999号 999号の概要

999号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/30 02:36 UTC 版)

京都鉄道博物館の特別企画「銀河鉄道999展」に合わせてTV版999号の装飾を施したC62形26号機

車両解説

999(スリーナイン)号
コード 999
種別 銀河超特急
Special Limited Express Train
動力機関 GR-0999-SV
(超次元機関ボイラー)
主車体素材 極秘
最高速度 3150sKm/h
基本編成 11両 (1M+10T)
基本編成出力 300万コスモ馬力
基本編成時定員 120名(旅客)
主な乗客 星野鉄郎メーテル
防御装備 耐エネルギー無限電磁バリヤー
兵装 ブラックホール砲
光学迷彩
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999号は、銀河鉄道株式会社の運行列車の中では最速の特急列車(銀河超特急)として設定される。999号を牽引する動力車C62形蒸気機関車と同じ外見をしている。客車はスハ43形、またはオハ61形[1]、また原作やTVアニメ版の一部ではモハ51系電車を模している[2]。客車の数は不定だが、概ね9両から15両で構成される。原作の後半と劇場版では最後尾に展望車が連結されている。TV版では車種を問わず最後尾まで同じ外観の車両が使用されている。連結器も自動連結器の様な物を使用しているが、他にも「吸着連結器」と言う連結方法が存在する。また作品中では999号はしばしば外部の攻撃を受け、損傷した車両をその場で切り捨てたりしているが、物語が進むにつれ編成がだんだん短くなっていくということはない。

銀河鉄道シリーズに登場する999号以外の列車の多くがモダンや超次元、未来系の形をしているのに対し、この列車だけが旧式の蒸気機関車列車を模倣している理由について、メーテルは「二度と帰らないお客のためには、こんな演出も必要」と説明している。また、999の停車駅で昭和30年代日本の町並みがそのまま残っているような星では銀河鉄道の存在が公にされていない場合があり、そうした星ではまだ蒸気機関車が現役であることから999はその外見をカモフラージュとして利用している。999をはじめとする銀河鉄道の車両は、停車駅である惑星の上空を走行しているところを地上から見上げると、アニメでは空中を光の帯となって飛び去っていくように見える場面が随所に見られる[3]

機関車は機関士や機関助士の乗務を必要とせず、機関車自身に組み込まれた人工頭脳が各種の判断を行い、走行する。また蒸気機関車のボイラー内部に当たる部分に各種の機械設備が内蔵されており、内壁は“零士メーター”とレバー類で埋め尽くされている。よって稼働中は(メーター内照で)非常に明るく、逆に停止中は真っ暗となる。焚口戸にあたる部分から中へ入ることが可能。乗客はパスを持っていれば自由に入ることができる。人工頭脳により乗客や車掌、銀河鉄道の指令[4]とも会話可能なほか、メーテルらには「機関車さん」と呼ばれることもある。緊急時には、石炭[5]をボイラールーム(同「知力燃料室」)にくべて機関を発動させる事も可能で、このときは車掌と鉄郎が協力して手動運転する。

客車にも宇宙空間での増解結に備えて自走能力が備わっているが、あくまで補助用のもので基本的には動力集中方式である。

牽引機関車

牽引機はC62形蒸気機関車がモチーフとなっている。プレートには原作版や劇場版では48号機、TV版は50号機[6]と描写される[7]。また、エターナル編では多数のコンバージョンがつかず離れず併走しており、緊急時には複数の機関車が合体して出力を上げることがある。

人工知能には外宇宙の遺跡から発見された技術が採用されている。この人工知能は「銀河鉄道の規則に則り、正確に999号を運行するために存在する」とされているが、その割には鉄郎に対し咄嗟に嘘をつく(『C62の反乱』)、車掌と喧嘩した挙句すねて乱暴な牽引になる(『心やさしき花の都』)、自分の行動に後から疑問を抱き車掌に諭される(『ヤーヤボールの小さな世界』)など、感情的になる姿がしばしば見られる。TVアニメでは鉄郎の知人を助ける為に空中戦に介入したこともある(『キリマンジャロの鳥人』)。またプライドが高く、銀河鉄道で最も速いことを誇りとしており、劇場版2作目で幽霊列車(原作では機械超特急)に初めて進路を譲らされた際には、大きなショックを受けていた。

声優はTVアニメ版・山田俊司戸谷公次、劇場版第2作『さよなら銀河鉄道999』・柴田秀勝、劇場版第3作『エターナル・ファンタジー』・山寺宏一

原作エターナル編をベースとした作品では、機関車の実体部品として女性型アバターの電子妖精カノンがボイラー内部に乗務している。声優は劇場版第3作『エターナル・ファンジー』・戸田恵子

