タカラダニとは? わかりやすく解説

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タカラダニ

タカラダニとは、赤い体が特徴ダニである。正確には、ダニ目ケダニ亜目タカラダニ科アナタカラダニ属のカベアナタカラダニ通称である。

タカラダニの体長は1mmほどで、体の色が赤いため目立つ。全国各地見られ毎年4月から7月頃にかけて大量に発生することがある。しかし見つかるのはすべてタカラダニのメスであるため、単為生殖が行われていると考えられる

タカラダニは主に屋外生息するが、洗濯物布団付着して屋内侵入することがある。タカラダニの人間への被害日本では報告されていないが、小さく赤い体が大量に発生する様子見ていて気持ち良いものではなく不快害虫分類されるダニが潰れると赤い体液衣服などが汚れるため、発生時期には注意が必要である。

タカラダニは主に花粉コケ食べて生きている考えられる。タカラダニ科のダニ昆虫寄生して生きていく種も多いが、カベアナタカラダニ昆虫寄生した状態で見つかったことはない。

タカラダニの生態には不明な点が多く研究進められている。

たから‐だに【宝×蜱】

読み方:たからだに

タカラダニ科のダニ総称体長1〜2ミリ全身赤色短毛覆われる幼虫セミイナゴなどの昆虫寄生成虫地表生活し花粉小さななどを食べる。5月頃に大量発生することがある


タカラダニ

節足動物門 蛛形綱 ダ二目 前気門亜目Prostigmata タカラダニ科Erythraeidae

タカラダニ

この害虫属する群
ダニ(6) タカラダニ
形態
 体長1mm前後比較大きなダニで、全身鮮紅色背面に1対の目があり、目の斜め後方にウルヌラと呼ばれる特殊な穴を有する幼虫体長 0.5mm丸形背板形状成虫酷似するが、ウルヌラはない。
分布
 日本各地見られるが、分布詳細不明である。
被害
 突然、家屋周辺外壁真赤ダニ多数発生して恐怖感不快感をあたえる。人体への刺咬危害例は、現段階では知られていない知らずコンクリートベンチに座ると、衣服汚染されることもある。
生態
 4月末から6月に、ビル屋上壁面コンクリート大群が突然出現し徘徊し屋内にも侵入する成虫コケの間に卵を産み付ける年内孵化した幼虫活動するようであるが、餌は不明であり、越冬態も知られていない

タカラダニ

ダニ(6) タカラダニ
特徴
 タカラダニは、「宝」ダニの意味で、この仲間には鮮やかな赤色呈する種類多くます。この仲間は、自由生活性で、幼虫期には昆虫クモなどに寄生しているものが多く、それらは寄主体液吸って満腹になると地上落ちて若虫なります
 近年家屋周辺でタカラダニが時々多数発生して問題になってます。従来ハマベアナタカラダニとされてきましたが、幼虫発見によりまったく別種であることが判明し2001)、現在ではカベアナタカラダニ Balaustium murorum (HERMANN)と分類されています。この種類生態についてはまだ解明されていません。体長 1mm前後赤橙色ダニです。
 4月終わり頃から6月にかけて、ビル屋上壁面大量に出現し素早く動き回り屋内にも侵入します。突然大発生して、暫くするとまた見かけなくなります
防除
 生態分かっていないので確実な予防対策はありませんが、コケ疑われているため、日頃清掃洗浄をすると良いかも知れません。人間危害与えことはなようですので、支障ないようなら、放置しておいても構いません
 屋内への侵入心配される場所では、出現時期の少し前からコンクリート面を注意して目視観察しておくと、出現いち早く察知できます駆除する場合には、良く徘徊する面に残効性のある殺虫剤吹き付けます。


宝蜱

読み方:タカラダニ(takaradani)

タカラダニ上科属すダニ総称


宝谷

読み方:タカラダニ(takaradani)

所在 鳥取県日野郡日南町

地名辞典では2006年8月時点の情報を掲載しています。

カベアナタカラダニ

(タカラダニ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/20 02:39 UTC 版)

カベアナタカラダニ
カベアナタカラダニ Balaustium murorum
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 鋏角亜門 Chelicerata
: クモガタ綱 Arachnida
亜綱 : ダニ亜綱 Acari
: 汎ケダニ目 Trombidiformes
亜目 : ケダニ亜目 Prostigmata
: タカラダニ科 Erythraeidae
亜科 : Balaustiinae
: アナタカラダニ属 Balaustium
: カベアナタカラダニ Balaustium murorum
学名
Balaustium murorum
(Hermann1804[1])[2]
シノニム

Trombidium murorum
Hermann, 1804[1]

カベアナタカラダニBalaustium murorum)は、汎ケダニ目タカラダニ科アナタカラダニ属に属するダニの一。派手な赤色の花粉食性ダニで、主に北半球ユーラシア大陸に広く分布する[3][4][5]

形態

体長約 1 mm、幅約 0.66 mm(幼虫の場合はそれぞれ約 0.4 mm と約 0.24 mm)。成虫と第二若虫は全身が派手な赤色で、楕円形の胴体部の背面から末端にかけて白い剛毛が密生する場合があり、成虫の方が毛深い。1対の赤い単眼を胴体部の前方左右にもち[3]、その後方にウルヌラ (urnula) というBalaustiinae亜科特有の分泌器官の穴があり、これがアナタカラダニという和名の元となっている[6][5]

顎体部のうち鋏角は目立たない短剣状、胴体部内に格納できる。触肢は他の同属種より発達で、腿節-膝節は太く、脛節-跗節は円錐状、跗節末端は丸みを帯びる。胴体部の4対のは基部が前後2対でかけ離れ、全ての肢節に剛毛が生えて、それぞれの跗節末端に爪間盤と1対の鉤爪をもつ[3]

2匹のカベアナタカラダニ。

分布と分類

花粉に集まっているカベアナタカラダニ(東京千代田区)。

旧北区日本からヨーロッパアフリカ北部まで、ユーラシア大陸を中心に北半球に広く分布する[3]。日本では北海道から沖縄まで全域に分布する[6]。人の移住によって分布を拡大したとされており[6]、日本個体群をヨーロッパからの移入種とする説もあるが、リボソームRNAミトコンドリアDNAに基づいた分子系統解析に否定的とされる[7]

日本やオーストリア個体群の分子系統解析から、日本個体群はオーストリア個体群に近縁な系統と遺伝距離の離れた複数の系統に分かれる結果が得られており、日本でカベアナタカラダニとされるダニ類には少なくとも3つの未記載種(隠蔽種)が含まれていることが示唆されている[注釈 1][7]

日本の個体群は2001年に全国の若虫・幼虫の形態観察が行われるまで,浜辺を中心に住むハマベアナタカラダニ(明確な学名なし)種群と混同されていた[8]。また、かつて本種と考えられたオーストラリア産の個体群は Balaustium medicagoense の誤同定とされる[9]

本種は汎ケダニ目 (Trombidiformes, 旧ケダニ亜目) タカラダニ科 (Erythraeidae) Balaustiinae 亜科に分類される[10][3]。1804年にフランスの医者・博物学者であるジャン=フレデリック・エルマン英語版[注釈 2]によって記載され、当初はナミケダニ属 (Trombidium) の一種 Trombidium murorum として分類されていたが[1]、Heyden (1826)[2] 以降からアナタカラダニ属 (Balaustium) の一種 Balaustium murorum として再分類され、その属の模式種タイプ種)となっている[10]。なお、本種の模式標本は紛失しており、Mąkol (2010) の再記載でゲルリッツ産の新基準標本(ネオタイプ)を設けられる[3]

生理学と生態

タカラダニという和名は、本科の多くの種類が幼虫期にセミなどの昆虫寄生し、それが付いている昆虫の様子が宝物を抱えているように見えることに由来とされる[11]。しかし本種は他の同属種と同様、どの成長段階も自由生活で、他の生物には寄生しない[6][5]雑食花粉を主食とし[12][5]トビムシアブラムシなどを捕食することもある[8]

体の赤色の色素抗酸化作用をもつカロテノイド由来である。中でもアスタキサンチンの濃度が非常に高く[注釈 3]太陽紫外線や放射に晒される厳しい生息環境の高温を耐えるのに役立つと思われる[4][5][13]

日当たりの良い場所に生息し、自然環境では岩石の割れ目に住むが、45まで耐える高温耐性[14]により人工環境への適応力も高く、名前の通りコンクリートに発生することが多い[8][7][15][5]。コンクリート表面に棲む理由は、コケ地衣類が住処と食物を提供する、春先で花粉が大量に付着して餌が豊富、コンクリート表面が高温になり,5月の強い紫外線を受けるため天敵が少ない、などが推測されている。

赤い体色は人間から見ると目立つが、天敵である捕食性昆虫アリ捕食カメムシなど)の目は通常赤を識別できないため、これらの捕食者に狙われる確率に影響はないと考えられる[5][13]。危険を感じると、前述したウルヌラから警戒フェロモンと防御アロモンの作用をもつ液体を噴出する[6]

性個体のみ存在し、クローンを産むような単為生殖で繁殖すると考えられている[16]。年1回の単為生殖を行い、梅雨の頃に産卵し、次の春まで卵でを越して休眠すると考えられる[6][5]。コンクリート壁の隙間や壁の割れ目に産卵する。卵は光沢ある赤褐色の楕円体で、長径約 0.2 mm、短径約 0.16 mm[17]

日本では国内にビルが増えた1970~1980年代以降からよく目撃されるようになる[7][13]関東地方では3月末に幼虫が見られ、4月下旬から5月中下旬に成虫が大量発生し、7月にかけて漸減してゆく事が確認されている[8][18][15]ヨーロッパでは7月まで多く発生し[3]、日本より一ヶ月遅く姿を消す[6]

人間との関わり

動きが素早く真っ赤な体色から気味悪がられ、また条件が良好な屋外であれば自転車サドル洗濯機の胴部などにも大量発生し、それらを体色によりまだらに赤く染めてしまうことから、1980年頃より不快害虫として駆除対象にされている[11]

生体はヒトを刺すことはなく、単なる接触では症候を引き起こすこともない。しかし体液に長時間接触すると皮疹を生じる恐れがあるため、不注意に潰して体液を皮膚に付けないように注意する必要がある[19][6]。本種では札幌で1例、アメリカカナダに分布する類似種で4例の皮疹が報告されている[20]

脚注

注釈

  1. ^ Balaustium sp. 1:東京美咲町)、Balaustium sp. 2:北海道えりも町)、Balaustium sp. 3:四国愛南町
  2. ^ ジャン・エルマンの子。
  3. ^ 主要カロテノイドの60%、濃度 334.8 ng/μg protein。同じ赤いダニであるミカンハダニの127倍で、知られる節足動物の中でも最も高い。

