浮世絵における「歴史画」とは? わかりやすく解説

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浮世絵における「歴史画」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/15 20:54 UTC 版)

歴史画」の記事における「浮世絵における「歴史画」」の解説

浮世絵における歴史画とは、歴史上の出来事、あるいは物語題材をとったものを指す。また、物語作者と同じ時代事件扱った事件といわれるものも含まれる江戸時代日本国全体閉鎖されていたのみでなく、各藩ごとに一種閉鎖社会形作っていた。そして、浮世絵作り、またそれを楽しむ層の人々はさらに周囲狭かった社会意識薄く自分の手近なところのみであった後期になると、漸く物産流通街道の整備庶民交流交通多くなって、国内的にはかなり社会視野広くなったとはいえ社会階層動かず民間報道厳禁流言を流すとして処罰され政治は全く「おかみ」のことに属していた。それも幕末外国船が頻繁に渡来してくるに連れ自国以外の存在動き漸く感じ始めようになった浮世絵の描く世界が町社会遊里社会くらいであった時代は既に遠く、当然、浮世絵にも当代世相反映され、それらへの視野から表現欲も湧いてくるこうした四囲動き自覚、また情報得たいという自然な願いがしばしば歴史画仮託されて描かれている。鎌倉時代富士の巻狩り描いても、実は外国船打払い防備訓練諷刺するといったものや、江戸幕府将軍大奥のことなども妖怪借りて示すといったすり替え諷刺描かれた。しかし、ストレートに一揆政変政争を描くには開国、あるいは明治維新を待たねばならなかった。もし、諷刺という抜け道を通るのではなく出版にいちいちチェックを受けるのでもなかったら、殆ど底知れず貪欲な浮世絵もっともっと広くヴィヴィットな社会的題材示した思われる一方歌舞伎においても近世の歴史取材した劇化禁止されていた。批判もとより、そうでなくても当代触れるのはご法度であったから、台本は常に古い時代仮託して上演しなければならなかった。これが、そのまま錦絵になる状態であったから、坂田金時のような伝説物以外では、歴史画描かれることは少なかった例えば、豊臣秀吉のことを描いても、その残党刺激し、ついては現政権関わるとしてご法度になった喜多川歌麿らが処罰されたのも、これに関連していた。そのため、ともかく歴史避ける方が賢明であったが、幕末に向かうに連れ源平時代時代変えて外国船渡騒ぎ描いたりしている。『三国志』、『水滸伝』、『西遊記』のように翻訳物なら差し支えないとして、日本物は避け唐土の関係の物はしばし登場したそういう中で、歌川国芳歴史伝説、さらに時代諷刺にも積極的なであったし、近世宮本武蔵取り上げて退治奔放なイメージ広げたりしている。 実際史実錦絵化されるのは、明治維新といってよい。勝てば官軍であるから戊辰戦争描かれるし、西南戦争では大礼服着たまま前線指揮執る西郷隆盛といった荒唐無稽大時代的な錦絵現れた。こうした想像浮世絵師描いたのも、未だ速報的な手段方法がなかったためで、日清戦争錦絵がそのピークであろう思われる。ただ、日清戦争絵には軍艦同士海戦兵器など近代戦様相表現されてくる。小林清親安城攻撃図で見られるサーチライト照らして砲撃などはその例の一つであった。しかし、現実戦争を描くとなれば正確、迅速写実自ずから求められてくるものである。既に西洋画技法を身につけていた浅井忠従軍活動もあり、さらに写真出現によって、次の日露戦争時には以前ピーク戻ってこなかった。 このように正確な歴史画はなかなか育たなかったが、市井の人々は故事伝説的なものには大い関心があって、浮世絵師にも大蘇芳年のような詳しい人存在した故事的な錦絵幕末になってからではなく浮世絵初期からあり、今となってはなかなか解き難いものもあるようである。菱川師宣の「大江山酒呑童子18シリーズ、あるいは一方から見ると母子像であるが、歌麿の「山姥シリーズなども歴史画といえるかもしれないこの項の参考文献 吉田漱浮世絵見方事典北辰堂1987年

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