劇場版での設定

999号は超近代化宇宙列車であり、耐エネルギー無限電磁バリヤーによって防御されている。外観は乗客の心が休まるように前近代的なC62形蒸気機関車と旧式の客車に仕立てられているが、その内部は人類の技術を超越した超近代的なメカニズムが組み込まれている。機関車全長は、炭水車を含めて20.55m(連結器を含まず)。全高3.98m。重量210トン動力は三連流体動力機関で超次元機関ボイラーを搭載する。出力は220万コスモ馬力。時速3000宇宙キロ[8]

メカニズムは、外宇宙の滅亡した科学惑星の遺跡や異星人から入手した資料を基に設計された。機関部は「コンピューターの頭脳を持つ思考のできる機械」であり、自分自身で判断しながら定められた軌道とタイムスケジュールに従って安全に列車を牽引する。また、非常時には機関部によるオートコントロールから手動式に切り換えることも可能で、この場合は車掌が運転室の運転台に座って蒸気機関車と同じ要領で運転する。

機関車内の先頭部には「知力燃焼室」があり、999号コンピューターの演算部に相当する。超高速度計算で発熱するため、冷却システムが組み込まれている。「知力燃焼室」は遠くからは白く光ってみえるが、近づくと冷却システムの放熱板により赤く光って見える。「知力燃焼室」の最奥中央部には機関車内(総合コンピューター室内)を見渡すためのコンピュータ・アイ(カメラ・アイ)があり、乗客を視認可能である。

機関車内の大部分を占めるのが「総合コンピューター室」で、999号コンピューターのメインユニットに当たり、壁中に無数のアナログメーター類やレバーが並ぶ。軌道計算からシステム消費まですべてのシステムを統括している。

機関室後部の床がスライドすると「動力炉」が現れる。普段は全自動だが、非常時に人力運転する場合、エネルギー鉱石[9]はバイパス回路を通らずに動力炉内部の左右の排出口から吐き出される。このエネルギー鉱石をスコップで掬い、動力炉の前面(及び後面)にあるエネルギー交換装置(燃焼室)に投げ入れて燃焼させることで動力を得る。

三対ある動輪のうち、最前部が「第一流体動力機関」、中央が「第二流体動力機関」、後部が「第三流体動力機関」で、連結棒で連結されているので「三連流体動力機関」と呼ぶ。999号の走行用動力機関である。これらを稼働させるための「流体エネルギー加圧室」(シリンダー)、車体最前部の「流体エネルギータンク」、「流体エネルギー電磁バルブ」「副加圧室」「調圧器」があるほか、「第二流体動力機関」の左右にタンク状のエネルギーコンデンサーが設置されている。また、先輪には「軌道センサーユニット」が、動力炉下部に位置する従輪には「主発電ユニット」が設置されている。

蒸気機関車の煙突に相当する箇所は「排気エネルギーブラストノズル」で、その後方のキセ(蒸気機関車で蒸気溜まりと砂箱を覆うカバーを指す)内には軌道コンパス2基とコスモレーダーが設置されている。

炭水車の内部は副コンピューター室となっており、999号コンピューターのデータバンクであり、通常軌道計算のみを行っている。内部には重水素タンクが、上部にはエネルギー鉱石(宇宙石炭)が積載されており、自動給炭装置で機関車に燃料を供給する。また、機関車へ通り抜けるための貫通扉と貫通通路が設けられており、通路内には前方から「車内データスクリーン」「軌道データスクリーン」「位置データスクリーン」「エネルギーデータスクリーン」(2面)が設置されている。

炭水車の台車は「第一電磁動力機関」「第二電磁動力機関」となっており、通常はこの部分で直接発電を行っているが、非常時の場合(機関車の流体動力機関が使えない場合など)、この動力機関だけである程度の走行が可能である。また、台車間にはコンピューター用の超安定化電源回路が設置されている[10]

列車編成は、超近代化された機関車を先頭に、十数両の客車(一等と二等)、寝台車、食堂車、娯楽車、医療車、車掌室、図書室からなるが、時には客車や装甲車などを増結したり切り離したりするため、車両数は一定していない。劇場版第2作では浴室付きの客車も描かれている。


