パロディに対する法的取り扱い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/16 09:22 UTC 版)
「パロディ」の記事における「パロディに対する法的取り扱い」の解説
元となった作品の創作者や権利者から許諾を得ずに、第三者がパロディを創作する行為が法的に許容されるかは各国の法律により異なる。後述のとおり、実際に訴訟に発展したケースでは、著作権ないし商標権 (いずれも知的財産権の一部)、あるいは不正競争防止が争点となっている。 パロディを巡る著作権の議論では、著作財産権 (著作物を使った複製、翻案、実演などの独占権) だけでなく、著作者人格権の一つである同一性保持権が権利侵害として問われる可能性がある。一般的な著作権法における「翻案」とは、たとえば小説の映画化や文章の要約作成、コンピュータ・プログラムのバージョンアップのほか、音楽の編曲や文章の翻訳などが含まれることから、原著作物を用いた二次的著作物の創作 (二次創作) をも包含する。また同一性保持権とは、著作者の思想や感情が反映された著作物を無断で第三者に改変されない権利である。著作権の基本条約であるベルヌ条約 (2020年10月時点で世界170か国以上が加盟) でも、著作者の名誉声望を毀損する行為が禁じられており、著作者の人格が世界的に保護されている。したがって、原著作物の著作者の名を汚すような歪んだ改変こそが醍醐味とも言えるパロディは、翻案権の観点からも同一性保持権の観点からも法的に矛盾を抱えることとなる。ただし、パロディの創作側にも各国の憲法上で表現の自由が保障されていることから、著作権者側の独占的な権利との間で利益バランスが図られることになる。 各国の著作権法上でのパロディ規定 条文上で著作権侵害の対象からパロディを除外する個別規定を設けている国: フランス、スペイン、オーストラリア、ベルギー、オランダ、スイス、ブラジル、イギリス、カナダ 条文上で明記はないが、フェアユース等の一般規定に基づき、柔軟な司法判断でパロディを認めている国: 米国 条文上でパロディ個別明記も一般規定も存在しない国: ドイツ、スウェーデン、イタリア、ハンガリー、ポーランド、韓国、日本 つづいて商標権とは、自社・自己の商品やサービスに用いられるマークやネーミングである商標に適用される権利であり、他社・他者と区別することを目的としている。商標権を有する事業者や個人を保護するだけでなく、商品やサービスを購入する消費者が混同して不利益を被らないよう、消費者保護の側面もある。この「混同」の観点は、商標法だけでなく不正競争防止にも当てはまる国 (フランス:23や米国など) がある。 以下、国別に判例を交えて見ていく。
※この「パロディに対する法的取り扱い」の解説は、「パロディ」の解説の一部です。
「パロディに対する法的取り扱い」を含む「パロディ」の記事については、「パロディ」の概要を参照ください。
- パロディに対する法的取り扱いのページへのリンク