生物学研究とは? わかりやすく解説

生物学研究

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 01:40 UTC 版)

昭和天皇」の記事における「生物学研究」の解説

昭和天皇生物学者として海洋生物植物の研究にも力を注いだ1925年大正14年6月赤坂離宮内に生物学研究室創設され御用掛の服部廣太郎勧めにより、変形菌類粘菌)とヒドロ虫類(ヒドロゾア)の分類学的研究始めた1928年昭和3年9月には皇居内に生物学研究所建設された。1929年昭和4年)には自ら在野粘菌研究第一人者南方熊楠のもとを訪れて進講受けた。もっとも、時局逼迫によりこれらの研究ままならず研究成果多く戦後発表されている。ヒドロ虫類についての研究裕仁(あるいは日本国天皇)の名で発表されており、『日本産1新属1新種記載をともなうカゴメウミヒドラ科Clathrozonidaeのヒドロ虫類検討』をはじめ、7冊が生物学研究所から刊行されている。また、他の分野については専門学者共同研究をしたり、採集品の研究委託したりしており、その成果生物学研究所図書としてこれまで20刊行されている。 1934年昭和9年)には、海中生物採集に使うための天皇陛下植物採集船として「葉山丸」が建造された。これは横須賀海軍工廠建造され全長15.1メートル和船内火艇で、宮内省御用船として管理されていた。第二次世界大戦中には海軍兵学校下賜され戦後は英豪軍接収し瀬戸内海ヨットとして使用していたが、1949年退役したあとは海上保安庁管理下に入り復元工事ののち、再び採集作業使われるようになった1956年には、同庁の23メートル港内艇「むらくも」を改装改名したはたぐも」がその役割引き継いだ。そして1971年には、新造船として「まつなみ」が建造されて、3代目採集となった。これらの艇は、普段通常の巡視艇同様の警備救難業務にあたっていた。なお「はたぐも」の就役後は「葉山丸」は通常の巡視艇として用いられていたが、1967年船体規格12メートル型に改装したしらぎく型)。この際主機関引き継がれたが、旧船体役目終えたことから、大山祇神社愛媛県今治市)の海事博物館保存公開されている。 昭和天皇の生物学研究については、山階芳麿黒田長礼研究同じく殿様生物学」の流れを汲むものとする見解や、「その気になれば学位取得できた」とする評価がある。一方昭和天皇研究題目として自然科学分野選んだのは、純粋な個人的興味というよりも、『万葉集』以来国見の歌同様、自然界秩序重要な位置にいるシャーマンとしての役割残存しているという見解もある。これについては北一輝昭和天皇を「クラゲ研究者」と呼び密かに軽蔑していたという渡辺京二の示すエピソード興味深いが、数多く残されている昭和天皇自身直接生物学に関して行った発言には、この見解肯定するものは見当たらない昭和天皇学友掌典長務めた永積寅彦は生物学研究の上からも堅い信仰持っていたのではないか語っている。また、詠んだ和歌の中で、干拓事業の進む有明海固有の生物絶滅憂う心情を詠いつつ、その想いを「祈る」と天皇としては禁句とされる語を使っている点に特異な点があることを、自然保護運動家の山下弘文などが指摘している。 昭和天皇海洋生物研究一部明仁研究とともに新江ノ島水族館神奈川県藤沢市)で公開されている。 昭和天皇研究著書日本産1新属1新種記載をともなうカゴメウミヒドラ科Clathrozonidaeのヒドロ虫類検討1967年2月天草諸島ヒドロ虫類1969年9月カゴメウミヒドラClathrozoon wilsoni Spencerに関する追補1971年9月小笠原諸島のヒドロゾア類(1974年11月紅海アカバ湾ヒドロ虫類5種(1977年11月伊豆大島および新島ヒドロ虫類1983年6月パナマ湾産の新ヒドロ虫Hydractinia bayeri n.sp.