  1. ^ 原作ではスハ43系のスハフ43(スハフ43 1 - 3)を模している描写がほとんどである。また、劇場版第3作『エターナル・ファンタジー』では、鉄郎が車内を歩くシーンで車両番号にGE-999オハ61 819とあった。
  2. ^ 原作アンドロメダ編やそれを原作として描かれるTVアニメ版では、客室窓が2段窓になっているが、これは旧くは「電車窓」と呼ばれ、旧型客車の採用事例は(被災した電車から改造された戦災復旧車70系を除けば)皆無であり、10系以降の軽量新世代車両を含めても、採用したものは12系50系、それに大井川鐵道のSLかわね路号用の一部車両(西武鉄道の旧形電車からの改造)のみである。宝島社『銀河鉄道999 PERFECT BOOK』にも同様の記載がある。
  3. ^ 劇場版1作目ラストで999が地球を去っていく場面など。
  4. ^ どこの星や宇宙ステーションにあるのかは不明だが、司令所で5~6人の運輸司令が999号の状況について会話するシーンも登場する。司令員個々の顔は見えない。
  5. ^ 『ロマンアルバム』によれば「知力燃料」、宝島社『銀河鉄道999 PERFECT BOOK』では「ウラン燃料らしい」とも。
  6. ^ C62形は総数49両のため50号機は実在しない。
  7. ^ 原作での牽引機は48号機だが、『二重惑星のラーラ』で三重連になった際の2両の前補機のうち、前部の車両が50号機である。またTV版でも48号機となっていたり、C52となっているシーンもある。
  8. ^ 企画・編集:株式会社メイジャー『さよなら銀河鉄道999 劇場版パンフレット』東映株式会社映像事業部、1981年8月1日、22頁。 
  9. ^ 設定資料では「宇宙石炭」と記載。
  10. ^ 企画・編集:株式会社メイジャー『さよなら銀河鉄道999 劇場版パンフレット』東映株式会社映像事業部、1981年8月1日、16-21頁。 
  11. ^ 「終着駅 その3 乱動超空間」(少年画報社コミックス版18巻、文庫版12巻、小学館ビッグコミックスゴールド版11巻)で、次のようなやりとりがある。車掌「帰りの999は乗客は 絶対乗せません!!」鉄郎「メーテルは?」車掌「メーテルさんの場合はメーテルさんの考えしだいです……」
  12. ^ 銀河鉄道に遭難者は次の停車駅まで切符なしで乗車させていい規程がある。
  13. ^ ただし、999号は特急列車の一つに過ぎないので、時代によっては別のルートの新路線を作ることによって大銀河本線以外の路線を走行していたとも考えられる。その場合は999号は大銀河本線を走行していたという保証もない。
  14. ^ そもそも、この国鉄型様式の展望車で2軸台車を履いているのは大井川鐵道スイテ82形(元西武サハ1515)とJR西日本オロテ35形の2形式のみ。
  15. ^ 本作が公開された当時は現役の国鉄個室車はA寝台のオロネ25形(後の「シングルDX」)くらいであった。その後、ニーズの変化から国鉄末期からJR化後にかけてB寝台個室が登場し、座席車でもキサロハ183形新幹線電車724形7000番台など普通個室が登場している。
  16. ^ 国鉄の特急形電車・気動車でも配電系統や制御線などの補器類を食堂車形式に搭載することはよくあった(しかし、これは後年食堂車廃止の際編成から食堂車が抜けず、営業していない食堂車を連結したまま走行するという非合理的な運用に繋がった)。
  17. ^ 車体長は他の車両の半分程度(つまり10m強程度)で、砲塔の先が隣(後ろ)の車両にかかっている。
  18. ^ このタイプの場合、車体長は他の車両と同じで砲塔の先は隣(後ろ)の車両にはみ出さない。
  19. ^ 給水温メ器を経由した蒸気を右シリンダー排気付近から排気していたため。
  20. ^ 後半期になると、劇場版のセルが流用されたと思われるシーンもあった。
  21. ^ ただし、TV版ではセル数抑制の為止め絵になる場合も多かった。
  22. ^ サンケイ出版 ワクワクシリーズ 『新竹取物語 1000年女王』 劇画版 PART5
  23. ^ G2999-M 銀河鉄道999 劇場版・改良品 基本6両セット』(プレスリリース)マイクロエース、2008年9月http://www.microace-arii.co.jp/release/pdf/G2999.pdf 
  24. ^ 111・333・555の3つは原作に登場した列車をもとに、あとの5つは新規に設定された。ちなみに原作アンドロメダ編に登場した列車は、999を除いて台車を履いていない。
  25. ^ 本編に登場したものもある。
  26. ^ 例外として、555号の郵便車がTVアニメ69話「C62の反乱」に登場した。
  27. ^ 111、333、444、666、888は機関車のみ。222、555、777、999は機関車・客車・戦闘車の3両ずつで販売されていたが、本来は同梱の解説書によれば後述の未発売の構成車両の販売予定もされていた。
  28. ^ その中で777、999が100円販売されたものと同サイズスケールで機関車1、戦闘車1、客車1での3両セットで販売された(ただしキット構成は金属シャフトも使われており、100円販売されていたものとは異なる)。
  29. ^ これらのキットは後年にBANDAI SPIRITSより再版され、100円価格帯のみで販売された商品は「銀河鉄道999 メカコレ銀河鉄道999 6種セット」で販売された。





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