出典

  1. ^ a b c Hermann, J.F. (1804). Mémoire Aptérologique, 144+9 pp., F.L. Hammar, Strasbourg.
  2. ^ a b Heyden, C. H. G. von (1826). Versuch einer systematischen Eintheilung der Acariden. Isis von Oken, 18(6): 609–613.
  3. ^ a b c d e f g Mąkol, Joanna (2010-09). “A Redescription of Balaustium murorum (Hermann, 1804) (Acari: Prostigmata: Erythraeidae) with Notes on Related Taxa” (英語). Annales Zoologici 60 (3): 439–454. doi:10.3161/000345410X535424. ISSN 0003-4541. http://www.bioone.org/doi/abs/10.3161/000345410X535424. 
  4. ^ a b Osakabe, Masahiro; Shimano, Satoshi (2023-01-01). “The flashy red color of the red velvet mite Balaustium murorum (Prostigmata: Erythraeidae) is caused by high abundance of the keto-carotenoids, astaxanthin and 3-hydroxyechinenone” (英語). Experimental and Applied Acarology 89 (1): 1–14. doi:10.1007/s10493-022-00766-z. ISSN 1572-9702. https://doi.org/10.1007/s10493-022-00766-z. 
  5. ^ a b c d e f g h 春先、コンクリート壁でみかける派手な赤いダニは、なぜ赤い?~法政大学と京都大学の研究グループが真っ赤な体色の原因を解明~”. www.atpress.ne.jp (2022年12月23日). 2023年5月18日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h 正彦, 大野 (2016-01). “カベアナタカラダニの生態と防除 : 新たな知見を加えて”. Pest control Tokyo : (公社)東京都ペストコントロール協会機関誌 70: 5–9. http://www.pestcontrol-tokyo.jp/img/pub/070r/070-03.pdf. 
  7. ^ a b c d Hiruta, Shimpei F.; Shimano, Satoshi; Shiba, Minoru (2018-03-01). “A preliminary molecular phylogeny shows Japanese and Austrian populations of the red mite Balaustium murorum (Acari: Trombidiformes: Erythraeidae) to be closely related” (英語). Experimental and Applied Acarology 74 (3): 225–238. doi:10.1007/s10493-018-0228-0. ISSN 1572-9702. https://doi.org/10.1007/s10493-018-0228-0. 
  8. ^ a b c d 花岡暭、大野正彦、狩野文雄、関比呂伸「カベアナタカラダニの生態に関する観察事例」『東京都健康安全研究センター研究年報』第59号、2008年、301–305頁、ISSN 1348-9046 
  9. ^ Halliday, Rb (2001-10-12). “Systematics and biology of the Australian species of Balaustium von Heyden (Acari: Erythraeidae)” (英語). Australian Journal of Entomology 40 (4): 326–330. doi:10.1046/j.1440-6055.2001.00244.x. ISSN 1326-6756. http://doi.wiley.com/10.1046/j.1440-6055.2001.00244.x. 
  10. ^ a b Southcott, R. V. (1961). “Studies on the systematics and biology of the erythracoidea (Acarina) with a critical revision of the genera and subfamilies” (英語). Australian Journal of Zoology 9 (3): 367–610. doi:10.1071/zo9610367. ISSN 1446-5698. https://www.publish.csiro.au/zo/zo9610367. 
  11. ^ a b タカラダニをご存知ですか? 京都府保健環境研究所
  12. ^ Yoder, Jay A.; Jajack, Andrew J.; Tomko, Patrick M.; Rosselot, Andrew E.; Gribbins, Kevin M.; Benoit, Joshua B. (2012-12). “Pollen feeding in Balaustium murorum (Acari: Erythraeidae): visualization and behaviour” (英語). International Journal of Acarology 38 (8): 641–647. doi:10.1080/01647954.2012.733024. ISSN 0164-7954. http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/01647954.2012.733024. 
  13. ^ a b c ダニの生存戦略 習性知り駆除に生かす”. 読売新聞オンライン (2023年5月12日). 2023年5月21日閲覧。
  14. ^ Wohltmann, A. (2001-09-28). “The evolution of life histories in Parasitengona (Acari: Prostigmata)” (英語). Acarologia 41 (1-2): 145–204. ISSN 0044-586X. https://www1.montpellier.inra.fr/CBGP/acarologia/article.php?id=136. 
  15. ^ a b 正彦, 大野 (2019). “コンクリートブロック塀におけるカベアナタカラダニの発生消長”. ペストロジー 34 (2): 89–94. doi:10.24486/pestology.34.2_89. https://www.jstage.jst.go.jp/article/pestology/34/2/34_340215/_article/-char/ja/. 
  16. ^ コンクリート・アスファルトで目を凝らせば見つかる“小さな赤い生き物”「カベアナタカラダニ」とは 潰すと赤い汁が...そしてメスしか確認されていない不思議な生態 RSK山陽放送、2024年4月14日閲覧
  17. ^ 大野正彦, 関比呂伸, 花岡暤「カベアナタカラダニBalaustium murorumの産卵場所」『都市有害生物管理』第5巻第1号、都市有害生物管理学会、2015年、7-13頁、doi:10.34348/urbanpest.5.1_7ISSN 2186-1498NAID 130007801534 
  18. ^ 島野 智之,メーリングリストアーカイブ 農林水産研究情報総合センター
  19. ^ 大野正彦, 花岡暤, 関比呂伸, 大貫文「カベアナタカラダニの短期接触による皮膚障害発生の可能性」『都市有害生物管理』第1巻第2号、日本家屋害虫学会、2011年12月、111-117頁、ISSN 21861498NAID 110008798931 
  20. ^ 芝 実,第44回全国環境衛生大会講演集(2000/11)p29,日本環境衛生センター

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