ベイヤーウミヒドラ(1984年6月相模湾ヒドロ虫類1988年8月相模湾ヒドロ虫類 2(1995年12月昭和天皇専門学者共同研究那須植物1962年4月三省堂那須植物 追補1963年8月三省堂那須植物誌1972年3月保育社伊豆須崎植物1980年11月保育社那須植物誌 続編1985年11月保育社皇居植物1989年11月保育社昭和天皇採集品を基に専門学者がまとめたもの相模湾産後図譜馬場菊太郎)(1949年9月岩波書店相模湾海鞘図譜時岡隆)(1953年6月岩波書店相模湾産後図譜 補遺馬場菊太郎)(1955年4月岩波書店増訂 那須変形菌類図説服部廣太郎)(1964年10月三省堂相模湾類(酒井恒)(1965年4月丸善相模湾ヒドロ珊瑚類および石珊瑚類 (江口元起)(1968年4月丸善相模湾貝類黒田徳米波部忠重大山桂) (1971年9月丸善相模湾海星類(林良二)(1973年12月保育社相模湾甲殻異尾類三宅貞祥)(1978年10月保育社伊豆半島沿岸および新島吸管虫エフェロタ属(柳生亮三)(1980年10月保育社相模湾蛇尾類(入村精一)(1982年3月丸善相模湾海胆類(重井陸夫)(1986年4月丸善相模湾海蜘蛛類(中村光一郎)(1987年3月丸善相模湾尋常海綿類(谷田専治)(1989年11月丸善相模湾八放サンゴ類(今原幸光・岩瀬文人並河洋)(2014年3月東海大学出版会昭和天皇発表したヒドロ虫類新種Clytia delicatula var. amakusana Hirohito, 1969 アマクサウミコップ C.multiannulata Hirohito, 1995 クルワウミコップ Corydendrium album Hirohito, 1988 フサクラバモドキ C. brevicaulis Hirohito, 1988 コフサクラバ Corymorpha sagamina Hirohito, 1988 サガミオオウミヒドラ Coryne sagamiensis Hirohito, 1988 サガミタマウミヒドラ Cuspidella urceolata Hirohito, 1995 ツボヒメコップ Dynamena ogasawarana Hirohito, 1974 オガサワラウミカビ Halecium perexiguum Hirohito, 1995 ミジンホソガヤ H. pyriforme Hirohito, 1995 ナシガタホソガヤ Hydractinia bayeri Hirohito, 1984 ベイヤーウミヒドラ H. cryptogonia Hirohito, 1988 チビウミヒドラ H. granulata Hirohito, 1988 アラレウミヒドラ Hydrodendron leloupi Hirohito, 1983 ツリガネホソトゲガヤ H. stechowi Hirohito, 1995 オオホソトゲガヤ H. violaceum Hirohito, 1995 ムラサキホソトゲガヤ Perarella parastichopae Hirohito, 1988 ナマコウミヒドラ Podocoryne hayamaensis Hirohito, 1988 ハヤマコツブクラゲ Pseudoclathrozoon cryptolarioides Hirohito, 1967 キセルカゴメウミヒドラ Rhizorhagium sagamiense Hirohito, 1988 ヒメウミヒドラ Rosalinda sagamina Hirohito, 1988 センナリウミヒドラモドキ Scandia najimaensis Hirohito, 1995 ナジマコップガヤモドキ Sertularia stechowi Hirohito, 1995 ステッヒョウウミシバ Stylactis brachyurae Hirohito, 1988 サカズキアミネウミヒドラ S. inabai Hirohito, 1988 イナバアミネウミヒドラ S. monoon Hirohito, 1988 タマゴアミネウミヒドラ S. reticulata Hirohito, 1988 アミネウミヒドラ S. (?) sagamiensis Hirohito, 1988 サガミアミネウミヒドラ S. spinipapillaris Hirohito, 1988 チクビアミネウミヒドラ Tetrapoma fasciculatum Hirohito, 1995 タバヨベンヒメコップガヤ Tripoma arboreum Hirohito, 1995 ミツバヒメコップガヤ Tubularia japonica Hirohito, 1988 ヤマトクダウミヒドラ Zygophylax sagamiensis Hirohito, 1983 サガミタバキセルガヤ

※この「生物学研究」の解説は、「昭和天皇」の解説の一部です。
「生物学研究」を含む「昭和天皇」の記事については、「昭和天皇」の概要を参照ください。

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