3種類が存在する. 増加型, 減少型とはそれぞれ規模拡大, 縮小により効率性が向上する事業体, 一定とは現在の規模維持効率性からは望ましい事業体を指す. 規模の収穫が一定の事業体を最も生産的規模事業体と呼ぶ. CCRモデルでは規模の収穫を一定, BCCモデルでは規模の収穫は可変であると仮定して効率性評価している.

詳説

 事業体の規模の収穫とは, 事業体の活動規模変化による効率性変動タイプを表すもので, 以下のような増加型, 一定, 減少型の3種類が存在する.

 CCRモデルでは事業体(以降, DMU)の活動は規模の収穫を一定, BCCモデルでは規模の収穫は可変であると仮定して効率性評価している. 通常, 規模の収穫はフロンティア上でタイプ分けされるので, D効率的DMUのみに定義される. ただし, D非効率的DMUの規模の収穫を判定する方法として, BCCモデルを解いたときに得られるフロンティア上の点でタイプ分けされることも考えられる.

 D効率的DMUの規模の収穫はBCCモデル利用してタイプ分けが可能である. ここで, m\, 入力数, k\, 出力数, n\, DMU数, 入力行列X\in \mathbf{R}^{m\times n}\, (X_j\, DMU j\, 入力ベクトルとする), 出力行列Y\in \mathbf{R}^{k\times n}\, (Y_j\, DMU j\, 出力ベクトルとする), 入力乗数ベクトル\boldsymbol{v}\, , 出力乗数ベクトル

 \boldsymbol{u}\, , \boldsymbol{e}^{\top}=(1,1,\ldots,1)\, とすると, BCCモデルは以下のように定式化される.


\begin{array}{rll}
 \mbox{maximize} \quad & \boldsymbol{u}^{\top} Y_a - u_0 
            \\ 
 \mbox{subject to} \quad & \boldsymbol{v}^{\top} X_a = 1, 
                   & \qquad (1)\\
           & \boldsymbol{u}^{\top} Y_j - \boldsymbol{v}^{\top} X_j - u_0 
                                                \boldsymbol{e} \leq 0,  
                  & \qquad (2)\\
           & \boldsymbol{v} \geq \boldsymbol{0},  
                   & \qquad (3)\\
           & \boldsymbol{u} \geq \boldsymbol{0}.
                   & \qquad (4)
\end{array}\,


 u_0^*\, 最小値 \underline{u_0^*}\, u_0^*\, 最大値 \overline{u_0^*}\, 符号を見ることによって規模の収穫を以下のように判定することができる.


\mathbf{(A)} \ \underline{u_0^*} < \overline{u_0^*} \leq 0\, または, \underline{u_0^*} = \overline{u_0^*} < 0\quad :\quad\,  増加
\mathbf{(B)}\ \underline{u_0^*} < 0 < \overline{u_0^*}\, または, \underline{u_0^*} = \overline{u_0^*} = 0\quad :\quad\,  一定
\mathbf{(C)}\ 0 \leq \underline{u_0^*} < \overline{u_0^*}\, または, 0 < \underline{u_0^*} = \overline{u_0^*}\quad :\quad\,  減少


\underline{u_0^*}\, および \overline{u_0^*}\, は以下の問題を解くことによって求めることができる.

(1) \underline{u_0^*}\, (u_0^*\, 最小値)の求め


\begin{array}{rll}
\mbox{minimize} & & u_{0} \\ 
\mbox{subject to} & & (1), \ldots , (4).
\end{array} \,


(2) \overline{u_0^*}\, (u_0^*\, 最大値)の求め


\begin{array}{rll}
 \mbox{maximize} & & u_0 \\
 \mbox{subject to} & & (1), \ldots ,(4).
\end{array}\,


 DEAモデルを以下のように一般的に定式化してみよう.


\begin{array}{rlll}
 \mbox{minimize} & & \theta_a 
                 \\
 \mbox{subject to} & & X \boldsymbol{\lambda} \leq \theta_a X_a, 
                 \\
          & & Y \boldsymbol{\lambda} \geq Y_a,  
                \\ 
          & & L \leq \boldsymbol{\lambda}^{\top} \boldsymbol{e} \leq U,  
                 & \qquad (5)\\
          & & \boldsymbol{\lambda} \geq \boldsymbol{0}.  
\end{array}\,


 CCRモデルは規模の収穫一定仮定し, BCCモデルは規模の収穫を可変仮定した. (5)式の L\, U\, を様々に変更することによって, 様々に規模の収穫を仮定したモデル記述することができる.

\mathbf{(a)}\, CCRモデル(規模の収穫一定モデル) : L=-\infty, U=\infty\,

\mathbf{(b)}\, BCCモデル(規模の収穫可変モデル) : L=U=1\,

\mathbf{(c)}\, 規模の収穫増加モデル : L=1\, , U=\infty\,

(IRTS モデル : Increasing Returns to Scales model)
規模小さ事業体の効率性重視した評価モデルである.

\mathbf{(d)}\, 規模の収穫減少モデル : L=-\infty\, , U=1\,

(DRTS モデル : Decreasing Returns to Scales model)
規模大き事業体の効率性重視した評価モデルである.

\mathbf{(e)}\, 規模の収穫一般モデル : L\leq 1\, , U\geq 1\,

(GRTS モデル : General Returns to Scales model)
規模の収穫をある範囲限定したモデルで, BCCモデル比べて, 規模L\, 縮小する, もしくは U\, 倍する生産可能集合許容するモデルである.

 BCCモデル効率値(可変的な規模の収穫の下で計算される技術効率値) に対すCCRモデル効率値(一定の規模の収穫の下で計算される技術効率値)の比によって, 規模の効率性 (scale efficiency)を計測することができる. したがって, CCRモデル効率値(CCR\, )はBCCモデル効率値(BCC\, )と規模効率値(SE\, )に分解できる.


CCR = BCC \times SE\,


これは, 最も生産的規模(MPSS)にどの程度近いかを表す指標である. また, CCRモデル効率値に対すスラック考慮した効率値(SLE\, )の比はミックス効率性 (mix efficiency)と定義される. したがって, スラック考慮した効率値は, BCCモデル効率値(BCC\, ), 規模効率値(SE\, ), ミックス効率値(MIX\, )に分解が可能となる.


SLE = MIX \times BCC \times SE\,



参考文献

[1] 刀根薫, 『経営効率性測定改善 -包絡分析DEAによる-』, 日科技連, 1993.

[2] A. Charnes, W. W. Cooper, A. Y. Lewin and L. M. Seiford, Data Envelopment Analysis : Theory, Methodology and Applications, Kluwer Academic Publishers, 1994. 刀根薫, 上田徹 監訳, 『経営効率評価ハンドブック』, 朝倉書店, 2000.

[3] W. W. Cooper, L. M. Seiford and K. Tone, Data Envelopment Analysis, A Comprehensive Text with Models, Applications, References and DEA-Solver Software, Kluwer Academic Publishers, 1999.





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