粒子フィルタ 粒子フィルタの概要

粒子フィルタ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/04 04:05 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

この手法はふつうベイズモデルを推定するのに用いられ、バッチ処理であるマルコフ連鎖モンテカルロ法 (MCMC) の逐次 (オンライン) 版である。またこの手法は重点サンプリング法にも似たところがある。 うまく設計すると、粒子フィルタはMCMCよりも高速である。拡張カルマンフィルタ無香カルマンフィルタ (Unscented カルマンフィルタ) に比べて、サンプル点が十分多くなるとベイズ最適推定に近付くことからより高い精度の解が得られるので、これらの代わりに用いられることがある。また手法を組み合わせて、カルマンフィルタを粒子フィルタの提案分布として使うこともできる。

目的

粒子フィルタの目的は、観測不可能な状態列 確率分布を観測値 から推定することである。ベイズ推定値 は一つ過去の確率分布 から得られるのに対し、マルコフ連鎖法では過去の全てを含む確率分布 より求められる.

状態空間モデル

粒子フィルタでは観測不可能な状態 と観測値 は以下のように表せるとする。

観測不可能な状態列 は以下を満たす1階マルコフ過程。つまり で決まる。ただし初期値 の確率分布 を持つものとする。なお、これは2つ前 の状態を使えないという意味ではなく、必要なら2つ前の状態も に含めて使うという意味である。

観測データ列 が既知であるという条件の下で独立である。換言すると のみに従属する。

その上で、下記に従う状態方程式を状態空間モデルと呼ぶ。[3][4]

ただし も異なる について互いに独立であり、ある確率分布に従うノイズで、 をシステムノイズ、 を観測ノイズと呼ぶ。また、 は既知の関数である。

カルマンフィルターの状態方程式は状態空間モデルの一種であり、 が実数の列ベクトル、関数 が線形、多変量正規分布に従うとすると、下記形式で表現でき、

の確率分布は多変量正規分布になり、カルマンフィルタによってベイズ推定と厳密に一致する解が得られる。線形でない場合などは、カルマンフィルタは1次近似に過ぎない。粒子フィルタもモンテカルロ法による近似には変わりないが、十分な数の粒子があれば高い精度が得られる。




  1. ^ a b c Kitagawa, G. (1993-01). “A Monte Carlo filtering and smoothing method for non-Gaussian nonlinear state space models”. Proceedings of the 2nd U.S.-Japan Joint Seminar on Statistical Time Series: 110-131. https://www.ism.ac.jp/~kitagawa/1993_US-Japan.pdf 2019年11月20日閲覧。. 
  2. ^ a b Gordon, N.J.; Salmond, D.J.; Smith, A.F.M. (1993-04). “Novel approach to nonlinear/non-Gaussian Bayesian state estimation”. IEE Proceedings F - Radar and Signal Processing 140 (2): 107-113. doi:10.1049/ip-f-2.1993.0015. 
  3. ^ 北川源四郎『時系列解析入門』岩波書店、2005年、209頁。ISBN 4000054554
  4. ^ 樋口知之『予測にいかす統計モデリングの基礎―ベイズ統計入門から応用まで』講談社、2011年、29頁。ISBN 4061557955





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「粒子フィルタ」の関連用語

粒子フィルタのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



粒子フィルタのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの粒子フィルタ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS