柳崎貝塚
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/30 20:14 UTC 版)
貝塚形成時状況
市毛は柳崎貝塚が形成された時期の地形について、貝塚の2メートル程度下には浅い海と泥状の沼地が広がり、かつ淡水をもたらす桜川と逆川の河口がある汽水の環境であった、と考察している。また、シカ、イノシシの骨等も出土していることから、柳崎貝塚の南の台地は現在は宅地化が進んでいるが、かっては獣類も普通に生息していた山地で、柳崎貝塚は魚貝、獣等の狩猟面では良い環境であったと、考察している[26]。
佐藤は貝塚が形成されたのは縄文時代前期の関山式土器の時期としているが、市毛は資料の再検討から、出土資料の中に張り瘤を施した土器が1点も無いこと、及び地文である縄文がまばらに施された土器が比較的多いことに着目し、関山式土器時期でもその終末期の短い時期に形成された貝塚であろう、と考察している。市毛はまた同市内の谷田貝塚とほぼ同時期に形成された、とも考察している[27]。
なお、貝層より下の土層からも土器が出土していることは、現地では貝塚が形成される以前から人が暮らしていたことを示している[27]。
脚注
関連文献
- 佐藤次男「水戸市柳崎貝塚貝層下出土の子母口式土器について」『茨城考古学』第2号、茨城考古学会、1969年3月、 27-33頁。
- 市毛美津子「柳崎貝塚出土遺物の再検討」『婆良岐考古』第14号、婆良岐考古同人会、1992年5月、 14-39頁。
- 佐藤次男「柳崎貝塚」『茨城県史料 考古資料編〔1〕先土器・縄文時代』茨城県史編さん第一部会原始古代史専門委員会、茨城県、1979年、82-83頁。NCID BN01025319。
※解説文(82-83p)の他、図版(232p)、貝塚実測図(367p)、遺跡地名表(519p)の掲載有り。
- 「146:柳崎貝塚」『水戸市埋蔵文化財分布調査報告書 平成10年度版』水戸市教育委員会、1999年3月、33-34頁。
※付録:水戸市遺跡地図2に柳崎貝塚記載。
- “水戸・千波湖ジオサイト”. 茨城県北ジオパーク構想. 茨城県北ジオパーク推進協議会. 2020年3月2日閲覧。
- “柳崎貝塚(H30埋蔵文化財包蔵地(エリア))”. いばらきデジタルマップ. 文化財. 茨城県. 2020年3月9日閲覧。
関連項目
北緯36度22分06秒 東経140度27分52秒 / 北緯36.36846度 東経140.46445度座標: 北緯36度22分06秒 東経140度27分52秒 / 北緯36.36846度 東経140.46445度
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注釈
出典
- ^ 『茨城県人物・人材情報リスト 2019』日外アソシエーツ、日外アソシエーツ、252頁。
- ^ 鈴木素行「佐藤次男氏の略歴-十王台式土器研究史外伝・5」『茨城県考古学協会誌 伊東重敏氏・佐藤次男氏追悼号』第22号、茨城県考古学協会、2010年5月、 9-14頁。
- ^ “佐藤,次男, 1931-”. Web NDL Authorities. 2020年3月9日閲覧。
- ^ 『一本松遺跡 2001』井上義安、一本松埋蔵文化財発掘調査会、2001年3月、161頁。
- ^ 『水戸市大串遺跡』井上義安、水戸市、1996年3月、奥付。
- ^ “井上, 義安”. Web NDL Authorities. 2020年3月9日閲覧。
- ^ 佐藤次男 1969.
- ^ a b 佐藤次男 1979.
- ^ 市毛美津子 1992.
- ^ a b 茨城県北ジオパーク推進協議会.
- ^ 「柳崎貝塚」碑(2020-2-11現地確認) (屋外設置の碑). 茨城県水戸市の千波湖南東: 水戸市教育委員会. (1995年).
- ^ 水戸市教育委員会 1999- 付録:水戸市遺跡地図2
- ^ 市毛美津子 1992, pp. 14-15.
- ^ “パンフレット「水戸・千波湖ジオサイト」 (PDF)”. 茨城県北ジオパーク構想. 茨城県北ジオパーク推進協議会. 2020年3月4日閲覧。
- ^ a b 市毛美津子 1992, p. 14.
- ^ 『茨城県人物・人材情報リスト 2019』日外アソシエーツ、日外アソシエーツ、296頁。
- ^ “宮田, 俊彦, 1908-”. Web NDL Authorities. 2020年3月9日閲覧。
- ^ a b c 佐藤次男 1969, p. 27.
- ^ 市毛美津子 1992, pp. 15-17.
- ^ a b c 市毛美津子 1992, pp. 18-19.
- ^ 市毛美津子 1992, pp. 31-33.
- ^ 市毛美津子 1992, pp. 19-31.
- ^ a b 市毛美津子 1992, pp. 33-37.
- ^ 市毛美津子 1992, p. 30.
- ^ 市毛美津子 1992, p. 31.
- ^ 市毛美津子 1992, pp. 32-33.
- ^ a b 市毛美津子 1992, pp. 37-39.
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