主機関
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 05:18 UTC 版)
「ヴァンガード (戦艦)」の記事における「主機関」の解説
本艦の機関設計は前述通りライオン級のために製造されたものを流用した。機関構成はライオン級と同じくアドミラリティ式重油専焼三胴缶8基とパーソンズ式オール・ギヤードタービン4基4軸推進のままであるが、機関技術の発展によりボイラー温度を750度まで引き上げられた。また、本艦は重量軽減のために巡航タービンを廃し、後進用ギアを内蔵した複流型低圧タービンと高圧タービンを並列に配置した2胴構成となっている。機関配置は前級と同じくボイラー室・タービン室・ボイラー室・タービン室というシフト配置を引き続き採用している。機関部は縦隔壁によって左右に分かれており、ボイラー室には1室あたりボイラー2基が設置され、左右で4基、前後の4室で計8基を配置していた。推進用のタービン室も4か所に分かれており、艦首側のボイラー室の背後に外舷軸を推進するギヤード・タービンが左右に1基ずつ計2基が配置され、後部ボイラー室を挟んで艦尾側に内側の2軸を推進するギヤード・タービンが縦隔壁を挟んで左右1基ずつ計2軸が配置されていた。タービン軸に接続されたスクリューは当初の設計では三枚翼であったが、公試中に激しい振動を起こしたために、再度ドック入りし試行錯誤の末、内側の2基のみ五枚翼へと交換して振動を抑えた。スクリューの直径は外軸も内軸も全て4.5mである。外観上での変更点では、ボイラー4基あたり煙突1本が担当し、計2本が直立した形状で立てられた。前級のキング・ジョージ5世級では艦橋形状に起因する煤煙の逆流が起きた経験から、本艦においては煙突の先にファンネルキャップを装備して改善していた。 その性能は、船体の大型化に伴う重量増加で排水量が2,000トン増加して通常ならば速力が低下する所であるが、本艦は公試で最大出力136,000hpで速力31.57ノットを発揮し、満載排水量状態で132,950hpで速力30ノットを出している。そのため実用最大出力は前級の110,000hpから20,000hp増加の130,000hpとなり、実用最大速力も前級の28ノットから29.5ノットにアップしている。また、巡航速度は前級の10ノットから12ノットへ増加したが、機関の燃費効率も向上し、燃料タンクの大型化もあって航続距離は7,000海里から6,660海里程度と、速力増加に伴う航続性能の低下は抑えられた。
※この「主機関」の解説は、「ヴァンガード (戦艦)」の解説の一部です。
「主機関」を含む「ヴァンガード (戦艦)」の記事については、「ヴァンガード (戦艦)」の概要を参照ください。
- 主機関のページへのリンク