麹 日本の麹

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/19 17:50 UTC 版)

日本の麹

麹は日本の食文化に大きな影響を与えてきた。2006年には日本醸造協会によってニホンコウジカビ(黄麹、Aspergillus oryzae)、ショウユコウジカビ(黄麹、Aspergillus sojae)、アワモリコウジカビ(黒麹、Aspergillus luchuensis)、白麹菌(Aspergillus luchuensis mut. kawachii)が国菌に指定されている[21][22]

米麹

米麹[23]
100 gあたりの栄養価
エネルギー 1,197 kJ (286 kcal)
59.2 g
食物繊維 1.4 g
1.7 g
5.8 g
ビタミン
チアミン (B1)
(10%)
0.11 mg
リボフラビン (B2)
(11%)
0.13 mg
ナイアシン (B3)
(10%)
1.5 mg
パントテン酸 (B5)
(8%)
0.42 mg
ビタミンB6
(8%)
0.11 mg
葉酸 (B9)
(18%)
71 µg
ビタミンE
(1%)
0.2 mg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
3 mg
カリウム
(1%)
61 mg
カルシウム
(1%)
5 mg
マグネシウム
(5%)
16 mg
リン
(12%)
83 mg
鉄分
(2%)
0.3 mg
亜鉛
(9%)
0.9 mg
(8%)
0.16 mg
セレン
(3%)
2 µg
他の成分
水分 33.0 g
水溶性食物繊維 0.2 g
不溶性食物繊維 1.2 g
ビオチン(B7 4.2 µg
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
米麹

蒸した米に麹菌を繁殖させたもの。

清酒に用いる米麹は、1989年(平成元年)11月22日に、国税庁告示第8号「清酒の製法品質表示基準を定める件[1]」において、「米こうじとは、白米にこうじ菌を繁殖させたもので、白米のでんぷん糖化させることができるものをいい、特定名称の清酒は、こうじ米の使用割合(白米の重量に対するこうじ米の重量の割合をいう。以下同じ)が、15%以上のものに限るものとする。」と定められている。

豆麹

醤油醸造用の豆麹と麦麹

豆に麹菌を増殖させたもの[24]で、タンパク質が多いため旨みの多い味噌が出来上がる[25]。大豆を使用した物は八丁味噌を代表とする豆味噌に用いられる事が多い。

麦麹

麦に麹菌を増殖させたものであるが、そのままの状態では麹菌が増殖しないため精白処理と蒸しを施す。日本では、麦焼酎[26]、味噌、醤油の原料として用いられることが多い。米麹と比較し酵素活性が異なるため、麦麹に特化した醸造技術が必要である[27]

