ひ‐いれ【火入れ】
野焼き
火入れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 15:45 UTC 版)
火入れ(ひいれ)とは、醸造した酒を加熱して殺菌処理を施すこと。火当て(ひあて)ともいう。火入れされる前の酒は、まだ中に酵母が生きて活動している。また、麹により生成された酵素もその活性を保っているため酒質が変化しやすい。また、乳酸菌の一種である火落菌が混入している恐れもある。これを放置すると酒が白く濁ってしまう(火落ち)。そこで火入れにより、これら酵母・酵素・火落菌を殺菌あるいは失活させて酒質を安定させる。これにより酒は常温においても長期間の貯蔵が可能になる。しかし、あまり加熱が過ぎれば、アルコール分や揮発性の香気成分が蒸発して飛んでしまい酒質を損なう。そのため、これも加減が難しく、62℃ - 68℃程度で行われる。なお、65℃の温度で23秒間加熱すれば乳酸菌を殺菌できることが知られている。吟醸酒などは香りが飛ばないように瓶詰めしてから火入れすることもある。(瓶燗火入れ) 火入れの技法は、室町時代に書かれた醸造技術書『御酒之日記』にも既に記載され、平安時代後期から畿内を中心に行われていたことが分かる。これはすなわち、西洋における細菌学の祖、ルイ・パスツールが1866年にパスチャライゼーションによる加熱殺菌法をワイン製造に導入するより500年も前に、日本ではそれが酒造りにおいて一般に行われていたことになる。 明治時代に来日したイギリス人アトキンソンは、1881年に各地の酒屋を視察して「酒の表面に“の”の字がやっと書ける」程度が適温(約130°F(55℃))であるとして、温度計のない環境で寸分違わぬ温度管理を行っている様子を観察し、驚きをもって記している。 火入れと「生酒」の関係 火入れをしていない酒は「生酒」「無濾過生原酒」などとして人気がある。そういう「生」系の酒は瑞々しく、香りも若やいで華やかであり、また残存する微発泡感はのど越しもよい。火入れをするとそれらの酒の繊細さが失われるため、保存管理さえ徹底されていれば「生酒」には火入れした酒にはない味わいがある。 従来は低温での保存、流通を管理するのは難しく「生酒」が市場に出るのはまれだった。保存管理が行き届くようになった近年は「生酒」が市場に出回るようになり、日本酒の中で「生酒」が新しい楽しみ方の一つとなっている。 ただし、日本酒は火入れをしなければ劣化が早く、すぐに生老ね香を発するため、生酒は特に正しい保存管理をしなければならない。 また「生」系の酒の味は荒々しく、貯蔵・熟成を経た酒が持つ旨みやまろみ、深みに欠けるため、従来通りの火入れの工程を経た酒も日本酒としての魅力を失うわけではない。 「生酒」をめぐる表示問題 生貯蔵酒(なまちょぞうしゅ)や生詰酒(なまづめしゅ)に仕立てる場合などを除いて、大多数の一般的な酒の場合、上槽から出荷までの間に火入れは二度ほど行われる。すなわち、1回目は貯蔵して熟成させる前、2回目は瓶詰めして出荷する直前である。特に1回目の火入れは、成分に落ち着きを与え、その先の貯蔵中にどのように熟成していくかの方向性を左右する。これを分かりやすくチャートにすると以下のようになる。 上槽 → 滓下げ1回目 → 濾過1回目 → 火入れ1回目 →貯蔵・熟成 → 滓下げ2回目 → 濾過2回目→割水→火入れ2回目 → 瓶詰め → 出荷 生貯蔵酒 火入れ1回目をしない。杜氏蔵人言葉では「先生」(さきなま)、「生貯」(なまちょ)などという。 生詰酒 火入れ2回目をしない。杜氏蔵人言葉では「後生」(あとなま)などという。 生酒(なまざけ) 火入れ1回目も2回目もしない。杜氏蔵人言葉では「生生」(なまなま)、「本生」(ほんなま)などという。 原酒 滓下げ1回目を施された上澄み部分の酒のこと。 以上のような前提の中で、生貯蔵酒や生詰酒は、少なくとも1回は火入れをしていて本当は「生」ではないわけだから、「生」を名称に含めるのは妥当ではない、という議論がなされている。 また、「生」好みの消費者心理を利用し、生貯蔵酒や生詰酒の「生」の字だけを大きく、あるいは目立つ色彩でラベルに印刷し、その他の文字を小さく地味に添えるなどして、あたかも生貯蔵酒や生詰酒が「生」の酒であるかのようにイメージを演出して流通させている蔵元もある。一方では、吟醸酒や純米酒の中には「生詰」と表示しているだけでも、本当の生酒(なまざけ)、いうならば「生生」も流通されるようになってきた。
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火入れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/05 03:10 UTC 版)
荒茶を乾燥させ風味を向上させる。選別した後に火入れを行う場合もある。
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火入れ(野焼き)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 09:00 UTC 版)
農家による作物残渣の焼却が延焼を起こすケースが目立つ。毎年春ごろになると、山火事への注意喚起と合わせて予防運動が行われている 「野焼き」も参照
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「火入れ」の例文・使い方・用例・文例
- 酒に火入れをすること
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