結界
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/14 09:35 UTC 版)
神道・古神道
古神道である
神道においても、結界は神社などでも用いられ、たとえば境界線を示すために、神社・寺院などの境内や建築物では意図的に段差を設けたり、扉や柵、鳥居や注連縄などを用いる。一般の家庭などでも、注連縄飾りや節分の鰯の干物なども結界である。
古神道や神道において、一定範囲の空間に設定されたタブー(禁足)を視覚化したものとも言え、それは聖なる領域(常世)と俗なる領域(現世)という二つの世「界」を「結」びつける役割をも持つ。
結界の例
自然崇拝である古神道の影響を受けた仏教、密教である山岳信仰でも用いられ、修行の障害となるものが入ることを許されない場所や土地に対しても用いられるが、女人結界などがその例である。なお結界は僧事をなすために設けたものであり、本来、女性が入る事を禁ずるためではない。然るに高野山などの結界の地に女人が入るのを禁じたのは、戒律の条文にないものを地方の宜に応じて設ける
この他、生活や作法上注意すべきなんらかの境界を示す事物が、結界と呼称される場合もある。作法・礼儀・知識のない者は境界を越えたり領域内に迷いこむことができてしまい、領域や動作を冒す侵入者として扱われ、無作法または無作法者とよぶ。
日本建築に見られる「襖(ふすま)」「障子(しょうじ)」「衝立(ついたて)」「縁側」などの仕掛けも、同様の意味で広義の「結界」である。商家においては、帳場と客を仕切るために置く帳場格子を結界と呼ぶ。
空間を仕切る意識が希薄な日本においては、日常レベルでもさまざまな場面で「結界」が設けられる。例えば、「暖簾(のれん)」がそうである。これを下げることで往来と店を柔らかく仕切り、また時間外には仕舞うことで営業していないことを表示する。このような店の顔としての暖簾は、上記の役割を超えて、店の歴史的な伝統までも象徴することとなる。
博物館、美術館等において、展示中の作品に観覧者が近づき過ぎないように設置するパーテーションなどのことを「結界」と呼んでいる。
茶道における結界
静謐を旨とする日本独自文化の茶道においては、もてなす側の亭主と客との間にある暗黙のルールを視覚化するため、種々の仕掛けを設けこれを結界とする。
- 茶道具の一つで、客畳が道具畳に接続している時に、その境界を表示するために「炉屏」というものを置き、結界とする。
また茶室においては畳の敷き様にも決め事があり、ひいては畳の縁❨へり❩の区画により座敷での主客の座位置がきめられる。
- 茶室への入り口である「
躙口 ()」での、低く抑えて意図的に入りにくさを強調する仕掛けも、茶席を聖なる非日常空間とするための結界である。また、茶室に入る前に手を水で清めるための「蹲踞 ()」の仕掛けも同様である。
注釈
出典
- 1 結界とは
- 2 結界の概要
- 3 神道・古神道
- 4 フィクション作品における結界
結界と同じ種類の言葉
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