蘇鉄麹


  1. ^ 醸造の知識あれこれ 参考書「改定醸造学」と書いてある。
  2. ^ Eiji Ichishima (2015年3月20日). “国際的に認知される日本の国菌”. Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry. 2021年2月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月14日閲覧。
  3. ^ a b Katsuhiko Kitamoto. “麹菌物語”. The Society for Biotechnology, Japan. p. 424. 2022年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月14日閲覧。
  4. ^ Kenichiro Matsushima. “醤油づくりと麹菌の利用ー今までとこれからー”. p. 643. 2022年1月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月14日閲覧。
  5. ^ Katsuhiko Kitamoto. “家畜化された微生物、麹菌 その分子細胞生物学的解析から見えてきたこと”. The Society of Yeast Scientists.. p. 2. 2022年11月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月14日閲覧。
  6. ^ Kiyoko Hayashi (2021年7月19日). “日本の発酵技術と歴史”. Discover Japan Inc.. 2022年11月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月14日閲覧。
  7. ^ ウ音便化による(カモシ > カウジ > コージ)。 ほかに、院政期の『類聚名義抄』などに「麹」を「カビダチ」(黴立ち)と訓ずるのに拠り、これの転訛(カビダチ > カウヂ > コージ)とする説もあるが、このような変化は不規則であることに加え、「ヂ」で終わる語形は実際には確認されていない。
  8. ^ 元禄5年(1692)刊『異體字辨』の「和俗字」の部門に「糀(カウジ)」がみられる(右・91ウ)。
  9. ^ 日本酒が出来るまで<工程>
  10. ^ 日本酒の「水」を理解する:灘の男酒と伏見の女酒
  11. ^ 龍野の醤油について
  12. ^ 一例として、秋田県総合食品研究センター開発の「あめこうじ」
  13. ^ a b インドネシア産餅麹ラギから分離した乳酸菌の同定 アジアにおける穀類麹とその微生物に関する研究 (第4報) 日本醸造協会誌 1991年 86巻 1号 p.55-61, doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.86.55
  14. ^ a b c 小崎道雄, 内村泰、フィリピン産餅麹ブボッドおよび米酒の微生物相 アジアにおける穀類麹とその微生物に関する研究 (第1報) 日本醸造協会誌 1990年 85巻 11号 p.818-824, doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.85.818
  15. ^ 東南アジアの伝統発酵食品に関する微生物学的研究 日本食品工業学会誌 Vol.38 (1991) No.7 P651-661
  16. ^ 日本・中国・東南アジアの伝統的酒類と麹 日本醸造協会誌 104(12), 951-957, 2009-12-15
  17. ^ 上田誠之助、「生澱粉の直接アルコール発酵の発見とその後の研究について」 澱粉科学 1987年 34巻 2号 p.113-118, doi:10.5458/jag1972.34.113
  18. ^ ネパール産餅麹ムルチャの乳酸菌フロラ ネパール産餅麹の微生物に関する研究 (第2報) 日本醸造協会誌 1996年 91巻 12号 p.901-905, doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.91.901
  19. ^ ブータン産餅麹チャン・ポーにおける糖化菌の検討 アジアにおける穀類麹とその微生物に関する研究 (第2報) 日本醸造協会誌 1990年 85巻 12号 p.881-887, doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.85.881
  20. ^ 内村泰, 新村洋一, 小原直弘 ほか、「タイ国産食酢醸造に用いる餅麹ルクパンの微生物相 アジアにおける穀類麹とその微生物に関する研究 (第5報)」 日本醸造協会誌 1991年 86巻 1号 p.62-67
  21. ^ *麴菌をわが国の「国菌」に認定する (PDF) (平成18(2006)年10月12日、日本醸造協会
  22. ^ 一島英治、日本の国菌コウジキン 日本醸造協会誌 Vol.99 (2004) No.2 P.83, doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.99.83
  23. ^ 文部科学省、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)
  24. ^ 岸本間市、大豆麹製法ノ研究 日本釀造協會雜誌 1916年 11巻 8号 p.37-44, doi:10.6013/jbrewsocjapan1915.11.8_37
  25. ^ 南場毅、好井久雄、豆みそのアミン類に関する研究(第1報) 熟成豆みそおよび豆麹中のアミンの定性 日本食品工業学会誌 Vol.14 (1967) No.5 P.199-203, doi:10.3136/nskkk1962.14.199
  26. ^ 小笠原博信、高橋克文、飯塚兼仁ほか、麦焼酎もろみの発酵特性改善に対する白麹の寄与 日本醸造協会誌 Vol.86 (1991) No.4 P.304-307, doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.86.304
  27. ^ 岩野君夫、三上重明、福田清治ほか、焼酎白麹の各種酵素の活性調査について 日本釀造協會雜誌 1986年 81巻 7号 p.495-498, doi:10.6013/jbrewsocjapan1915.81.495
  28. ^ 山田修:黒麴菌の系統解析と OTA 非生産性 マイコトキシン Vol.63 (2013) No.2 p.187-190, doi:10.2520/myco.63.187
  29. ^ a b 上田誠之助:生澱粉の直接アルコール発酵の発見とその後の研究について 澱粉科学 Vol.34 (1987) No.2 P.113-118, doi:10.5458/jag1972.34.113






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